武田一男さんに感謝を寄せて

こんにちは、竜子です。

今日はみなさんに、お知らせしなくてはならないことがあります。

去る5月14日、武田一男さんが他界されました。

武田一男さんは、2008年の5月末にひょっこりとこのブログに現れました。このブログを始めた当初に購入した、武田一男さんの著書へのレビューに、レスポンスくださったのがきっかけです。そのコメントは、このブログを始めて、初めてついたコメントでもありました。私は、まさかまさかの著者ご本人の登場に驚きました。なぜなら、その著書について感動したことを述べつつも、生意気にダメだしなんかをしていたからです。
武田一男さんの業績については、「Airmanの飛行機写真館」のAirmanさんも紹介されています。

それから3年の間、語りきれないほど本当にいろんなことがありました。

出会った当初から武田さんが大腸がんを患っていて、抗がん剤治療をされていると伺っていました。そして抗がん剤治療は、ほんの僅かの期間を除いて、ずっと続いていました。体への負担が大きくて、時折、その副作用で入院されることもしばしば。その度に、電話やメールが止まって、私は心細くなるのですが、しばらくすると「やんなっちゃうよね〜、死にそうになっちゃったよ」なんて笑いながら、電話がかかってくるのです。
1ヶ月前には「骨に転移しちゃったんだよね。まったく、やんなっちゃうよねぇ〜」とおっしゃるから、私はほんの一瞬だけ寂しい気持になりましたが、一緒に進める予定だった仕事の話のときに「ブログネタも集まるし」と、ブログの企画の話をしながら、色々と楽しいことを思い描いて喋っている姿に、「武田さん、それだけ話が膨らむんだからやっぱり安心ですね」と言ったら、「そりゃそうだよ、まだまだやらなくちゃいけないこと、いっぱいあるから死ねないよねぇ」と独特な口調で笑っていたんです。その後も、お電話で話をしたばっかりだったから、なんだか、また「やんなっちゃうよねぇ〜」って電話がかかってきそうで、1週間経った今もまだ実感がわかない、というのが正直なところです。

でも、実感ってそもそもなんだろう?って気もします。
武田さんは、体の調子が悪い時でも精力的にこのブログに力を注いでくれました。武田さんが抗がん剤を投与されている間も、私は武田さんの体ががんに冒されている、ということを実感することはほとんどなかったように思います。だって、武田さんは本当にパワフルで「次、なにやる?」「惜しまず出そう」「まだまだ序の口」「次の作戦練ったよ」「次の企画書です」「あれ、まだやらないの?」なんていって、私が根負けするほど次から次へとアイデアを出しては「この〜。乗り気じゃないな?」と、常に冗談を言ったりしていたから。

その勢いに圧倒されて私がまいって(「もう嫌だ!」と)投げ出したときは、武田さんは大怒りで、怒った。
ものすごく怒った。
怒りのメールも、ものすごく長い文面だから添付ファイルにして送ってきて。
武田さんは後に「あのときの喧嘩」と言っていたけれども、「喧嘩するのも、結構パワーいるんだよ。おまけにあんなに文字まで書いて」と、私をからかうように言って笑ってたんです。

それから、武田さんの著作物を勝手に(作品を冒涜するようなコメントと共に)動画サイトにアップしている人に対して、「アイツ潰しちゃおうよ」なんて言って、乗り込んでみたり…(もちろん違法行為に対して合法的に対処しただけなのですが、武田さんの学生のような言い草がなんだか楽しくて)。普段はものすごく穏やかで、繊細で、私のような人間を放っといてくれるほどの寛容さをお持ちの(希少な)方なのに、いざとなると血気みなぎり、誰よりもアクティブになり、(おこがましい言い方ですが)茶目っ気もある。そんな方でした。

