映画で巡る空の旅・キネマ航空フライト601便「パリ空港の人々」

「パリ空港の人々」 OMBES DU CIEL (1993/フランス)

【スタッフ】
監督 フィリップ・リオレ
製作 ジル・ルグラン/フレドリック・ブリリョン
脚本 フィリップ・リオレ
撮影 ティエリー・アルボガスト
音楽 ジェフ・コーエン

【キャスト】
ジャン・ロシュフォール/マリサ・パレデス/ティッキー・オルガド/ラウラ・デル・ソル/ソティギ・クヤテ/イスマイラ・メイテ

無効旅券を持っていたためシャルル・ドゴール(パリ)空港のトランジット・ゾーンに暮らすことになったイラン人の実話をもとに作られている。トランジット・ゾーンは治外法権とまではいかないまでも国家が直接に権力を行使したくない外国人居留区画といったほうが良いようだ。したがい管理責任は空港長にあり、かれもまた空港内の規則を優先して事務的に処理をすることになる。

日本国の発行する旅券に守られた日本人が経験することはまずない世界を主人公に置き換えて経験できるのも映画です。

物語は深夜に到着するボーイング747のクローズアップではじまる。主人公はフランスとカナダの二重国籍で、居住地はイタリア、妻はスペイン人という複雑な身のうえの図像学者のアルチュロ。モントリオール空港でパスポートや財布の入った鞄と靴を盗まれたのだがとりあえず残された搭乗券で飛行機に乗った。どうもシャルル・ド・ゴール空港で待つ約束の妻に頭が上がらぬらしい。

運がわるいことに日曜日で12月30日の深夜ということで本人を証明する写真が入手できずパリの入国管理局で足止めを食らい靴下のままの情けない姿でトランジット・ゾーンに戻される。

そこには1週間以上も入国が認められず、父親が迎えに来るのを待っている黒人少年ゾラ。国外追放となり国籍を剥奪されたラテン・アメリカ系の女性アンジェラ。何処へ行っても滞在を拒否される虚言癖の自称元軍人のセルジュ。そしてどこの国の言語か分からない言葉を話す黒人の通称ナック。彼らはもう何ヵ月もここで放置されたまま各々の居場所をつくり擬似家族のような生活をしていた。

ゾラに連れられトランジット・ゾーンをさまようアルチュロは人気のなくなった空港内を右往左往する細君と締め切られたガラス越しに遭遇するが会話がかみ合わず細君はヒステリーをおこしてしまいファースト・クラスという無人のカプセルホテルに泊り設備に八つ当たりをはじめる。

翌31日になってもアルチュロの国籍証明は得られずさらにもう一日と引き伸ばされる。そうして彼らが空港内でどうやって生活するのかを学んでいく。

大晦日のどさくさにまぎれてゾラが故郷で夢見ていたセーヌ川の船を見るつかの間のパリ見物のシーンがやるせない。そしてアルチュロは元旦にカナダ大使館から写真が届いて入国できることになるが…。

登場するのはマグダネル・ダグラスDC-10、ロッキードL-1011 トライスター、ボーイング747で初代ジャンボ機の揃い踏みが見られます。ちなみに“ジャンボ”は客室通路が2本以上ある広胴機を指しており747の代名詞ではありません。したがいエアバスA380はスーパージャンボと呼ばれます。

パリ空港の人々

その他、鶴丸印の-400や737が遠景に出てきます。いずれもロケによる実写です。

この話のモデルとなった、サー・アルフレッド・メヘランは「ターミナルマン」(バジリコ)という著書を出している。また、おなじ実話からスティーヴン・スピルバーグが監督してトム・ハンクスが主演した「ターミナル“TERMINAL”(2004)」がある。こちらの空港シーンは全部セットで撮影されたそうだ。それもあってかよくもわるくもアメリカ映画で主人公とストーリィの展開は軽い。とはいえ主人公にかかわる空港で働くアメリカ移民にのしかかる世知辛さはでている。飛行機は747のノーズがでてくる。とするとこの飛行機も大道具かCGか?

キネマ航空CEO

ターミナルマン

▼ターミナル(スピルバーグ監督/トムハンクス主演)

キネマ航空CEO

「映画で巡る空の旅・キネマ航空フライト」
©キネマ航空CEO

【著作について】「映画で巡る空の旅・キネマ航空フライト」 はキネマ航空CEOの執筆によるものです。一般的な「引用」の範囲を超える紹介など詳細については当ブログ info@airjapon.com(管理人:竜子)、またはキネマ航空CEOまでお問い合わせください。

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    • キネマ航空CEO
    • 2011年 7月29日 9:49pm

