シンガポール航空の初物づくし。

とうとうあのJALも会社更生法を昨日申請してしまいましたね。どんな風に変わるか予想は出来ないけど、去年6月末に乗った羽田からのフライトが私にとって最後だったのかと思うと感慨深いものがあります。
第16回目は前回の続編で、シンガポール航空初搭乗のお話です。
ダイキャストプレーン:シンガポール航空

1992年12月30日。バンコクへ来て既に1週間経ち、数日前に仲良くなった沖縄出身K氏のミャンマーへ旅立ちを空港で見送ったと思えば、今度は翌日の大晦日には香港へ向かう私の番。簡単ながら地元のシンハビールでS氏やほかの宿泊者が乾杯してくれて嬉しかったものだ。シングルベッドが2つと天井には古ぼけたファンがクルクル回っているだけという1泊800円足らずの部屋もいざ離れるとさみしいものだ。

バッグパックを背負い、朝日もまだ昇らない朝5時半に馴染んだ宿を離れる。朝も早いのにすで近くの市場では新鮮な野菜が並べられ、屋台の数も多く賑わっている。約20分もすると見慣れた駅が見えてきた。さすがにこの時間帯で走っている列車はないことは調査済みだったので、この駅から空港前の国道を通る29番の青いエアコンバスを探す。

30分ずれるとあっという間に渋滞へ巻き込まれる街だけに、早いところ空港へ向かいたいものだ。幸いお目当ての29番エアコンバスはすぐやってきた。車内には女性の車掌が居て、片言の英語でGo Airport? と聞いて乗せてもらう。空港まで16バーツを払う。ちょっときれいな女性の車掌が片手に持っている円筒のブリキ缶みたいな料金箱から空港までの正方形の小さな切符を出し、そのブリキ缶の蓋の端を使ってまるで駅の切符みたいに器用にはさみを入れるのが面白い。

窓からはタイの朝の風景とも言える山吹色の袈裟を着た僧たちが、托鉢で歩いているのが見える。大抵は炊き立てのご飯やおかず、お供え用の花などが多く、お布施としてお金を渡すこともあるようだ。こんな光景を見ていると今更ながらもタイへ来たんだなと思ったものだ。それにしてもバンコクの朝は早いなと実感する。隣に止まっている2.5バーツの青バスも通勤客で混んできている。周りを見ると現地生産ホンダのカブには出勤する彼女を送るのかカップルが乗っていたりして朝から見せつけてくれたりする(笑)渋滞にも巻き込まれず、郊外の光景が見えてくるとホッとする。順調に約40分程度で無事空港前のバス停に着くことが出来た。

空港ターミナルへ行くと、既に多くの乗客が行列を作っている。チェックイン開始の2時間前を少し切って到着したとはいえ、さすが繁忙期に入っているだけに結構賑やかである。約20分ほど待ってやっと自分の番がやって来た。ここでも残念ながら既に窓側は埋まっていて通路側へ。荷物は香港までスルーチェックインで済ませ、国際線の乗継はこれが初めてだった。荷物も香港までは持つ必要がないから楽だ。空港使用料を200タイバーツを窓口で支払い、出国審査に並ぶと日本人を珍しく見かけた。キャセイで香港へ向かうそうで、シンガポール経由で香港へ向かうと言ったら驚かれた。まあ余分に時間掛かるから無理もないけど、航空ファンには多くの機種に乗れるのは嬉しいものである。窓からはこれから自分が搭乗するシンガポール航空のエアバスA310-200が見える。シップナンバーは9V-STKでエアバスのワイドボディ機は初めて乗るので楽しみだった。

荷物のX線検査でフィルムの感光を防ぐためにオープンチェックして貰う。しかしフィルムが30本もあるから、半ば係員は苦笑気味。やっとの思いで通ると、既に搭乗開始が始まっているようである。座席番号は33Bで機内へ向かうと、やはりさすがシンガポール航空! と言えるような美人な機内乗務員に出迎えられるが…。有り得ないことが起ころうとしていたのだ。
ダイキャストプレーン:シンガポール航空

何と私の座席である33Bには既に先客が居たのだ! 彼の搭乗券を見せてもらうと同じ33B!
えぇ〜そんな事あるのかっ!!!!
思わず絶句して一番前の赤いサロンケバヤを着たチーフパーサーに片言の英語で「Sorry! No SEAT! 」と言って搭乗券を見せる。彼女が「確認して来ますのでそこにお掛けになってお待ち下さい」と言って機内乗務員が離着陸時に座るジャンプシートに私を座らせると後ろの座席へ走って行った。

うわぁ〜これが噂のオーバーブッキング? チェックインカウンターで搭乗券貰えたら安心出来ると思ったけどそうじゃないんだなぁと早めにチェックイン済ませた客が多い事に今頃納得した私。こりゃ次の便に乗せられたとして予定の香港便に乗れるかなぁとあれこれ思案を巡らしているとその彼女が戻ってくる。「もう少し待っててね」と私にニッコリするとドア横にいるSQの地上スタッフへ話しかけており、そのスタッフが無線機で問い合わせ始めた。搭乗口前には5名ぐらいのスタッフが集まって話している。えぇ〜どうするんだろう?

