YS-11コックピット・ドキュメント「雨中航路」第9回

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航空ドキュメンタリー YS-11コックピット「雨中航路」

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ラッシュアワーで混雑する大阪伊丹空港へ着陸

 大阪城にライトが照らされ、威風堂々とした風貌は昔と変わらないであろう佇まいである。その大阪城の上を一機、また一機と飛行機が次から次へと伊丹空港へ帰って来る。ある人は仕事が終わった安堵感、あるグループは旅先での楽しい思い出をカバンにたくさん詰め、ある家族は先祖に手を合わせ清々しい気持ちを胸におさめ、それぞれがそれぞれの
思いを乗せ、住まいを構えるこの大阪に帰って来る。
 左には高層ビルが乱立する大阪・梅田が見えるが機長は目も暮れず、前に見える伊丹の滑走路を捉えている。滑走路の側では離陸機が待機し、YS-11の着陸を見守っている。
 風が強くなった。機体がかなり揺れている。YS-11は横風15ノット以上あると着陸できないので、ゴーアラウンドするか他の空港へダイバート(代替空港へ着陸)することになる。また突然のウィンド・シェア(気流の乱れ)で着陸失敗するケースも多く発生しているのでコックピットには緊張感が増した。
「チェック エア スピード フラップ10」
 機長は所定の高度と速度に達した時、フラップ・ダウン角度を指示し、副操縦士は機長の指示にした角度までフラップ・ダウン操作を行なう。
 副操縦士も復唱し、フラップを10度にセットし、無線機の周波数を大阪伊丹空港タワー管制の118.1メガヘルツに変えた途端、流暢なネイティブ英語を思わせる交信がコックピットに響いた。
「トラフィック ジャスト トラフィック インフォメーション ワイエス イレブン アプローチング 7マイル ファイナル フォア 32ライト」(飛行情報です。滑走路32ライトの7マイル先にYS-11が進入中です)
 全日空296便鳥取発のYS-11が進入していることを管制官は離陸機、日本航空321便大阪発福岡行きのDC-10へ告げた。
「あそこね」と機長が前方を下降するYS-11を確認する。そして「あと5マイルだろ…」と 機長が進入最終ポイントでローカライザーに乗るロメオ・キロまでの距離を予測して言った。
「ジャパンエア321 タクシー イントゥ ザ ポジション アンド ホールド 32レフト」(日本航空321便へ。滑走路32レフトに進入し待機して下さい)
「イントゥ ザ ポジション アンド ホールド (ジャパンエア)32レフト」(進入し待機します)
 管制官が滑走路32Rに全日空296便YS-11が進入中であるので、離陸準備が終わっている日本航空321便福岡行きDC-10を滑走路32Lに入れた。灰色の霞の中で微かであるがDC-10の姿を視認(インサイト)できる。
 伊丹空港は14R/32L(Aランウェイ)と14L/32R(Bランウェイ)の2本の滑走路が平行していて、機体の大きさによりどちらかを使い分け、運用効率を上げている。しかし滑走路が2本あるので一度に2機の飛行機が離着陸できると思われるが、滑走路間の間隔が狭すぎるので同時の運用は出来ない。片方が着陸したと同時にもう片方で離陸する変則的な運用方法である。また着陸機は、近隣への騒音関係から逆噴射(リバース)を極力抑えることになっている。

