機長席第9回 札幌コントロール北海道南セクター

札幌コントロール北海道南セクター

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▼千歳空港進入図千歳空港進入図

▼東北・北海道南航空地図東北・北海道南航空地図

サッポロ・コントロール エアシステム115 フライト レベル 410」(札幌コントロール管制へ エアシステム115便です 4万1000フィートで飛行中です)
エアシステム115 サッポロ・コントロール ラジャ」(了解しました)
 この交信で115便は札幌コントロール、北海道南セクターに引き継がれたのだ。
 眼下に下北半島。その向こうには津軽海峡から北海道南岸までが見渡せる。
じゃあ、ディセンド プリパレーション」森田機長が木村副操縦士に下降前の打ち合わせを指示した。
フラップ30、オートブレーキは1」(着陸時の下げ翼は30度、オートブレーキは1にセット)
1、2、3… ノーリコール」 木村副操縦士がコックピット中央ペデステルにある液晶デスプレイMFDに表示される下降前の点検リストの項目を見ながら確認していった。。
ラジャ」と森田機長が再確認する。
コミュニケーション」 木村副操縦士はMFDに表示された次ぎの項目、コミュニケーション(打ち合わせ)に進んだ。ディスプレイには新千歳空港の着陸情報が表示されている。
チェック コミュニケーション
千歳アプローチ インフォ(メーション)」 (新千歳空港の着陸情報です)
はい、ゴーアヘッド」と森田機長。
 木村副操縦士が着陸情報を読み上げた。
デュアリング ディセンド オールモースト スムース エア ビロー 6000 ライト チョッピ 19レフト ファイナル ラフ エア ナウ サースフェイスウインドが19レフト 160度から11 ザッツオールです 6000以下でちょっと揺れがあるみたいですね はい、キャンセル メッセージ」(おおよそ千歳進入はスムースな天候です 6000フィート以下で少し気流の乱れがあります 滑走路19Lは160度から11ノットです)
ラジャ」と森田機長が微笑む。そのとき全日空67便が札幌コントロール北海道南セクターに入ってきた。
サッポロ・コントロール オールニッポン67 フライト レベル 410」(札幌コントロール管制へ 全日空67便です 4万1000フィートに到達しました)
オールニッポン67 サッポロ・コントロール ラジャ」(了解しました)
はい、キャンセル メッセージ」 ディスプレイの着陸情報の項目が消えて次ぎの項目が表れた。
ノーリコール ノンノートで
ラジャ
 木村副操縦士がディスプレイの項目、新千歳空港のノータムを読み上げた。
スポット16番の予定 ノータム、19レフトはブラボー4、6、8がクローズです ですから、ブラボー9、もしくはブラボー10をセレクト願います あとアルファ9もクローズですので 他は大きなノータムはありませんので」 そして木村副操縦士は言った。 
マイサイド ディセンド プリパレーション コンプリーテッド」 (右席の下降前のプリパレーションチェックは完了しました)
ユー ハブ コントロール」それを確認して森田機長は操縦を交代する指示を出した。
アイ ハブ コントロール
オールニッポン276 コンタクト サッポロ・コントロール133.3」(全日空276便へ 以後は札幌コントロール管制133.3メガヘルツに連絡して下さい) 
札幌を15時25分に出発した全日空276便福岡行き767-200が移管した。
133.3 オールニッポン276 グッディ」(133.3メガヘルツに連絡します さよなら)
グッディ」(さよなら)
ナンバー1 VORを千歳VOR マニュアル チューン…」森田機長がVOR1を千歳VOR116.9にセットする。
ラジャ
 管制官が羽田から旭川に向かっている全日空869便767-200を移管させる。
オールニッポン869 コンタクト サッポロ・コントロール 127.5」(全日空869便へ 以後は札幌コントロール管制127.5メガヘルツに連絡して下さい)
オールニッポン869 127.5」(127.5メガヘルツに連絡します)
 森田機長が着陸の打ち合わせを始めた。
じゃあ、ランディング・ブリーフィング、シップ・コンディションOK、ノータム了解しました
はい」と木村副操縦士が確認する。
降りたら一応、(誘導路は)ブラボー9を予定しています タクシーダウンでアルファ10、指示があればブラボー10 あとは特に支障あるものノータムもなし
了解しました
ウエザーですけども、アプローチはVOR/DMEのNO2 19レフト 170度11ノット 若干左から、ほぼヘッドに近い風ですね 天気良好 11度マイナス0度 2998 イクセプト レーダーベクター VOR/DME NO2 ILS 最後ファイナルはL-NAVでいきます あと2000フィートからの降下 フライパス アングルで降りますから 2000から一応11.5マイルを予定しています、降下開始 天気良好ですから、ランウェイ インサイトで、MCPアルトはゴーアラウンドアルトでセットします アイ コール ゴーアラウンド フラップで、ポジティブ・クライムでギアアップ 鵡川に5000フィート上昇、早めにコンタクトして下さい、レーダーベクター最後に受けます、ファイナルコース 191度、途中コンストレインありますけども問題ありません、MDAが620ね、スポット メイビー 16番、ランディン
グ・ブリーフィングはザッツオールです