まるで相撲の物言いのごとく話が決定したらしく、そのチーフパーサーが申し訳なさそうに言う。
「先ほどは大変失礼いたしました。弊社の手違いでエコノミークラスがオーバーブッキングしておりますので、ビジネスクラスへどうぞ」

やったぁ〜。まるで逆転大ホームラン。大晦日に思わぬかたちでシンガポール航空の初搭乗並びに初ビジネスクラス体験、初オーバーブッキングという初物づくしとなったわけである。いやはやこんな事ならTシャツじゃなくてちゃんとしたジャケットを持って来れば良かったのにな、と思ったほどで周りは明らかに客層が違うから、何とも申し訳ない気分である。

気が付くと滑走路21Rから離陸を始めており、窓からは見慣れたターミナルが見えた。たった一週間程度とはいえ慣れた街を離れる瞬間は寂しさと次の街への不安が入り混じった感情を抱くものだ。タイはまた来たいなと思わせる国であった。

多分シャンパンを飲んだのも、このフライトが初めてで、あまりの美味さに数杯貰ったほどだった。銘柄なんて全然知らなかったから久々に持ち帰ったメニューのワインリストを見たら何と銘柄がテタンジェ! 今の機内ではほぼ飲むことが出来なくなった銘柄だけに驚きだった。機内食の内容はあんまり覚えていないが、英語が殆ど分からなくてカートから4種類のミールを見せて選ばせてくれたのが親切だった。あとは不思議とオレンジジュースが濃厚で美味かったことが記憶に残っている程度である。つまり初めてのビジネスクラスで緊張したというのが事実だった。後にも先にもこんな美味しい思いをすることもなく、5年前のチューリッヒ空港で本当に危うく乗れなさそうになったことを思えば、早めのチェックインをするように心がけている。

こんな夢のような2時間のフライトはあっという間に過ぎて、既に熱帯雨林らしい土地が窓から見えてくる。窓には雨粒が叩きつけてくるのが聞こえてくるほどで、シンガポール・チャンギ国際空港の滑走路02Rへ無事着陸する。さぁシンガポールではどんな飛行機が撮れるか楽しみで香港行きSQ002便の搭乗まで約5時間あまりゆっくりするとしよう。

このモデルはドラゴンモデルで1/400。シップナンバーは9V-STQでこのモデルは翼端にウィングチップが装備された長距離型A310-300をモデル化しています。ちなみに私が搭乗したA310-200はそのウィングチップが装備されていない中距離型でボーイング777-200ERに変わるまでは主に東南アジア内の主力機種として就航していました。

さて次は憧れの香港初上陸!そしてついに私のダイスキ!な飛行機とご対面することに…。

では来週もお楽しみに。

Mattari

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    • 007
    • 2010年 1月20日 9:51pm

    バンコクからホンコンに行くのにシンガポール経由というのはタイ航空のクルーか、筋金入りの航空ファン、マッタリさんぐらいですね。一日に赤道を二回も通過するわけですから。そんなけなげなマッタリさんに飛行機の神様はテタンジェをふるまったのですね。ホンコンも楽しみにしています。

    • Mattari
    • 2010年 1月21日 12:22am

    007さん
    いつもコメントありがとうございます。航空券のルートが
    バンコク→シンガポール→香港→台北→成田で発券したので
    こんな変な旅程になったんです。お陰でSQ社の主要機材は
    制覇できたんです。あのテタンジェは飛行機の神様の贈り物
    だったと思うと誠に美女に注がれる美酒でした。

    • B777
    • 2010年 1月21日 9:22am

    毎回楽しみにしていて「次はどうなる!?」と
    ワクワクしています。ビジネスに乗って、
    シンガポール経由で香港とは、何とも贅沢で
    羨ましい旅ですね。やっぱり、海外は行ける
    うちに行っておかないとダメですね。今更ながら、
    後悔します。もっと早く飛行機がスキになっていたら…

    • Mattari
    • 2010年 1月21日 8:54pm

    B777さん
    コメントありがとうございます。
    今はマイルの上級会員が優先なので
    アップグレードして貰える事は減ったかも
    知れません。海外旅行も前と比べたら値段も
    安くなったので今からでも遅くないですよ。

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