初バンコクの記憶

寒中見舞い申し上げます!
旧年中はエアインディアの記事を書いて、そのまま年末年始のお休みを頂いたので読者の皆様へご挨拶も出来ず失礼致しました。
今年も継続して色々と楽しい記事が書けたらいいなと思います。本年も宜しくお願い申し上げます。
第15回目は前回の続編で、バンコク旅行記です。

ダイキャスト・プレーン

エアインディア機がバンコク・ドンムアン国際空港へ到着する。機内から出た途端、一気に強烈な熱気の洗礼を顔に受ける。もう既に日も沈んで涼しくなってもいいのに、この街は別のようで機内放送では30度と言ってたほどだ。ターミナル内はエアコンで涼しいが、かび臭さを感じながら無事入国スタンプが押される。出口から俄かに騒々しい声がする。そうアジア名物客引きのお出迎えである(笑)。ツアーの出迎えで名前の看板が山ほど出ているが、それ以外はホテルやタクシーの客引きばかり。さっそく客引きがやってくるが無視する。こっちは少ないお金でやりくりしなきゃいけないから、すぐ地元銀行へ行ってトラベラーズチェックで現地通貨に両替する。生まれて初めて使うトラベラーズチェックに慣れない英文のサインをするとガラスの仕切りの向こうから、何とかタイ国王肖像の紙幣の束とコインが出てきた。

しつこい連中を煙に巻き、空港に隣接した駅へ辿り着くと3等10バーツ(92年当時で約50円)のファランポーン(バンコク中央)駅までの切符を買う。今時珍しい硬い厚紙を使った硬券と呼ばれる切符で、20分ほどして黄色い機関車に引かれた列車がやってくる。3等車は木製の椅子で、天井にはプロペラ剥き出しの扇風機がブンブン回っている。白熱電球の薄暗さが妙に懐かしさを誘う。車内は通勤ラッシュとは逆方向になるからか、わりと空いていて窓から入る風も気持ち良い。窓からはちょうど家族で食事中の光景がよく見え、賑やかな都会へ入ったと思ったら列車が終点に着いたようだ。列車を降りてホームに立つとディーゼル機関車のエンジン音と乗客の喧騒が入り交じったノイズが軽いめまいを感じさせる。まるで上野駅のようで実際タイ東北地方からの長距離列車も多いという。

駅の中を歩いていると、さっき乗ってきたエアインディア機の乗客、S氏を見つける。ひと際目立ったバッグパックを
背負っていて記憶に残っていたので話しかけてみる。するとこれから安宿へ行くので一緒に行きませんかと言われた。まあ特に泊まる場所も決めていなかったので、付いていくことにした。その宿は有名なガイドブックに載っているところらしく、面白かったのはその駅から道中にその安宿の小さな看板が矢印付きで出てたこと。お陰で迷うことなく、TT2ゲストハウスと呼ばれる安宿へ着く。受付のお姉ちゃんは眠そうな顔で出て来た。部屋はひとつ空いていてツインで160バーツ(約800円)というので、そのS氏と一緒にシェアする事にした。お陰で一泊400円で済むからお互いに助かった。部屋に荷物を置くとさっき通りがかった屋台でバーミーナムと呼ばれるラーメンを啜る。大抵この手の屋台は数種の調味料が揃っており、タイの醤油である魚醤のナンプラーや砂糖、プリッキヌーと呼ばれる唐辛子の粉、味の素などを混ぜ、好みの味にするのだ。米粉で出来た麺だったのか不思議と腹持ちもよく落ち着くと、部屋へ帰って眠る。

翌日朝早く起きると、宿近くの屋台で野菜のぶっ掛け飯を食べる。やはり唐辛子が辛い! でも同時に目が覚めるような気もするから面白いものだ。昨日来た道を引き返して歩いて行くと見慣れた駅が見えて、英語が通じる切符売り場のお姉さんのところに並び、3等10バーツ、バンコク空港の切符を買う。もちろん目的はドンムアン空港で飛行機を撮影することだ。約40分ほどで辿り着き空港ターミナル直通の通路を通っていく。最上階には地元のTG直営レストランがあり、ターミナル両脇に小さいながらガラス張りで飛行機が撮影出来る場所があった。まあ色んな人間が居るからカメラを大ぴらに見せないようにして撮影を続けた。
バンコクは昔から東洋の十字路と呼ばれるほど乗り入れ航空会社が多い。大抵順光になる昼前から午後の5時間ほどでも日本では撮影出来ない東欧系や中東系の珍しい飛行機が多くてフィルムがどんどん無くなっていく。特に撮りたいと思っていたのがロイヤルヨルダン航空のトライスター500だ。チャコールグレーのボディに金色の帯が入り、尾翼には王冠とワンポイントに赤い塗装が入った中東系にしては垢抜けた塗装だった。東欧系では既にボーイング767を使った航空会社も多いなかタロムルーマニア航空はボーイング707に新塗装を施して最後まで使用していたのが驚きであった。当時のベトナム航空は今と違ってロシア製ジェット機ツボレフTU-134をバンコク線に就航させていて、便数も多かったのが印象的だ。そういえば同じ宿に泊まってる日本人はベトナムやカンボジアへ行く人も多かったな。