それから大切なのは、このブログを通じて、武田さんはいろんな縁を作ってくださいました。
武田さんがブログに寄稿くださったり、作品を提供してくれたことで、武田さんのファンの方との縁や、新しい読者のみなさんとの縁を結んでいただきました。「武田一男さんただおひとり」と思われた「コックピット・ドキュメンタリー」の技術は、ブログの熱心な読者のひとりだった桃田素晶さんに継いでくださり、リニューアルの骨子案ではMattariさんの起用を最初におっしゃったのも武田さんです。また、「Airmanの飛行機写真館」のAirmanさんとも、共同企画を行ったり、というのも武田さんあってこそです。
それに、何を隠そう…。そもそもこのブログのリニューアルは、先の武田さんとの(武田さんいわく)喧嘩があって実現したものなのです。

私にとって濃厚でとても密度の濃い3年間をくださった武田一男さんに感謝を寄せて、今日から1週間この作品を公開し、武田さんのお見送りに代えさせていただきたいと思います。

この作品は、2009年の年末特別企画として「Airmanの飛行機写真館」と合同で行った企画「Symphony of the Air」で披露したものです。武田一男さんが急逝された日の晩、Airmanさんも私も、奇しくもこの作品を繰り返し見ていたのでした。
武田さんの皆さんへの思い入れが詰まっている作品のひとつです。
今回もAirmanさんと一緒に、本作公開をいたします。

なお、ご葬儀は武田さんのご家族のみで行われましたこと、併せてご報告いたします。

今日は、有志の方に武田一男さんへの感謝の気持をクリックでいただければ幸いです…。

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  1. おはようございます。
    今朝 Airman さんのブログで悲報を知り驚いています。大腸がんだったのですか…。うちのお袋と一緒です。
    昨年武田さんから拙ブログに突然コメントをいただいてびっくりするやら、嬉しいやら。
    その後ヨーロッパ飛行での竜子さんとのご縁を結んでくれたのも武田さんのコメントからでしたよね。
    航空ファンにとって本当に惜しい方を亡くしました。
    謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。

  2. 竜子さんの文章を読んで武田さんとのメールのやり取りや電話のやり取り、出版社でのやり取りなど様々なことを思い出しました。
    本当にパワフルでしたよね。
    私が仕事と企画の両立で悩んでいた時にも、「男は仕事を2つ持つもんだ!」と励ましてくれたり、「老人力を使え!」とアドバイスや力を貸してくれたり、私の撮る写真を見ては「こういうの好きなんだよねぇ」と笑ってくれたり。。。。
    思い出は尽きません。
    病気と闘いながらも楽しい仕事をさせてくださいました。
    訃報を聞いた日、真っ先に思い出し、見返したのがこのSymphony of the Airでした。私も「あなたもスライドショーで作りなさい! 同時上映しようよ」と言われ、チャイコフスキーの6番で製作したのですが、何度もダメ出しをされ、途中何度も挫折しそうになりました。決して妥協をしない人、いつも作品を見る側の立場に立って考える人でした。
    最後に完成したとき、涙声で「やったね! これがプロのしごとだよ!」と言っていただいたとき、涙があふれ、言葉をなくしました。
    Jet MusicやThe Contrailの時も、ブログで作品を発表するたびに「すごいよ!」といったメールや電話を何度もいただきました。(もちろん、いろいろなご指摘とともに。。。)
    この「週刊 飛行機ダイスキ」も竜子さんと武田さんの魂が込められた場所です。
    航空雑誌など書籍はたくさんありますし、武田さん自身さまざまな作品を世の中に出してこられましたが、武田さんいわく、「これからの時代、この”週刊 飛行機ダイスキ”のような”場”が必要なんだ!」と熱く語っていました。音があり、文字があり、映像があり、画像があり、飛行機を体感できる場所。
    この魂を引き継いでいきたいと思います。
    竜子さん、ありがとうございます!!
    そして、、、
    武田さん、いつまでも武田さんの魂は私たちの中で燃え続けていきます!! 見ていてください!!