    エールジャポン竜子CEO、
    601便のディスパッチありがとうございます。
    ここで竜子CEOとご搭乗の各位にお願いがあります。
    左上の写真をDC-10としましたがMD-11かもしれません。両者の識別は窓の数と水平尾翼の大きさだと考えてはいますがこの写真ではなんとも判別できません。
    また塗装から判定する航空会社もキネマ航空CEOには手にあまります。航空会社と撮影時期からの特定も行なっていただければうれしいです。
    そうそう竜子さん、
    原文側の整備が悪くて9番目のブロックが重複しているようです。ツーメン・クルーで航空機関士が不在ですが引き返さず飛行中に整備していただければ幸いです。

    • Mattari
    • 2011年 7月29日 10:50pm

    この映画のタイトルは聞いたことあって
    同時に初めてパリへ向かった日を思い出しました。
    長文ですみませんが興味あればお読み下さい。
    確か英国遊学中の94年冬に学生ビザ更新の絡みでパリへ出国し
    学生料金で往復50ポンド(当時で8000円程度)という
    ナショナルエクスプレス夜行バスが一番安く
    途中フェリーでドーバー海峡を越えるのが新鮮で
    如何にも国境を越える感じが良かった。
    あのバスの中も国籍のルツボで隣の席は仕事で
    フランスのビジネスビザをやっと取ったというインド人の男や
    この年から増えた韓国人の若者バッグパッカーも
    韓国語版の地球の歩き方ヨーロッパ片手に
    何人か団体でいたっけ。
    ただ不思議だったのは私の赤いパスポートを見た途端
    フランスの入国管理官が明らかに「また日本人かよ!」と
    面倒臭そうに中身も見ずにスタンプすら押さない!
    つまり初フランス入国はスタンプなしだったんです。
    絶対入国時はスタンプ押されるとばかり思っていたから
    これはカルチャーショックだった。。
    それに比べ、インド人や韓国人に対しての入国チェックが
    とっても厳しい事!
    何とも複雑なものを感じたけど同時に日本パスポートの
    効力を有り難く感じたものです。
    パリへ行くのにこんな時間の掛かるバスに乗ったのも理由あって
    フランス製のメルキュールという引退間近のジェット機に
    わざわざ乗るためのお金を捻出するという理由もあり
    パリ・オルリー〜クレルモンファランドという区間を
    日帰りで往復したんです(笑)確かこの時はロンドン市内の
    エールフランスで学生運賃で発券し14000円程度でした。
    珍機を堪能し、しっかり学生ビザ更新出来ると思いきや
    帰りのドーバー入管で書類の不備があり何と別室送り!
    でもその別室の中は殺風景で
    無料で飲めるジュースの自動販売機と普通のイスが数個
    置いてあるのみで、他に入国出来なかったのは
    東欧系の若い女性がひとりいたのを覚えている。
    そんな無機質な空間でまだ覚えたての英語を駆使して
    入管管理官が私に色々と質問を投げ掛けてくるうちに
    面白い事がわかる。何と私の親父が勤務していた会社の
    シンガポール支店へ以前彼は勤めていたというのだ。
    それから話が弾み、それがキッカケというわけじゃないけど
    一応通学先の週当たりの授業時間を増やす事を条件に
    約8ヶ月の学生ビザ延長を認めてくれた。
    入管絡みの話しというとこの別室泊まりを今でも
    思い出すのだ。。
    ■キネマ航空CEOさん
    左上の写真は着陸中が旧塗装フェデックスのDC-10-30貨物機で
    隣で着陸待ちもノースウエストのDC-10-40ですね。
    TWAの747-100とトライスターも懐かしい!

    • B777
    • 2011年 7月29日 10:58pm

    最初にお断りですが、「ド素人から見て」なのでアテにしない
    で下さいね。
    目をこらすと、
    主翼先のウイングレットが無いのでDC-10と思われますが…
    如何でしょうか?
    ウイングレットがあればMD-11、無ければDC-10と認識して
    います。(間違っていたならスミマセン)
    って、コメントしようとしたら…
    来ましたね〜っ! Mattariさん!(^^)v
    判別方法は別として。。。結果的に一緒だったので、
    ホッとしました。

    • 竜子
    • 2011年 7月30日 1:42am

    ■キネマ航空CEO
    CEO、すみません!
    最後に組み合わせたときに、だぶらせてしまいました(記憶にあります)!!
    申し訳ありませんでした。そして、教えてくれてありがとうございました!
    飛行中に整備させていただきました。
    DC10でよいようですねっ!
    DC10とMD11は、ウィングレットで識別できるようですが、枝番までわかるのはさすがMattariさんといったところでしょう…。
    ■Mattariさん
    ドーバー海峡横断は、ひとつの夢ですね…。
    ドーバー海峡には、飛行機野郎の熱い想いが詰まっていて、船でも飛行機でもいいので、一度渡ってみたいものです。
    > 面倒臭そうに中身も見ずにスタンプすら押さない!
    > つまり初フランス入国はスタンプなしだったんです。
    いいじゃないですか。信用ある赤いカードって、鼻が高いですよねっ。
    「押して!」とは言わなかったんですか?
    私もイタリアで中も見ないでスルーされそうになったので、ちゃんと開いてココに押して、って言いました。
    あのスタンプには、ひとつ押すにも国民性が現れるようで、なかなかいいものですよねっ!
    でも、異国の入管で夜を明かすって、なんだか怖い話ですね…。
    ■B777さん
    こんにちは!
    DC10とMD11は、ウィングレット識別で!
    識別方法を集めたら、面白いですね!
    (教えたくない人も多いとはおもいますが…)

