飛行機への好奇心

いきなりですが、私は6年前まで飛行機が大嫌いでした。「何で、金属の塊がガソリン積んで飛んでんの?」「何かあったら、どないすんの?」こんなことを日常思い、飛行機に対して異常なほど嫌悪感を持っていました(私は大阪人なので関西弁で表現しています)。

歳もそれなりにとり、結婚が決まると新婚旅行に行くことになり、私は、ゆっくりと電車の旅を楽しんで北海道でのんびりと思ったのですが、嫁さんはオーストラリアに行きたいと言い出しました。言うまでもなく、私は「何時間も飛行機に乗られへんから、勘弁してくれ!」と猛反対しました。それでも「海外に!」と迫られ、そこに私の母も参戦し結果的に押し切られてしまいました。そこで私は「妥協したから、ビジネスクラスにしてくれ」と言う前に、もう既に時遅し嫁さんは手配を終えていました。

言うことを聞くしかなかった…。
諦めるしかなかった…。

それならば、飛行機に対しての嫌悪感や恐怖感を少しでも拭おうと思い仕事の帰りに本屋へ行き、それに類する本を探し読みました。とにかく本屋に通い詰めて探すのですが、乗り物酔いを治す方法だの、服装は体を締め付けないものにするだの、時差ボケを治す方法など、私の目的に合う本はありませんでした。乗り物酔いは心配する必要はありませんでしたし、締め付けない服装と云ってもどんなものなのか分かりませんし(服などお洒落には全く感心がない)、時差ボケも海外に行ったことがないのでピンと来ない、如何にして飛行機に対する恐怖心を払拭するかが、私の目的であり課題でした。しかしどれを読んでも感触がありません。このまま飛行機に乗って何時間も座ったままで、食事も喉を通らずソワソワして寝るに眠れず、着いた途端に疲れがドーッと出て、「あそこ行きたい! ここ行きたい!」と嫁さんの要望も聞き入れられず、挙句の果てケンカしてハネムーンどころではない、下手すれば「関空離婚」にもなりかねない、最悪の状況が手に取るように見えました。

諦めかけていた時に、ある本に目が止まりました。その本にはCDが付録に付いていて、それを聴きながら本を読むというスタイルに「変わった本やけど何か面白そう」と、当初の目的はすっかり頭にはなく、そのままレジに向かいました。家に帰り、CDプレイヤーにセットし本を開き、何も考えずCDの進行にしたがい本をめくりました。聴き終わった時の衝撃は今でも忘れません。飛行機を飛ばすのに、事前に詳細に亘り打ち合わせを行ない、計器類、飛行プランなどありとあらゆる事項に付いてチェックの連続、引っ切り無しにパイロットと管制官が交信し合っている様子は、全く想像したことがない世界であり、飛行機への無知さを強烈に感じました。それからというもの、仕事から帰って来てはヘッドフォンを掛けて本を開く日々が続きました。

その本のあとがきには、このように書かれています。

(中略)カメラでどんなにうまく撮影された映像よりも、人が頭の中でイメージする映像の方が遥かに優れたものである。例えば、趣味や経験による個人差はあるにしても、文字で物語を追いながら個々の脳裏に浮かぶ映像は、完璧なアングルと理想的な構図を持っているものです。これは人間が持つ「イメージする能力」の素晴らしさ故で当然のことなのですが、今回、操縦席の現場を伝えるにあたって、カメラで撮影した映像ではなく、文字と音という手段による方法が、現場の状況を理想的かつ効果的な「映像」として読者の脳裏に直接メッセージすることができるのでは、と考えました。とくに音は、あたかも料理に調味料を加えるごとく脳裏に浮かんだ映像に「音」を加えることで、よりリアルに臨場感溢れるものに変わりました。

「機長席」武田一男

とあります。本当にその通りでした。今思うと副操縦士の席の視点で聴いていました。ハイテク機であっても副操縦士はロードワークが多いので、副操縦士の声を聴いていても、その時間が多く聴こえます。後々分かる話ですが、ボーイング747クラシック、DC-8のロードワークには驚愕しました。

