機長席第10回 千歳空港進入管制

チトセ・アプローチ 千歳空港進入管制

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▼新千歳空港有視界進入プロシジャー
新千歳空港有視界進入プロシシジャー

▼新千歳空港STAR 19L
新千歳空港STAR 19L

 115便は千歳空港進入管制とコンタクトを始めた。
チトセ・アプローチ エアシステム115 リービング 321 ウィズ ロメオ」(千歳レーダー管制へ エアシステム115便です 現在3万2100フィートです 空港情報はロメオ[R]を入手しています)
エアシステム115 チトセ・レーダー ラジャ エクペクト ランウェイ VOR/DME ファイナル ランウェイ 19レフト スタンバイ レーダー ベクター 35マイル
(エアシステム115便へ 了解しました VOR/DMEの最終進入を予定しています まもなく35マイルの地点でレーダー誘導を開始します)
ラジャ」と森田機長が確認する。それを聴いて木村副操縦士が管制官へ答える。
エアシステム115 スタンディング バイ」(待機します) 
 木村副操縦士がACARSで取った情報を再確認して言った。
・・・はあがってきていませんね。QNH29,98 128、6、じゃあ アティス(ATIS)入れます」 
(現在、空港のQNHは)29.98インチです。空港情報の周波数は128.6メガヘルツ。それでは空港情報を取ります)
了解 はい、じゃあ、そっちで…はい…」 (了解、ATISはVHF2チャンネルで取って下さい)
 無線から空港情報が流れ始めた。
ニューチトセ・エアポート インフォメーション ロメオ 0700 VOR/DME NO2 ランウェイ 19レフト アプローチ ランディング ランウェイ 19レフト ディパーチャー ランウェイ 19ライト バード フライング アラウンド ザ エアポート ウィンド 170 ディグリーズ 10 ノット ビジビリティー 40 キロメーター フュー 3000 キュムラス テンプラチャー 10 デューポイント 0 QNH29,98インチ アドバイス ユー ハブ インフォメーション ロメオ」(新千歳空港情報ロメオ[R]、世界標準時間7時現在、VOR/DME NO2方式で滑走路19L、着陸滑走路は19L、離陸滑走路は19R、滑走路周辺に鳥が飛んでいます、風は170度から10ノット、視程は40キロ以上、3000フィート前後にわずかに雲あり、気温は10度、露点は0度、気圧は29,98インチ、空港情報ロメオ[R]を受信したことを告げて下さい)
チトセ・レーダー オールニッポン67 リービング 330 ディセンド 150
(千歳レーダー管制へ 全日空67便です 3万3000フィートから1万5000フィートに降下中です)
 全日空67便が千歳レーダー管制へ入ってきた。
オールニッポン67 チトセ・レーダー エクスペクト レーダー ベクター VOR/DME ファイナル 19レフト スタンバイ ベクター 40 マイル ナンバー2
(全日空67便へ VOR/DMEへレーダー誘導を予定しています。最終進入は滑走路19レフトです。まもなく40マイルの地点でレーダー誘導を始めます。着陸の順番は2番目です)
オールニッポン67 スタンディング バイ インフォメーション ロメオ」(待機します 空港情報ロメオ[R]を入手しています)
ラジャ」(了解しました)
 管制官が115便へ1万2000フィートまでの下降許可を出す。
エアシステム115 ディセンド アンド メインテイン 12000 29,98」(エアシステム115便へ1万2000フィートまで降下して下さい。気圧は29,98インチです)
12000 2998 エアシステム115」(1万2000フィートまで降下し気圧は29,98インチ、了解しまた)
アルト 12000」(1万2000フィートまで降下)
 森田機長が高度を1万2000フィートにセットした。そして、天気は良いし他の飛行機も少ないので、時間と燃料の節約のため、VOR/DME NO2の進入方法より、滑走路へのコースを最短距離で飛べる有視界進入で着陸しようと考えた。
 「どうしようかな… イフ アベラブル リクエスト ビジュアル アプローチって言ってみようか?」 (もし、可能ならビジュアルアプローチが出来るかどうか言ってみようかな)
言ってみましょうか…」と木村副操縦士。そのとき管制官がトラフィック・インフォメーションのために115便を呼んだ。
エアシステム115 ディパーチャー トラフィック 1 オクロック 20 マイル サウスバンド 11000」(エアシステム115便へ 1時の方向20マイル先を南に向かって離陸中の飛行機がいます 1万1000フィートです)
エアシステム115 ラジャ ルッキング アウト アンド イフ フィージブル リクエスト ビジュアル アプローチ 19レフト プリーズ」(了解しました 探します それと もし可能なら滑走路19レフトに有視界進入をしたいのですが?)
115 スタンバイ」(待機して下さい)
スタンディング バイ」(待機します)
 ここで再度確認するがVOR/DMENR2 RWY 19Lで進入着陸する場合、前述のように115便は航空路Y11(V11)で津軽海峡から進入するので、千歳VOR/DMEから23マイル地点の海上で右旋回して海岸にある鵡川(MUKAWA)VORへ。そして左旋回で北へ向かい滑走路の東側を飛び抜けてSHINE地点(千歳VOR/DMEから20マイル北)で向きを変え、左旋回して方位191度で機首を南にして滑走路19レフトに着陸する。しかし、もし、ビジュアルアプローチで19Lに着陸する場合は、千歳VOR/DMEから23マイルの海上地点から鵡川(MUKAWA)VORの北にある早来までダイレクトで飛行し、早来上空で左旋回し機首方向300度で空港へ向かい、空港トラフィック・パターンのダウンウインド・レグに入り、北側から左旋回後19レフトへ着陸する。だからVOR/DMENR2 RWY 19Lで進入着陸する場合に比べて飛行距離が短くなる。
エアシステム115 エクペクト ビジュアル アプローチ スタンバイ レーダー ベクター デュー トゥ トラフィック ディパーチャー トラフィック」(エアシステム115便へ まもなく有視界進入を開始しますが、離陸する飛行機がありますので、待機して下さい)
サンキュ ソウ マッチ エアシステム115
 有視界飛行進入を認めてくれたレーダー管制へ感謝をこめて木村副操縦士が返事をする。
スピード インターベーション」森田機長が速度を変えた。
ラジャ
早めに降ります」と森田機長。
 115便は現在、津軽海峡上空を下降中で、前方には苫小牧の海岸線が午後の光りの中で黄色い帯のように広がっている。
V‐NAV スピード」(ヴァーチカル・ナビゲーション作動)
V‐NAV スピード」(ヴァーチカル・ナビゲーション作動)
セット CDU ダイレクト ハヤキタ」(飛行情報を早来に直行に設定して下さい)
 早来は鵡川(MUKAWA)VORの北にあり千歳空港の東約11キロの地点で、ビジュアル・アプローチをする飛行機のゲートウェイになる場所である。
ラジャ」(了解)
スタンバイ ヘディング セレクト」(機首方向の設定は待機して下さい)
…え〜っと… これはどっちでもいいんだ… ダイレクト ハヤキタ モデファイ
ちょっと、モデファイ待って下さい
はい、了解」と木村副操縦士。
あと、早来を170ノット、3000」 森田機長は早来上空を高度3000フィート、170ノットの速度で通過する設定にした。
エアシステム115 フライ ヘディング 090 メインテイン 12000 ベクター ハヤキタ
(エアシステム115便へ 機首を090度に向けて、1万2000フィートまで下降して下さい。早来へレーダー誘導します)
090 12000 エアシステム115」 と木村副操縦士が交信を返す。・
セット CDU」(飛行情報を設定して下さい)
ラジャ」(了解)
 115便はゆっくりと右に旋回し機首方向が090度になった。
エアシステム115 ディセンド アンド メインテイン 4000」(エアシステム115便へ 引続き4000フィートまで降下して下さい)
4000 エアシステム115」(了解しました)
4000」(4000フィートで設定)
じゃあ 早来 もう入れていいですか?」と木村副操縦士が尋ねた。
はい、いいです
モデファイ」(変更します)
イクスキュート」(実行して下さい)森田機長が指示を出した。
イクスキュート」(実行します)と木村副操縦士。115便は早来に向けて下降を始めた。
オールニッポン67 ディセンド アンド メインテイン 12000 ベクター ハヤキタ ビジュアル ナンバー2」(全日空67便へ 1万2000フィートまで降下して下さい 早来までレーダー誘導します 有視界進入の2番目です)