    • キネマ航空CEO
    • 2011年 7月30日 6:36am

    Mattariさん、
    ご搭乗ありがとうございます。あのキャプチャー写真でそこまで識別できるとは!
    ダッソー・メルキュールに乗る旅のお話楽しく読ませていただきました。でも週当たりの授業時間の増加が交換条件とは。ありがた迷惑の粋なはからいといっていいのでしょうね?
    手元の資料ではメルキュールはたった10機しか製造されていなかったようです。
    ボーイング737サイズなのになんであんなに航続距離が短いのか?疑問が募ります。フランス映画には登場することもあるのでしょうがいまだ未見です。キネマ航空では上映することは難しそうなので、ぜひダイカスト・プレーンによるMattariさんの比較フライトをお願いします。キネマ航空も竜子さんのフライト・プランなし、締め切りなしの運行方針に甘えております。
    B777さん、
    ご搭乗ありがとうございます。ウイング・レットはボーイングの例にならってオプションだと思い込んでいました。MD-11には標準でつける必要があったのですね。ご指摘ありがとうございました。
    竜子CEO、
    エール・ジャポンのお陰でスッキリとしました。CEOはじめ皆様に感謝いたしております。
    8月のキネマ航空の運航は熱くて熱くてエンジンのパワーが出そうにありません。離陸させるつもりですが少しばかりPCと一緒に暴走するかもしれません。

    • 竜子
    • 2011年 7月30日 3:06pm

    ■キネマ航空CEO
    ポンコツ、オンボロでご迷惑ばかりおかけしてますが、気長におつき合いくださるキネマ航空CEOに心から感謝しています。
    ところで、キネマ航空の本サイトの600便、700便、と便名が飛び飛びなのはなんでだろうと思っていましたが、「月」だったのですね!
    こちらでは、
    700便台を飛行機の映画
    600便台を飛行機以外(空港など)の映画
    として運行させてます。

    • SportsKite
    • 2011年 7月30日 5:56pm

    皆様、
    興味深いお話をありがとうございます。
    パスポートへの入出国スタンプの押し方にはお国柄が表れていて面白いですね。
    20数年前まではそうでもなかったと思うのですが、日本の入出国管理は几帳面で、出国印の隣にしっかりと向きをそろえて入国印を押してくれます。
    他の国はどこでもかなり適当なようで、開いたページに空白があればそこへ無造作にぽん。
    海外出張が多かった頃は、出来るだけパスポートの増補を先延ばししたかったので、入国時にここに押しててとばかり、ページを開いて提出をしていました。
    北京空港の早朝の成田便へ搭乗する際、出国管理の女性オフィサーが眠そうにスタンプを押していたので、マジメニ仕事をしろよと心の中でつぶやいてしまいました。
    しばらくしてゲートで搭乗を待っていると、さっきの女性係官が小走りでやって来て、一人一人パスポートを再確認し、何人かに再度スタンプを押しています。
    寝ぼけて、昨日の日付のまま最初の十数人に押してまったようでした。
    僕のパスポート上のその時の北京空港の出国印はにじんでいて、日付がはっきり読めません。笑

    • Mattari
    • 2011年 7月30日 9:23pm

    ■キネマ航空CEOさん
    うーむあのメルキュールって、何と未だに
    ダイキャストがどのスケールサイズでもリリース
    されておりません(汗)昔撮ったスライドを探して
    記事作るしかないかな。
    ■竜子さん
    スタンプ押してという度胸がなかったのだな(汗)
    ■SportsKiteさん
    えぇ〜スタンプの日付を間違ってたんですか?
    そりゃその係官も走ってくるのはわかる気がします(笑)

    • 竜子
    • 2011年 7月31日 8:30am

    ■SportsKiteさん
    本当に、あのスタンプには国柄が詰まっていますねぇ。後々で眺めると、クスッ、となります。
    日本のスタンプは、入国と出国の時系列がしっかりしているし、インクのノリも良い感じですが、いまだどこの国か分からないよ! っていう薄いインクのところもあれば、逆さだったりと…。
    空いてるページに無造作に、というところがほとんどだと思いますが、開きやすいページ(ICチップのかたい面付近や、最後のほうのページ)にポン、というのが中国とモロッコ(?)。
    ↑でもこれは、文字の流れによる本の右開きの文化と左開きの文化の違いかもしれません(本来縦書きの日本は右開きなのですが…)
    イタリアはお願いしたら、過去に成田の入管さんがきれいに並べてくれたで6個のスタンプの真上から、ドン、でした。
    ■Mattariさん
    けっこう度胸ありそうじゃないですか…。
    意外ですねっ!

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