第33回「労使のハザマで」(5/5)

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現場管理職の団結の動きの行く末

各部に約120チームを6室、各室には5名の現場管理職(全て乗務員出身)が4、5チームを担当していました。
1チームはチーフパーサー1名、パーサー2名、他の乗務員18,9名で構成されています。各部で私のような現場管理職は30名、3部門で100名の管理職になります。管理職にも組合別の出身者の比率は明確で、私のような元客乗組合に所属していたのは全体の約2割に満たないのです。従って、配下の客乗組合のチーフパーサーやパーサーの半数は先輩だったのです。そして、公平に見て、彼等の機内業務は分裂工作で誕生した、いわゆる御用組合と称される全労組合所属の乗務員よりも仕事のレベルは高い評価をお客様から得ていました。

但し、一部の過激的な乗務員や高齢で手を抜く女性乗務員は概して不評です!
さて、こんな状況下で私は問題意識の高い現場管理職の仲間に今回の件で体験したことを話して、私の考えに同調する仲間の輪を広げることを始めたのです。

ところが、1ヶ月もしないのに、例の副本部長や直属の部長から急に呼ばれて、詰問されたのです。
「君は管理職組合を作るつもりなのか!」
私は、今回の件で現場管理職は会社の職制として懸命にやっているのに、会社は守ってくれないことに失望したと率直に話したのです。
現場管理職の地位の保全を確保する為には、相互の情報交換や相互に補完し合う、いわゆる相互扶助の必要性に基づく団結力が必要だと考えるようになったことも。そして、別に管理職組合を作ることは現段階では考えていないことも。
「君の気持ちは同じ乗務員出身の我々は理解できるが、管理部や本部長は君の言動に疑念を持っているようだ・・・」
これは、その直後に、私が声を掛けて2、3度食事会に集まったメンバーにも同様の警告があったことを彼らからの報告で知ったのでした。こうして、私の当初の計画は簡単に崩されたのでした。

つまるところ、客乗組合出身の管理職は常にチェックされ、所詮現場管理職としてうるさい客乗組合員の対応の当て馬としての処遇にしか過ぎないのだと確信させられたのでした。
私に同調してた同僚が「所詮、我々はインデイアンで白人にいいように使い捨てされるのさ、入社した時点で決まってるんだから・・・」と寂しそうにつぶやいていたのが印象的でした。

この直後に私はうるさい人物であり、名誉ある部長特認業務担当と称して部の年度報告や次年度の方針の企画、部全体の人材教育というプロジェクトの責任者に任命されて、エネルギーをそれに集中せざるを得ない処遇にされてしまったのでした。
本部長、管理部長主催で毎朝行われる管理職ブリーフィング(30分の会合)では、日々の運行状況と客乗組合と会社の対応、客乗組合員への脱退工作の強化を促す指示が出されていたのです。私はこの会に出席しており、このままではJALの商品の主たる機内サービスはどんどん劣化していくだろうなと切ない思いを抱きつつ、こんな経営陣ではJALの将来は危ういと危惧するようになっていたのでした。

JALの将来は危ういと危惧

我々の職場は労使間、労労間の問題が同じ職場に2つの組合ができて以来ずっと続いていました。
私はこんな状態では本来業務の機内サービスに支障が出ており、サービスの低下になると確信していたのです。従って、部の次年度方針にもこの点を盛り込んで提出したのでした。結果は、その箇所だけが削除されて本部に提出されたのでした。

1つのチームで1つの便を担当するのですが、チーム編成は4種類に区分けされていました。

【A】チーム:御用組合のメンバーだけ
【B】チーム:御用組合+大人しい客乗組合員
【C】チーム:御用組合のシンパ+客乗組合員
【D】チーム:客乗組合員のメンバーだけ

そして、チームリーダーであるチーフパーサーも過激な客乗組合のチーフはリーダーにはされずに管理職の配下でした。
担当する路線も×チームはお客さんとの対面時間の少ない短距離便が多く、【B】・【C】チームは比較的長い行程のパターンが多く、この間に客乗組合員の脱退工作を進める機会として組み込まれていたのでした。

この担当路線の配分については、非難が集中したので、2年後には改善されたのですが、リーダーから外されたチーフの処遇は継続されたのでした。労務部と管理部は客乗組合執行委員の処遇には特別待遇でした。
私の配下のAチーフは先輩で一見大人しく見えるのですが、彼には泣かされたものです。彼が待機日に乗務指示を電話で伝えると「はい、わかりました」と答えるのですが、その直後に運航担当の当直に電話で「体調が悪いので休みます」と連絡するのです。

そして比較的楽なパターンの場合だけ乗務をするのでした。
私が年末の人事考課で彼の評価は組合執行委員としての活動と乗務を5:5の比率で評価して、組合活動は10点満点、乗務評価は2点の計12点で第一次考課を付けたのです。成績は15点の「3」が普通ですが、彼の場合は12点で「2」のマイナス評価となるのです。
ところが、第二次評価者の上司から「これは困る!彼は昨年も”4″だから4にしてくれと言うのです。

私は最初、彼の言ってる意味が理解できなかったのですが、「私は配下乗務員の考課は組合別とか、執行委員とかは考慮せずに公平に本来業務だけで採点しているので、承服出来ません。訂正するつもりはありません!」

管理部も同席した最終的な人事考課会議の場で、彼の評価を私は問題にしましたが、結果的に本部長・管理部長決済ということになったのでした。そして、結果は「4」優れているという評価になったのでした。私が個人的に調査すると、全労組合執行委員は全員が「5」極めて優秀、一方の客乗組合執行委員も一部を除き「5」か「4」だったのです。

これらの現実に直面した私は、あの不当介入事件での私への処遇とお客さん不在で、顧客サービスとは無関係だという労務部・管理部やそれぞれの組合執行部の方針に改めて愕然とし、組織管理職を目指すことを断念したのでした。
そして、ひたすら目前の現場乗務員の育成に全力で取り組み、彼等から慕われる現場管理職として努めることを決断したのでした。

風天マン

実録「ハチャメチャ乗務員の飛行日誌」
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  1. 風天マン様、こんにちは。
    作品、届きました。ありがとうございます。
    この週末、楽しみに拝読させていただきます!

    • 風天マン
    • 2011年 5月19日 5:08pm

    トメさん、皆様。
    初めての拙著「熱血パーサー乗務録」を多くの皆様にご注文
    いただき、本当にありがとうございます。
    これもひとえに竜子さまのご協力のお蔭だと感謝しております。
    出来れば、読後感の忌憚のないコメントを戴ければ嬉しいです。
    よろしくお願い申し上げます。

    • 竜子
    • 2011年 5月19日 7:57pm

    ■風天マンさん
    いえいえ、わたしは何も…。
    販売、うまくいくといいですね^^

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