 管制官が全日空67便をエアシステム115便に続いて有視界進入を指示した。
12000 オールニッポン67 ビジュアル アプローチ」(了解しました)
セット CDU」(飛行情報を設定して下さい)森田機長が指示を出す。
ラジャ ビジュアル 19レフト… 一応 モデファイ」(了解しました 有視界飛行の19L… 変更して宜しいですか)
イクスキュート」(実行して下さい)
イクスキュート あと揃えますから…」(実行します)
CHEを消して、あとシートベルト オン
はい、シートベルト オン」客室のシートベルトがONになった。機長がキャビンへ着陸準備開始の合図を送る。客席ではキャビン・クルーが乗客に「椅子の背を戻し、ご使用のテーブルを元の位置までお戻しください」とアナウンスを始めた。
トランジション 29,98」(気圧高度計を29.98インチにセットして下さい)高度が1万フィートになった。気圧高度計を地上の気圧に設定する。
トランジション 29,98」(了解しました)
オールニッポン67 フライ ヘディング 070 ディセンド アンド メインテイン 5000 ベクター ハヤキタ」(全日空67便へ 機首を070度に向けて5000フィートまで降下して下さい 早来までレーダー誘導します)
ヘディング 070 ディセンド アンド メインテイン 5000 オールニッポン67」(全日空67便。了解しました)
 管制官が115便と67便を並べて下降させる。そして115便を千歳空港の進入管制ヘ移管させる交信をした。
エアシステム115 コンタクト レーダー 119.1」(エアシステム115便へ 以後は千歳進入管制119.1メガヘルツに連絡して下さい)
119.1 エアシステム115」(了解しました)
モデイフィケーション コンプリーテッド」(飛行情報の変更は完了しました)
 木村副操縦士が着陸の為の飛行情報をコンピューターヘすべて設定した旨報告する。
サンキュ」と森田機長。
オールニッポン67 コンタクト レーダー 119.1」(全日空67便へ 以後は千歳進入管制119.1メガヘルツに連絡して下さい)
119.1 オールニッポン67」(了解しました)