ある日こんな事もあった。いつもと同じように空港へ向かおうと駅で切符を買い、列車に乗ったのは良かったが、何と列車は途中で鉄橋を渡った別の線路へ入っていく。明らかに空港とは別の方向だったので、慌てて次に着いた駅で降りた。駅員に切符を見せると大爆笑される。次の列車は何時か身振り手振りで聞いてみると、駅長が言うには何と夕方まで列車がないという! 気が付くと暇そうな近所の住人が集まってきて、駅長が何かみんなに声を掛けている。しばらくして一台のサムロー(ミゼットの3輪タクシー)がトロトロやってくる。一人の男がわかりやすい英語で、このおばはんがちょうどバンコク駅近くの市場へ行くから一緒に便乗したらいいと言われた。乗せてもらうと、ほどなくしてそのおばはんがやって来て大きな荷物をその後部座席横に乗せる。よく見ると大きな「味の素」の白い袋が3袋! さらに大量のパクチー(レモングラス)などの野菜を満載し、そのおばはんも乗ると出発! 思ったより加速が良くて、結構スピードも出るのが意外だ。運転手の親父はタイ東北地方出身なのかラジオからルークトゥンと呼ばれるタイの演歌が流れている。その鼻歌を歌いながら車線を無視してクラクション鳴らしながら、車の間を巧みにすり抜けて走っていく。スリル満点な親父のドライビングテクニックは下手なジェットコースターよりも面白い。約20分ほどであっという間にバンコク・トンブリー地区の駅に到着した。サムローの料金はおばはんと折半したから思ったほど掛からず、50バーツ程度で済んだのが助かった。その後、私が泊まっていう宿がある対岸へ渡るためにチャオプラヤー川を走るチャオプラヤーエクスプレスという水上バスに乗って宿へ戻ったのである。何ともタイ人の優しさが身に沁みた瞬間であった。

今回はバンコク・ドンムアンで撮影した飛行機の中で一番印象深いものとして、ロイヤルヨルダン航空のトライスター500を紹介したい。このモデルはブルーボックス製の1/400。シップナンバーはJY-AGEで長距離型として作られたトライスター500型をモデル化している。ロイヤルヨルダン航空はよく塗装を変えたことで有名でトライスターでもこの塗装を含め約3回あまり変わっている。だがこの塗装は気に入ったらしく、これ以降は一部赤いラインを少し追加した程度で殆ど変わっていない。さすがJALといった多くの大手航空会社CIデザインを手掛ける有名な米国ランドー・アソシエイツ社ならではの完成度の高さが伺える。

楽しかったバンコクでの滞在も終え、翌朝一番のシンガポール行きSQ69便に乗って香港行きSQ002便へ乗り継ぐ。だが!その時にはハプニングが待ち構えているとは予想だにしなかったのである。そのハプニングとは…次週へ続く!

では来週もお楽しみに…。

Mattari

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    • 007
    • 2010年 1月13日 8:01pm

    ほんとうは安宿に泊まるというバッグパックさながらの貧乏旅行なのに、飛行機を見る為にだけでバンコクに滞在するという精神的贅沢さが、読後感を豊かにしていますね。来週を楽しみにしています。

    • Mattari
    • 2010年 1月13日 11:45pm

    007さん
    いつもありがたいコメント恐れ入ります。
    私が表現したい事を数行できれいにまとめられるのが
    驚きであります。
    事実バンコクは滞在費が安く出来たので
    その分フィルム代や香港での滞在費に廻せました。
    お陰で未だエメラルド寺院などの定番観光スポットは
    行ったことないけど、タイの人々の優しさが
    身に沁みた旅の思い出として残っているので
    バンコクは好きな街のひとつなのです。

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