 今日は視界良好なので精密着陸(ILS)は使用しないで、非精密進入(VOR/DME)の着陸になる。羽田でのブリーフィングで予想されていた35ノットの突風も今は吹いていない。
 今日の千歳空港への進入方法はVOR/DME NO2方式。ということは、羽田離陸のところでもふれたが、空港の離陸、着陸にはその空港によって種々な飛行方式が設定されている。この時間の空港情報(ATIS)によれば千歳空港への進入には、VOR/DME NO2方式で進入しなければならないのである。
 千歳空港の進入図でもわかるように、滑走路は北から南に向いて並行して2本(ライトとレフト)ならんでいる。南から着陸する場合が01(のRとL)。北から着陸する場合が19(のRとL)の滑走路となる。
 115便は海側から(南から)進入するので、滑走路01Rであればそのままストレートに進入出来るが、今日は風が南から吹いているので陸側に回り込んで北側から進入しなければならない(飛行機の着陸は風に正対する)。
 航空路V11から進入する場合、千歳VOR/DMEから23マイル地点(CHEDー23)の津軽海峡上空で右旋回して苫小牧の東にある鵡川(MUKAWA)VORへ。そして左旋回で北へ向かい滑走路の東側を飛び抜けてSHINE地点(千歳VOR/DMEから20マイル北)で向きを変え、左旋回して方位191度で機首を南にして滑走路19レフトに着陸するのである。
 そのあとブリーフィングは万一着陸出来ない場合のゴーアラウンドを想定した回避方法を話し合って終わった。

コミュニケーション
チェック コミュニケーション
スポット 16番 ネクスト 114便」 森田機長は今日のスポットを確認し帰りの羽田へのフライトは114便となることを告げた。
はい
キャンセル メッセージ
キャンセル メッセージ」 木村副操縦士がMFDに表示された項目を消した。 
 札幌コントロールから降下の許可が出た。
エアシステム115 ディセンド フォロー ディスクリーション メインテイン フライト レベル 150」(エアシステム115便へ 貴機の判断で1万5000フィートまで降下して下さい)
エアシステム115 クリア 150 スタンバイ リービング 410」(了解しました 降下の準備をします)
アット 150」木村副操縦士が下降許可がでた高度15000フィートを確認する。そして森田機長が操縦を担当することを告げた。
アイ ハブ コントロール
ユー ハブ コントロール」 
札幌コントロール北海道南セクターの管制官が千歳を離陸して関西空港へ向かうエアシステム706便MD90を札幌コントロール三沢西セクターへ移管させた。
エアシステム706 コンタクト サッポロ・コントロール 133.3」(エアシステム706便へ 以後は札幌コントロール管制133.3メガヘルツに連絡して下さい)
エアシステム706 コンタクト 133.3 サンキュ」(133.3メガヘルツに連絡します)
アイドル
アイドル
 降下地点になった。津軽海峡にあるウェイポイントNAVERを過ぎて2マイル地点でEICASデ
ィスプレイに表示されているエンジン出力がアイドルに変わり、115便は自動的に下降を始めた。
 降下するとき機長がエンジンを絞るような動作はない。RーNAV経路の降下予定地点で、オートスロットルが自動的にエンジンをアイドル位置まで絞り777は下降を始める。 
ホールド
ホールド
エアシステム115 リービング 410」(降下を開始しました)木村副操縦士が管制官に知らせる。
エアシステム115 ラジャ」(了解しました)
 管制官は115便につづている全日空67便747にも下降の許可を与えた。
オールニッポン67 ディセンド パイロット ディスクリーション メインテイン フライト レベル 150」(全日空67便へ パイロットの判断で1万5000フィートまで降下して下さい)
オールニッポン67 ディセンド 150 スタンバイ リービング」(降下の準備をします)
オールニッポン363 ディセンド パイロット ディスクリーション メインテイン フライト レベル 270」(全日空363便へ パイロットの判断で2万7000フィートまで降下して下さい)
ディセンド 270 ナウ リービング 330 オールニッポン363」(現在、3万3000フィートです 2万7000フィートまで降下します)
オールニッポン363 ラジャ」(了解しました)
 そして管制官は福島空港発札幌行き全日空363便767-300ヘ下降の許可を出した。これでエアシステム115便、全日空67便、全日空363便が列をなして千歳空港へ向かって下降を始めた。ちなみに、各便の札幌到着予定時間は次ぎの通りである。