▼大阪空港ランディングチャート図
大阪空港ランディングチャート

▼大阪空港トラフィックパターン図
大阪空港トラフィックパターン図

「オオサカ・タワー キンキョリ9175 アプローチング ロメオ(R)キロ(K)スポット…シエラ(S)4 オーバー」(大阪タワー管制へ。こちら日本近距離航空9175便です。現在RKに向かっています。…駐機所はS4です)
「…」他機と同時に交信したので、管制官が新聞社のヘリコプターと交信している内容と混じってボイスが聴き取れない。
「(他機との交信が)被るな…」
 時として、他機と交信が重なることがある。交信を担当するパイロットは割り込ませまいと、そして割り込もうとして少しでも機の状況を報告し、いち早く着陸したいという心理なのだろう。この割り込みこそ交信を担当するパイロットの腕が試されるところでもある。引っ切り無しに交信がコックピットに響く。
「オールニッポン296 ディパーテッド アウターマーカー」(全日空296便です。アウターマーカーに到達しました)鳥取発の全日空296便YS-11が最終進入に入った。
「オールニッポン296 ユア ライト ブレイク?」(全日空296便へ。右側に針路を取っていますか?)
「アファーム ナウ ライト ブレイク」(はい、右側に針路を取っています)
「296 ラジャ コンティニュー アプローチ リポート 3マイル フォア 32ライト」(了解しました。そのまま進入を続けて下さい。滑走路32Rの3マイル手前で報告して下さい)
「ライト ブレイク 3マイル」(右側に針路を取りし、3マイル手前で報告します)
「…オオサカ・タワー ハウ ドウ ユー リード」(…大阪タワー管制です。聴こえていますか?)
 機長が副操縦士にギアレバーを指さして車輪を降ろすように指示する。副操縦士はギアレバーを降ろし管制官と離陸しているヘリコプターとの交信の途切れの一瞬の隙に再度、交信を試みた。
「オオサカ・タワー キンキョリ9175 アプローチング ロメオ(R)キロ(K)オーバー」(大阪タワー管制へ。こちら日本近距離航空9175便です。現在RKに向かっています)
 ランディング・ギアを下に引き下げると同時に、前輪と主輪が姿を現し、大きなうねり声にも似た、風を切る音が響く。
「キンキョリ9175 ラジャ リポート ライト ブレイク ランウェイ 32ライト」(日本近距離航空9175便へ。了解しました。右側に針路を取ったら報告して下さい。着陸滑走路は32ライトです)管制官は日本近距離航空9175便を全日空296便の後につけて32ライトに降ろすつもりである。
「キンキョリ9175 ラジャ スポット シエラ(S)4」(了解しました。駐機場はS4です)
 速やかに交信がなされ、最後に駐機場の場所を告げた。
 伊丹空港のスポットはS4で、空港北側にある沖合いの場所、滑走路04L付近である。YS-11はPBB(パッセンジャー・ボーディング・ブリッジ)と接続できないので、乗務員を始めお客様は一旦外に出て、バスでターミナルに向かうことになる。
「ダウン アンド スリー グリーン」 副操縦士が計器で車輪が降りている確認をした。ランディング・ギアが完全に下がり、指示灯がグリーンに点灯し、ウォーニング・ライトがレッドに消灯したのを点検し、「ダウン アンド スリー グリーン」をコールする。そして現速度を確認しフラップ角度を20度にセットするよう指示した。
「チェック エア スピード フラップ20」
 YS-11は順調に下降を続けている。
「ジャパンエア321 トゥ ディパーチャー コントロール フリクエンシ ウイル ビー119.5 ウィンド220 ディグリーズ 6ノット クリア フォア テイクオフ 32レフト」(日本航空321便へ。離陸後ディパーチャー管制へ交信して下さい。周波数はおそらく119.5になるでしょう。風は220度から6ノットです。滑走路32Lからの離陸を許可します)
「ジャパンエア321 クリア フォア テイクオフ」(離陸します)
 管制官は日本航空321便福岡行きのDC-10に離陸許可を発出した。続いて32ライトに降ろす全日空296便YS-11に指示を出す。
