「空の穴」

とても好きな一作、「空の穴」の紹介です。

空の穴
「空の穴」

監督:熊切和嘉(2001年)
出演:寺島進、菊地百合子(菊地凛子)、澤田俊輔、権藤俊輔、外波山文明

北海道の「基地」近くにあるドライブイン「空の穴」を切り盛りする市夫。
恋人の登と北海道旅行に来た妙子だったが喧嘩の末、ガソリンスタンドでポイッと捨てられる。無一文の妙子は、ドライブイン「空の穴」で無銭飲食をするのだが、それががきっかけで、ふたりの共同生活が始まる。北海道での生活が長く母親もない市夫(ギャンブル好きの市夫のオヤジから去った)は、突然現れた異性に恋をするが、素直に想いのたけを伝える術を持っていない。天真爛漫だけどどこか影があり、それでいて若くてかわいい妙子に、中年にさしかかった市夫は将来の希望を抱き始めるものの、自分で築いてしまった壁をうまく乗り越えることが出来ない。

モノのように女の子を捨て去るっていう(しかも飄々と!)ことができる登の卑怯な眼差しもすごいインパクトだったし、そんな男に惚れた妙子の(無銭飲食のシーンだったかな?)豚丼をかき込む姿が動物的で、めちゃくちゃ印象に残っている。その一方で地味ながらも「空の穴」の調理人としてちゃんと生きてきた市夫の不器用さが、終始「ガンバレ、イッチャン!」って掛け声をかけたくなっちゃう。

さて、なんでそんな中年男とやんちゃ少女の恋の映画をこのブログで紹介するかって?
「空の穴」の親父は、昔パイロットになりたかったんだって。映画の中にどれくらいその話が入ってたか覚えてなくって、なにがあって「ドライブイン・空の穴」をオープンさせたのか忘れちゃったけれど、確か、パイロットになる夢が叶わずに「じゃぁ、パイロットが集まるような食堂にしよう!」ってことにしたんだったと思う。まるで滑走路のようにまっすぐな国道だか県道にターミナルのように隣接した、今じゃちょっと寂れた「空の穴」なのです。

そして、これはちょっと本編では分からないのだけれど、市夫のオヤジは「セラ」っていう車に乗っています。天井がガラス張りで、ドアが上に開くやつ。トヨタのガルウィング車。翼のように両手を広げる感じでドアが開くのです。その車内がまるでコックピットみたいだからって「セラ」が採用されたのです。お腹の出た…ランニングシャツの似合うオヤジが乗り回すスポーツカー。なんだか飛び立ちそうで、飛び立たないオヤジと市夫が、またまたちょっと滑稽でせつなくって愛おしい感じがするのです。

「えっほ、えっほ、えっほ…」とつぶやきながらランニングする市夫(笑)の声と、「いっちゃん! いっちゃん!」と市夫を呼ぶ妙子の声、それから「空」と大地をかけ抜ける「風」を感じるバイオリンの音色が、今も耳に残る名作。

↓ やっぱりコックピットって憧れの空間!

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