 エアシステム115便が16時30分。全日空67便も16時30分。
 全日空363便が16時45分。仙台発札幌行き全日空727便も16時45分。
 つづいて管制官は全日空727便767-300の速度を調節する。
オールニッポン727 ディパート メインテイン スピード 290 ノット」(全日空727便へ 290ノットで飛行して下さい)
メインテイン 290 オールニッポン727」(了解しました。290ノットを維持します)
ウエザー チェック」天候を確認します、と木村副操縦士がACARSで札幌の最新ウエザーを取り始めた。
オールニッポン363 アフター パッシング フライト レベル 290 リデュース メインテイン スピード 280 ノット フォア スペーシング」(全日空363便へ 2万9000フィートを通過したら、間隔を取る為に280ノットで飛行して下さい)
 管制官は福島空港発札幌行き全日空363便767-300の飛行速度を調節する。
オールニッポン363 リービング フライト レベル 290 アンド リデュース スピード 280 ノット」(了解しました)
(現在)どのくらいで降下してるんですか?降下率、1分間に…」という質問に木村副操縦士が答えてくれた。
降下率、ここに出てきてますね(と計器を指さして) 今、(1分間)3,500(フィート)ぐらいでしょうか
 全日空67便も下降開始をしたことを管制官に告げた。
サッポロ・コントロール リービング 410 トゥ 150」(札幌コントロール管制へ 1万5000フィートに降下します)
オールニッポン67 ラジャ」(了解しました) 
 エアシステム82便秋田発16時50分札幌着予定のMD87が札幌コントロールに入ってきた。
サッポロ・コントロール エアシステム082 210」(札幌コントロール管制へ エアシステム82便です 2万1000フィートで飛行しています)
エアシステム082 サッポロ・コントロール ラジャ」(了解しました)
 このとき115便が少し揺れ始めた。
これがトロポかな…」と森田機長。成層圏から対流圏に入った、と予測する。
そうですね、クロス・セクション・チャートでは、3万前後になってますけども…」 
羽田離陸時にも少しふれたが、777はFMSコンピューターが緯度、経度を計算して自動的に飛行するようになっている。平面方向に飛行するナビゲーションをLーNAV(ラテラル・ナビゲーション)という。平面(ラテラル)に対して上下(ヴァーチカル)、すなはち降下や上昇のように上下方向をコンピューターに計算させて自動フライトすることをVーNAV(ヴァーチカル・ナビゲーション)と呼ぶ。777を含めて第四世代からのジェット旅客機は、上下、平面の飛行をすべてコンピューターが計算した自動操縦が主流となった。オートパイロットシステムは方向舵、エルロンなど操縦装置を自在に操り、オートスロットル(自動車でいえばアクセル)はエンジン出力を必要に応じて絞ったり、開いたりする。
 777は飛行機というより一種の宇宙船である。と考えると納得がいく。
 115便は一分間に3500フィートのレイトで高度1万5000フィートへと下降を続けた。そして札幌コントロール北海道南セクターから千歳空港進入管制へと引き継がれた。
エアシステム115 コンタクト チトセ・レーダー 120.1」(エアシステム115便へ 以後は千歳レーダー進入管制120.1メガヘルツに連絡して下さい)
エアシステム115 120.1」(了解しました)

武田一男

JAS BOEING777 Cockpit「機長席」/全11回
羽田〜新千歳 フライトドキュメント
録音:武田一男/解説:武田一男・桃田素晶 ©Director’s House

【著作について】「機長席」の文章、及び音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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