「オールニッポン296 クリア トゥ ランド 32ライト ウィンド コレクション ウィンド 200 ディグリーズ 5ノット コーション タービランス DC-10 デパーティング 32レフト」(全日空296便へ。滑走路32Rに着陸して下さい。風は200度から5ノットです。32LからDC-10が離陸滑走中です。タービランスに注意して下さい)
「ラジャ 296…」(了解しました)
 副操縦士は、着陸直前のビフォア ランディング チェックリストを読み上げた。
「フュエル ヒーター…オフ」
「プロップ ライト…」
「ギア…ダウン グリーン」
「ハイドロ・プレッシャー…チェック」
「HPCレバー…ロック アウト」
「レーダー…スタンバイ」
「ビフォア ランディング チェックリスト コンプリーテッド ビフォア トゥ ゴー」
「はい、了解」
 ビフォア・ランディング・チェックリストは、1000フィート プラス エレベーションまたはギア・ダウン後に実施することになっている。不必要な防氷系統とフュエル・ヒーターをオフとし、ウォーニング・ライトが消灯していることを確認する。スピル・バルブをマニュアルとし、フット・ウォーマーをオフとする。ロー・ストップ・レバーがフライトの位置にあり、ロー・ストップ関係の指示灯が消灯していること及びハイ・ストップ関係の指示灯が点灯していることを確認し、HPCをロック・アウトとする。
 斜め横からかなりの風が吹いて機体を揺るがせている。「風が強いね…」と機長は操縦桿を持つ手に力を入れた。YS-11は主翼が空(くう)を捉え、プロペラが空を切り裂き、ダート・サウンドが空を震わせ、大阪・伊丹空港32Lに向かっている。全てのギアは既に機外に出て着陸態勢を整えている。
 ランディング・チェックリストの残り、トリムの計算をして副操縦士が報告した。
「デイ・トリム、84%です。」
「はい、了解」
 フュエル・トリマーをデイ・トリムにセットする。レーダーはスタンバイとする。
 YS-11は高層ビルが乱立する梅田上空に差し掛かろうとしている。着陸前のランディング・チェクリストを完了し、あとは地面に着地するだけである。コックピットには否応無しに緊張感に包まれる。飛行機事故の大半は、離陸の4分と着陸の7分の計11分間に発生し、クリティカル11ミニッツ(魔の11分)と云われている。
 日本近距離航空9175便の後ろを飛行している東亜国内航空634便花巻発大阪伊丹空港行きが大阪タワー管制に入って来た。
「オオサカ・タワー トーアドメス634 ディセンド トゥ 2500 アプローチング ロメオ(R)キロ(K)オーバー」(大阪タワー管制へ。こちら東亜国内航空634便です。RKに向かって、現在2500フィートで降下しています)
「トーアドメス634 ラジャ リポート ライト ブレイク ランウェイ 32ライト」(東亜国内航空634便へ。了解しました。滑走路の右側に進入する針路を取ったら報告して下さい。着陸滑走路は32ライトです)管制官は後続のTDAのYS-11に滑走路32ライトを指示した。
「634 リポート ライト ブレイク ランウェイ 32ライト」(右側に針路を取ったら報告します。滑走路は32ライト)
 着陸態勢を取りつつも、機体は刻一刻と滑走路ライトに向かっている。
 このとき管制官は後続機の都合で日本近距離航空9175便に滑走路ライトからレフトへの着陸変更を交信してきた。
「アンド ア- レフト ブレイク キンキョリ9175 チェンジ ア- ブレイク ランウェイ 32レフト リポート アウターマーカー」(日本近距離航空9175便へ。航路を左側に変更して滑走路32レフトに進入して下さい。アウターマーカーに到達したら報告して下さい)
「32レフトですね」と急に滑走路の変更があったので副操縦士が機長に確認した。そしてATCのマイクをとる。
「キンキョリ9175 ラジャ 32レフト リポート アウターマーカー」(了解しました。滑走路32レフトに進入し、アウターマーカーに到達したら報告します)
「32レフトね」機長は再度確認した。

