アエロフロートIL-86で飛ぶシベリア航路<前編>

ある日、ちょっと部屋を整理していると昔の見覚えある水色のチケットが出てきた。日本へ一時帰国の際に好奇心で乗ったあのロシアのアエロフロートだ。
14年ほど前アルバイトで貯めた金と親から少し借りて語学学生としてロンドンに住んでいた時期があった。学校はあまり楽しくなかったが週末は別で、当然毎週ヒースロー空港などへ各国の飛行機を撮りに通った。特に現地の航空ファンと片言の英語で情報交換している時が一番楽しく英語の勉強になったように思う。
今回は1995年冬に搭乗した前編のロンドン〜モスクワ線と後編のモスクワ〜東京線に分けて書きたいと思います。第12回目は一時帰国で搭乗したアエロフロートのお話<前編>です。

ダイキャストプレーン:アエロフロートIL-86

あの当時、現地の英語検定試験を受けるため、私は学校の特別クラスに入って対策の授業を受けていた。
しかし空港へ行く事は極端に減らしていたので、気がつくとストレス性の下痢が約数ヶ月あまり続いていた。現地日系病院の医師から、ストレスが原因だから空港通いを再開するか、日本へ年末一時帰国してみてはどうですか? と言われる。でも試験直前まで、何とか缶詰になって勉強を続けたけど散々な結果に…。
気落ちしていると、久々に両親から手紙が届き、たまには日本へ戻って来いと書いてある。幸い当時アエロフロートのチケットが往復473ポンド(当時のレートで約7万円以下)だったので日本路線から撤退間近のロシア機に乗ってみたい好奇心が勝って数日後には機上の人となった。

ダイキャストプレーン:アエロフロートIL-86

私が乗ったのはロシア製エアバスの(!?)SU248便のイリューシンIL-86。その飛行機がヒースローの約3900m滑走路をギリギリまで滑走。オーバーランするんじゃないか? 危ない! と思った瞬間、地上を離れた。
そう! このIL-86はエンジンが4発もあるくせに、ヒースローほど長い滑走路を目一杯滑走しないと離陸出来ないほど非力なのだ。唯一350人もの大人数を乗せて飛ぶという命題で作られたとはいえ4500キロ程度を飛ぶのが精一杯。そのためヨーロッパ線の大量輸送用でよく使われた飛行機である。乗ったシップナンバーはRA-86054で後に福岡へロシア選手団のチャーター便で飛来歴が残っている。

ちらっとしか見ていないが、このイリューシンIL-86には大きな特徴が2つある。
下へ降りる階段があり、何かと思えば荷物置場があった。天井の真ん中にはハットラックがなくて、それを補う物であろう。このIL-86はタラップすらない空港でも乗客の乗降が出来るよう短いタラップが貨物室内に内蔵されているから、その荷物置場へ荷物を置いて客室に上がる方法も取っていたそうだ。

食事はごく普通の内容だ。お酒はロシアだけにウォッカぐらいしかないかなと思っていたら、赤ワインもあるという。早速頼んでみると、小瓶ながらリオハの赤ワインが出て来て意外さを感じる。お酒が有料という話を聞いていたが無料に変わっていた。さすがに諸先輩から聞いていた大昔のYクラスですらサービスされたというロシア名物のキャビアはなかった。確かこの当時は西側のケータリング会社がアエロフロートのケータリング会社へ技術指導をスタートしていたから既にその成果が表れたのだろう。

約3時間ほどでモスクワ・シェレメーチエヴォ国際空港へ着陸した瞬間に乗客のみんなが拍手大喝采だった(笑)
やはりアエロフロートに乗るとこういった場面に遭遇するという、この噂は本当だったんだなと実感する。到着後操縦席の扉が開いていたので、パイロットに頼んでコックピットを撮らせて貰う。青緑色のパネルが印象的なメカニカルなコックピットであった。下記の写真で左側がIL-86のコックピットで右側が私の座っていた非常口座席から撮った翼の写真。爆音は一人前にうるさいのに細くて頼りないのがよくわかると思います(笑)

ダイキャストプレーン:アエロフロートIL-86

凍てついた大地に包まれたこの空港は1995年当時は電力事情が良くない事もあって、薄暗くて天井も何故か低くて圧迫感を感じた。唯一あの玉ねぎの形に似たクレムリンを看板とした免税店のみが煌々と明るく、アエロフロートのグッズを探そうと入ってみるがあるのは、当時流行のゴルバチョフのマトリョーシカ人形やキャビアやウォッカなどのお土産品がある程度だった。あとは何故か日本食レストランも見かけたように記憶しているが、営業しているようには見えなかった。

駐機している飛行機も旧ソビエト製のイリューシンやツポレフがちらほら見えるほどだが、銃を持った警備兵がウロウロしているので写真撮影も出来るような状態ではなかった。1992年頃からアエロフロートも欧州製エアバスA310-300を就航させていて、フライトは満席の便が多かった。当日私が乗り継ぐ東京行きは2便あり、1便目のA310-300の便は予約すら入らず、2便目の上記のIL-62Mで運航される便ですらキャンセル待ちを入れたほどだった。

トイレに入ると掃除中だったらしく、掃除のおばちゃんにロシア語で怒鳴られる(笑)。
ペレストロイカとは程遠いなと思った瞬間であった。ちょっと気の抜けた目覚まし時計のアラームみたいな音が天井のスピーカーから鳴ると、ロシア語のアナウンスのあとロシア訛りの英語アナウンスが聞こえてきた。よく聞いていると私のフライトが少し遅れると言っている。近くのアエロフロートの乗継カウンターでは乗継出来なかったのか、延々と怒鳴り散らす客を見るとちょっと不安になる。さぁもうひと回り空港内をグルグルしてくるとしよう。

モデルメーカーはジェミニジェッツで1/400。シップナンバーがRA-86015とロシア籍に変わった頃のIL-86をモデル化されています。実はこのモデル、まだ11月末に出たばかりの新作なんですが、アメリカなどでは既に売切れの店も続出するほどの人気モデルと化しているようです。過去他メーカーから同機種が販売されたけど、マイナーな航空会社であまり売れなかったかも。でもここはさすがジェミニ! 航空ファンが欲しがりそうな飛行機のつぼを得ているなと思ったほどです。初リリースモデルのわりに胴体の形も申し分なく、塗装もなかなかいい感じで仕上がっています。とにかく見つけたら即買い! といってもいいほど出来の良いモデルだと思います。

では来週もお楽しみに…。

Mattari

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  1. 回を重ねるごとに、読み応えが増していきますね。
    今回の写真も記事も、感激しました。
    IL62は成田で見たことがあるのですが、このIL86ははじめてみました。
    ずいぶんと太い胴体なんですね。
    その飛行機の搭乗記、すばらしいです。
    コックピットの写真も、びっくり。
    やっぱり、アメリカの飛行機と違いますね。
    いやー驚き満載の記事でした!!

    • Mattari
    • 2009年 12月9日 9:33pm

    Airmanさん
    お褒め頂き光栄です。IL-86は成田でも夏場に
    臨時便やチャーター便等でやって来ていて
    偶然私もその時初めて撮りました。
    胴体の幅は約6メートルとA340より少し広い程度ですが
    Yクラスだと3-3-3だったのでわりと窮屈な感じです。
    荷物入れが両脇壁上のハットラックがあるのみなので
    天井が高く感じましたが、荷物が多いと大変かも。。

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