それ以来、飛行機の面白さ、素晴らしさ、何よりも広大な空へロマンを感じることができ、今に至っています。読者の皆様は既にお分かりでしょう。その本は「機長席」。作者は武田一男さん。私に飛行機の魅力を教えてくれた方です。今でも飽きることなく飛行機を好きで居られるのは、武田さんのお陰です。

本ブログで「機長席」が順次公開されます。
既に新千歳〜羽田の114便は書籍「機長席」で発表されて久しいですが、羽田〜新千歳の115便は本邦初公開!(実際は携帯の着メロやPCゲームのサウンドトラックには一部収録されています)パイロットだけではなく、飛行機を的確にさばいている管制官の雄姿を感じることが出来る、一級の作品です。

皆さんもそれぞれが頭の中でイメージし、自分がパイロットとしてイメージするも良し、操縦席の後ろに座っているイメージでも良し、管制官となるも良し、それぞれのアングルでお楽しみ頂けます。一人でも多くの方に飛行機の魅力を感じて頂けたら、良いと思います。

B777

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<B777さんプロフィール>
とにかく飛行機がダイスキな二児のパパ。
取り止めもなく思いつくまま書いています。
わからないことだらけなので、皆さんから色々と教えて下さい。
よろしくお願いします。
    • CARGO
    • 2009年 9月29日 4:51pm

    B777さんといえば、たしか、航空無線クイズ で余分なことを言ったひとですね。なかなか、オモシロかったです。タイトルを「関空離婚を救った飛行機たち」にしたらどうですか。
    航空無線クイズの抽選発表はまだですか?

    • B777
    • 2009年 9月29日 5:05pm

    CARGO さま
    その節は失礼しました。
    そしてご丁寧に有り難う御座います。
    今後も宜しくお願いします。

    • Mattari
    • 2009年 9月29日 6:20pm

    あの機長席には、そんな活用の仕方もあるとは
    面白いですね。
    B777さんと奥様との夫婦漫才(失礼!)の様子が
    思い浮かぶようであります・・。
    今もやってるのか不明ですがKLMオランダ航空では
    飛行機に乗るのが怖い人のために、本国オランダでは
    セミナーを開いていると聞いたことがあります。
    最終的にはKLM機に乗れるようにするという話ですが
    効果があるか気になりますよね・・。

    • B777
    • 2009年 9月29日 6:46pm

    Mattariさん
    有り難う御座います。
    夫婦漫才と言って頂いて、関西人としてはメッチャ嬉しいです。
    嫁さんとこんな感じの会話をしてて、その時は笑って過ごしたのですが、私は内心「笑いごとやない…」と思いました。その時、背筋が凍りそうでした(笑)
    航空会社がセミナーを開くとは、これまた面白いですね。
    興味ありますね〜(^_^)v
    まだまだ飛行機が怖い人は、たくさんいます。
    飛行機を知れば、見方が変わると思います。
    それと、これからも色んなこと教えて下さいね!
    Mattariさんの知識が頼りなのです。
    今後も宜しくお願いします。
    …あっ!そうそう!この原稿に書き忘れていたことがあるのです。
    実は、新婚旅行に行ってないんですよ(笑)
    妊娠が発覚したので(笑)
    今でもTVでオーストラリアの映像が流れるたび「行ってな〜い」と言われています…

  1. その後のB777さんの飛行機ライフを聞きたくなる、
    引き込まれるような楽しい記事です!
    しかも、コメントにあるようなオチまであるなんて。
    さすがです。
    いろんなことをご存知のB777さんが、トリプルセブンをこよなく愛するB777さんが、まさか飛行機嫌いだったとは・・。
    「機長席」のパワーってすごいですね。
    #ところで、今まで私のブログで頂いていた寸劇、何とか特集に出来ないものでしょうか? あの寸劇にどれほど元気をもらったことか。。。

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