    • 竜子
    • 2011年 5月21日 10:45am

    ■haruhikonさん
    武田さん、一体どこでどう時間を工面しているのか、いつも沢山のブログを歩いては細部まで見渡していたように思います。
    「航空ファンにとって」、まさしくその通りだと思います。
    武田さんはサービス精神溢れる、唯一無二の航空ファンの財産でした。

    • 竜子
    • 2011年 5月21日 11:10am

    ■Airmanさん
    本当にパワフルでしたよね!
    ランキングでこのブログが"一時的"に1位をいただいていたとき、いよいよAirmanさんが1位に戻り、こちらが2位下降、となったとき、武田さんが毎日のように、「Airmanさんはこうだよ!」「Airmanさんトコはこうだよ!」って言うから、「比べないでください! 観音様のような温かさはありません」って武田さんに逆ギレしたことがありました…。
    そしたら「観音様は良かったな!」、「あのとき言った観音様は…」って、いつまでも「観音様は…」とくどくど言われて、忘れた頃にまでさんざんからかわれたのを思い出しました…。こちらは赤面ものです。
    私は結果的にお仕事で一緒の作品を残したりしなかったので、Airmanさんうらやましいな、って思います!
    そっかー。魂ですね…。
    武田さん、よく「魂には種族があるんだよ」っておっしゃってました。
    う〜ん。魂か…。ソウル…。

    • Akio
    • 2011年 5月21日 2:04pm

    そう言えば、「symphony of the air」のDVDを下さった事を思い出しました。
    あれは、本当に好きです。
    機長席のアプリなども、本当に凄いできでした。。。
    今は、ただ言葉を失うばかりです。

    • 宮川昭夫
    • 2011年 5月21日 4:22pm

    みなさんのブログを通じて、たくさんの素敵なつながりが出来、武田さんも、ここ数年は辛い体調をかかえながらも、ますます楽しそうでした。
    武田さんとのことは、思い出すことがたくさんありすぎます。
    いつも新しいことを考えていらっしゃいました。
    今でもまだ普通に声が聞こえてきます。
    退院されたらまた続きにとりかかるはずだったのに。
    今もまだ普通に声が聞こえてきます。
    悲しさがこみあげてきます。
    今は、大好きな空に帰られて、のんびりして下さっていることでしょう。いや、武田さんのことだから、空でも、さっそく新しい楽しい企画を考えていらっしゃるとも思います。
    武田さん、みなさん、ありがとうございます。

    • 竜子
    • 2011年 5月21日 9:36pm

    ■Akioさん
    そうそう、「symphony of the air」のDVD!
    「ブログの方にクリスマスカード代わりに贈りましょう。お洒落なクリスマスカードだと思いませんか?」
    そういって私に沢山送ってくれました。
    作品が上がってからも、音響や画質にこだわっていましたよ。
    CDやDVDでいただいても、ブログで掲載するときにはどうしても劣化してしまうんですよね。
    掲載するデータサイズと、画質と調整しながら。それから絶対に「音」に妥協しないのが武田さんでした。
    ■宮川さん
    武田さん、いつもいつも「宮川クン」っていってました。武田さんの本業は音楽だから、宮川さんの存在は武田さんにとってとても大きかったと思うし、ものすごく楽しそうでした。
    「宮川クンのピアノがいいんだよねぇ〜」と、あの独特な語尾を唸らせる声で言っていて、「笑っちゃうでしょう〜?」といいながら宮川さんとの出合いもおっしゃっていました。「キラキラした原石」と、とにかく楽しそうに。話しているとき、武田さんの目ん玉のほうがキラキラしてるよっ、ってくらい。
    本当に、まだすぐそこで声が聞こえてきそうなんです。
    でも宮川さん、大丈夫ですよ。武田さんが残していったものはまだまだこんなもんじゃないから。この1週間、そう思えてきました。