▼大阪空港ランウェイ32R進入図
大阪空港ランディングチャート

▼大阪空港ランウェイ32L図
大阪空港トラフィックパターン図

 YS-11は機体が小さいので通常、伊丹空港では約1800mの滑走路14L/32Rを使用することか多い。
「32レフトとなるとですね…」
 副操縦士は着陸滑走路が変わったので、着陸後の誘導路の確認する。
「(滑走路)エンドまで行くんですよ、それから(誘導路)に入って行きますからね」
と機長は3000mの滑走路の端までタキシングして誘導路に入ることを指示した。
「了解しました」と副操縦士。そのとき管制官から32レフトへの着陸許可が出た。
「キンキョリ9175 クリア トゥ ランド 32レフト ウィンド220 ディグリーズ 6ノット」(日本近距離航空9175便へ。滑走路32Lへの着陸を許可します。風は220度から6ノットです)
「キンキョリ9175 ラジャ クリア トゥ ランド」(了解しました。着陸します)
 管制官はつづいてTDA679便大阪発米子行きのYS-11に呼びかけた。
「トーアドメス679 ユー レディ?」(東亜国内航空679便へ。離陸準備は整っていますか?)
「679 クリア フォア テイクオフ?」(離陸していいですか?)
「679 ラジャ タクシー イントゥ ザ ポジション アンド ホールド 32ライト」(滑走路32Rに進入して待機して下さい)
「(トーアドメス)679 32ライト」(了解しました。進入します)TDAの米子行きのYS-11は滑走路32ライトからの離陸が決定、日本近距離航空9175便を32レフトに変えてその着陸を待たずに離陸させようとしている。管制官は一時も滑走路を無駄に使わないのだ。日本近距離航空9175便は刻一刻と滑走路に近づいている。
「チェック アウターマーカー」
 機長は空港の最も外側にある着陸用の無線発信機があるアウターマーカーを通過したことをコールした。このマーカーの上を通過するとき、ピーピーピーという無線発信音が鳴り、空港の着陸進入の指定高度と進入進路が間違っていないことをパイロットに知らせる。
 現在、高度は約1500フィート。京都・大阪の水瓶である琵琶湖から大阪湾に流れ注ぐ淀川上空を通過し、滑走路が正面に姿を現した。微かに離陸した飛行機が左旋回をし、32Rには東亜国内航空679便YS-11が滑走路脇に待機しているのが見える。
「ランウェイ インサイト」 機長が滑走路を確認した。
「真っ直ぐ、前」
「オッケー アウターマーカー ノーセンス」
「えーっと、そのままで行きますからね」
「はい、了解しました。」
 日本近距離航空9175便は、真っ直ぐに滑走路32ライトに向かっていた機首を若干左側に寄せて降下を続ける。前方の滑走路32レフトには前を飛行していた全日空296便YS-11が着陸するのが見えた。管制官が着陸した全日空296便YS-11に呼びかける。
「オールニッポン296 ターン ライト チャーリー(C)4 タクシーウエイ コンタクト グランド コントロール」(全日空296便へ。右に曲がり誘導路C4に入って、以後は大阪グランド管制へ交信して下さい)
 全日空296便が滑走路32レフトから抜け出している様子がコックピットからも見える。
「ウイスキー(W)8 タクシーウエイのチャーリー(C)5に入る感じですかね」
「そうですね」
 着陸後の誘導路の再確認を行った。次から次へと離発着を繰り返している空港である為、速やかに滑走路から離れなければ、次の飛行機に影響を及ぼしてしまう。
「デイ・トリム セット」
 副操縦士は復唱した。いま飛行状態は安定し降下を続けている。
「トーアドメス679 ディパーチャー コントロール フリクエンシー119.5 ウィンド200 ディグリーズ 5ノット クリア フォア テイクオフ 32ライト」(東亜国内航空679便へ。離陸後ディパーチャー管制119.5 へ交信して下さい。風は200度から5ノットです。滑走路32Rからの離陸を許可します)管制官は滑走路32ライト横に待機していた東亜国内航空679便YS-11に着陸してくる日本近距離航空9175便より先に離陸の許可を出した。待機していた東亜国内航空679便はすぐ離陸滑走を始めた。
 日本近距離航空9175便は刻一刻と滑走路に近づいている。
「デイ トリム OK ワン タウザンド…125(ノット)」
 副操縦士が、デイトリムの確認と現在の高度(1000フィート、約300メートル)と速度(125ノット、約時速200キロ)を同時に読み上げる。
「オン コース オン グライドパス」副操縦士は計器を見ながら進入経路上に飛行機が飛行し、降下経路を示すグライドパスの周波数に一致していることをコールした。
「ウォーター メタノール オン…ツー グリーン」
 ウォーター・メタノール系統を作動させた場合は、指示灯により系統の点検を行なうことになっている。
「じゃあ、スピルは任せますね」