 エアシステム115便と全日空67便が共に千歳レーダー管制への移管が完了した。木村副操縦士が無線の周波数を119,1に切り替えて千歳進入管制を呼んだ。
チトセ・レーダー エアシステム115 リービング 10900 ヘディング 090」(千歳進入管制へ 現在1万900フィート通過。機首090度です)
エアシステム115 ラジャ ターン レフト ヘディング 040」(了解しました 機首を040度へ左旋回します)
ソーリー セイ アゲイン ヘディング? 040?」(すみません 機首を040度で宜しいですか?)
115 アファーマティブ ヘディング 040」(その通りです)
ラジャ 040 エアシステム115」(了解しました)
レフト クリア」(左側、障害物なし)森田機長が旋回する左外を確認する。
ラジャ」(了解しました)777はゆっくり左旋回を始めた。まもなく津軽海峡から鵡川の西上空ヘさしかかる。海岸線が間近になり、右手に鵡川の街が見える。
チトセ・レーダー オールニッポン67 リービング 193 ディセンド アンド メインテイン 5000 ターン ライト ヘディング 070」(千歳進入管制へ 全日空67便です 現在1万9300フィートで5000フィートまで下降し、機首を070度に右旋回をしています。)
オールニッポン67 ラジャ メインテイン 5000」(了解しました 5000フィートまで降下して下さい)
メインテイン 5000 オールニッポン67」(了解しました)
ランディング ライト オン」着陸ライトをつけました、と木村副操縦士が報告する。
ラジャ」(了解)
スピード インターベーション」と森田機長。
レフト クリア
エアシステム115 ターン レフト ヘディング 360 ディセンド アンド メインテイン 3000」(エアシステム115便へ 機首を360度に左旋回をし、3000フィートまで降下して下さい)
ラジャ」(了解)と森田機長。管制官が115便を早来へ誘導する。
360 3000 エアシステム115」(360度の3000フィート、了解しました)
レフト クリア 360 3000」(左側、障害物なし 360度の3000フィート)
ラジャ」(了解)と森田機長はトリプルセブンの機首を真北に向けた。
オールニッポン67 ディセンド アンド メインテイン 4000」(全日空67便へ 4000フィートまで降下して下さい)
ディセンド アンド メインテイン 4000」(了解しました)
 後続する全日空67便の交信を訊きながら、森田機長は最終進入の計器点検を命じた。
アプローチ・チェックリスト」(着陸進入の計器点検をして下さい)
リコール アンド ノート」 木村副操縦士がMFDに表示された点検項目を読み上げてゆく。
チェック
オートブレーキ 1
ランディング・データ」(着陸情報)
セット」(入力済み)
アルティメーター」(気圧高度計)
2998 セット」(2998インチで入力済み)
アプローチ・チェックリスト コンプリーテッド」木村副操縦士が着陸進入の計器点検完了を報告した。
ラジャ 一応ビジュアルアプローチね ダウンウインド 1100で入りますから

 森田機長がビジュアルアプローチの進入方式を確認した。このまま早来に向かい早来上空を3000フィートで通過、そして機首方向を300度にして空港に向かいトラフィック・パターンの東側経路、ダウンウインド・レグに入る。その高度が1100フィートである。
はい」と木村副操縦士が確認する。
早来を3000フィートね」森田機長が早来上空を3000フィートで通過することを念を押して言った。そのとき115便をレーダー誘導している管制官からの交信がはいった。
エアシステム115 ポジション 20 マイル サウス サウス イースト エアポート リポート エアポート インサイト」(エアシステム115便へ 現在位置は空港の南南東20マイルです。空港を視認できましたら、報告して下さい)
スタンバイ」(視認するまで待ってもらって下さい)
エアシステム115 スタンバイ」クルーは窓から空港を探した。眼下には厚真川と安平川が流れその左手を根室本線が走っている。正面下は丘陵地帯で左に早来の町は見えるが空港は見えない。全日空67便が鵡川の上空に達した交信が聞こえる。
オールニッポン67 ターン レフト ヘディング 360」(全日空67便へ 機首を360度に左旋回して下さい)
レフト ヘディング 260 オールニッポン67」(了解しました)
早来はインサイト」(早来を視認した) と森田機長。
ラジャ
スタンバイ エアポート」(空港はまだ見えないな)

武田一男

JAS BOEING777 Cockpit「機長席」/全11回
羽田〜新千歳 フライトドキュメント
録音:武田一男/解説:武田一男・桃田素晶 ©Director’s House

【著作について】「機長席」の文章、及び音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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