    • 風天マン
    • 2011年 5月22日 1:45am

    私はこの「週間飛行機ダイスキ!」に寄稿させていただいている新参者ですが、武田一男さんの作品はいつも楽しみにしていました。
    ご自身が飛行機が心から大好きなんだなという印象を抱いていました。
    皆さんのコメントから、武田さんは確実に多くの後継者を育成されたのだと思います。
    そして、これからも武田さんの魂・志は引き継がれていくだろうと思っています。  合掌

    • キネマ航空CEO
    • 2011年 5月22日 8:27am

    武田さんとの出会いは中古書店の航空関係の棚にあった「機長席」を見かけ「ほう、CD付きか」と中も確認せずに購入したときです。
    なんと中身はナベサダのジャズ・ディスクでした。もちろん新刊で購入したのは言うまでもありません。
    映像が素晴らしいのは勿論ですが音の記録は映像と違って人間の心が、時には爆音の中に機械の心が、見えることにこだわられたのだと思います。
    そして映像と音の融合に挑戦されていた中でのご逝去は無念なことと思いますが双方で後継となる方を育てられて満足されて離陸されたと想うことにいたします。
    この「週刊飛行機ダイスキ」では武田さんの「ボイス・レコーダー」となっていただき、そしてご冥福をお祈りしたいと思います。

    • 竜子
    • 2011年 5月22日 11:29am

    ■風天マンさん
    コメントありがとうございます!
    新参者なんて! WEBの時間の流れは早いようで、密度が高いですからね。
    引き継げるように、頑張りたいと思います!
    風天マンさんも、これからもよろしくお願いします!
    ■キネマ航空CEO
    JAZZディスク! 凄いオチですね。
    CEOのおっしゃる通り、音って素晴らしいですね。
    ボイスレコーダー。了解です! そうします。

    • Mattari
    • 2011年 5月22日 3:55pm

    書き込み遅れました。
    訃報を聞いたあの夜は信じられなかったな。
    いろんな意味で武田氏に鍛えられてブログの
    1コーナーを与えて下さったのは嬉しく思います。
    確か高校の時カセットで買ったJALのB747ヨーロッパ飛行が
    武田氏とのはじめての接点だと思います。まだ見ぬ欧州への
    憧れを増幅させ、臨場感に溢れるあの作品は海外へ
    目を向けさせてくれたものです。
    さぁ、また何か書こうかな(笑)
    Mattari君!何か書けよ〜!と天から叱咤激励が
    未だ聞こえそうに感じますよ。

    • そうちゃん
    • 2014年 7月8日 12:09am

    私は子供の頃から飛行機が大好きで、中学生の頃に武田さんが作ったレコードに出会い、擦り切れるほど聞きました。そのおかげで、いまは航空会社で勤務しています。武田さんのご冥福をお祈りします。

      • 竜子
      • 2014年 7月14日 12:54am

      そうちゃん・さん、こんにちは。
      返信が遅くなりました。

      コメントをくださり、ありがとうございます。

      武田さんのレコードがすり切れるほど聞いたという方が羨ましいです。
      私はタイムリーな出会いはなかったので、昔に聞いていたらどうだったんだろうな、と思うこともしばしば。
      そうちゃんさんは航空会社勤務とのこと。
      そういう方が中でお仕事されているのかと思うと、なんだかあたりまえのようで、でもやっぱりあたりまえではないようで、不思議なものですね。

    • 夫馬信一
    • 2016年 8月27日 10:46am

    はじめまして。私は書籍の編集に携わっております夫馬という者です。どちらにご連絡すればいいのか分からず、こちらに書き込みさせていただいております。私が現在、制作している書籍で、こちらのブログのコンテンツであり、武田一男氏が制作されている航空ドキュメンタリー「最後の飛行」を参考にさせていただいている部分がございます。そのため、本書の巻末の「参考文献」に記載したいと思っておりますが、その場合の記載内容について確認させていただきたいと思いましてご連絡させていただきました。大変お手数をおかけいたしますが、私までご連絡いただけたら助かります。よろしくお願い致します。

      • 竜子
      • 2016年 8月30日 12:53am

      メールいたしました!

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