「はい、了解しました。もうスピル、マニュアルにします」
「あと、フラップだけです。」
「はい、了解」
「500(フィート)… チェック エア スピード フラップ35」
 あと着地まで約150メートル滑走路が目の前に近付いてきた。フラップを35度にセットするよう指示した。滑走路が手に届く程に目の前に広がる。
「フラップ35 コンプリート ランディング ダブル チェック オールコンプリートです。」
「はい、了解」
 ランディング・フラップ35度にセットした後は、作動油圧、作動油量及びギア・ダウンを再確認する。副操縦士は高度500フィート プラス エレベーションから100フィート前に高度及び速度のコールを行ない、以後スレッシュ・ホールド(滑走路末端通過)するまでそのコールを続ける。そして、着陸の最終確認したことを機長に報告する。
「インナーマーカー」 空港の内側、滑走路の入り口にある進入着陸用の無線信号機の上を通過する。この無線の発信音を聴いてパイロットは進入決定限界高度を確認する
「200(フィート、約60メートル)… デシジョン・ハイ」
 高度200フィート通過。
「オオサカ・タワー オールニッポン510 エスタブリシュド ローカライザー」(大阪タワー管制へ。こちら全日空510便です。ローカライザーに到達しました)
「オールニッポン510 ラジャ リポート アウターマーカー 32レフト」(全日空510便へ。了解しました。アウターマーカーに到達したら報告して下さい。滑走路32Lです)
「32レフト」管制官は進入している全日空510便767を滑走路32レフトにつけて日本近距離航空9175便のあとを飛行させた。その前を東亜国内航空634便が32ライトに向かって進入している。この時刻、次から次へと伊丹空港に向かって飛行機が進入して来るのだ。
 日本近距離航空9175便は徐々に高度と速度を落とし、眼下で滑走路が段々と大きく、そして北へと続いている。
「100(フィート、約30メートル)…102(ノット、時速160キロ)」
「100(ノット)…」
「98(ノット、約150キロ)…」
「スレッシュ ホールド」
 滑走路末端を通過した。32Lの文字上を駆け抜け、目の前に長さ3500メートルの滑走路32のアスファルトが続いている。コックピットの緊張感は最高潮に達していた。
 機長はスレッシュ・ホールドを高度約50フィート プラス エレベーション、適正なVスレッシュ・ホールドで通過し、正しく接地点に接地するよう操作をした。必要着陸路長は正しいグライド・パスを進入し、適正なスレッシュ・ホールド・スピードでスレッシュ・ホールドを50フィート プラス エレベーションで通過することを基準としている。スレッシュ・ホールド通過後、沈みに応じて徐々に飛行を起こし、グランド・エフェクトが現れる所から、静かにパワー・レバーをミニマムまでリデュースし、その間ノーズ・アップの姿勢で接地する。因みに、通常ノーズ・アップは約10度にすると、胴体リブ下面が地面に接触することがある。
「タワー (トーアドメス)634 ライト ブレイク」(大阪タワー管制へ。東亜国内航空634便です。右側に針路を取りました)管制官は日本近距離航空9175便のすぐ後に進入中の花巻初のTDA634便YS-11が呼びかけてきた。
「トーアドメス634 ラジャ …コンティニュー アプローチ…」(了解しました。進入続けて下さい)
「ラジャ コンティニュー アプローチ 634」(了解しました)
 日本近距離航空9175便は着陸地点に迫った。機長はスラストレバーをアイドル状態にし、コックピットは一瞬の間、静寂に包まれた。
「ゾーン」
 副操縦士が着地点を示す位置をコールしたと同時に、YS-11はメインギアを接地させる。「ドン」とメインギアが接地した音の後に、ノーズギアが静かに接地する。フラップとプロペラに強烈な風が当たり、YS-11は急激に減速した。
 日本近距離航空9175便は無事、雨が上がった大阪伊丹空港へ着陸した。時刻は17時25分である。

つづく

桃田素晶・武田一男

<おことわり>本作は1985年当時の音源を使用し当時の模様をお届けしておりますが、文中で使用している図は、当時のものと異なります。特に伊丹空港のチャート図などは、当時のものを使用しておらず、スポットまでのルートに違いが生じていますが、参考に必要と考え、そのまま掲載しております。

航空ドキュメンタリー YS-11コックピット「雨中航路」/全10回
解説 桃田素晶/録音 武田一男 ©Director’s House

【著作について】「雨中航路」収録している音声、音源のすべては武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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