空港ではたらく車 フード・ローダー編

こんにちは、竜子です。
「空港ではたらく車」、第2回はフード・ローダーです。

誰が最初に飛行機でごはんを提供することなど考えたのでしょうか! 飛行機がもはや単なる交通手段となった今でも国際線ともなれば、台湾へたかだか3時間の距離でも機内食が提供され、「おいしい」だの「まずい」だのいいながらも、渡航の楽しみにひとつ彩りを加えてくれます。新幹線だって東京から数時間かけて大阪へ行こうと、福岡へ行こうと、お茶ひとつでてきません。高度成長期を経て脈々と支えられてきた機内食は、国柄を垣間みれたり出張者が旅人をいやしてくれる存在。これぞ国際線文化だといわんばかりねっ!
成田空港のデッキで、フード・ローダーから運び込まれるギャレーを見るのも、味わい深いものです。

フード・ローダー

フード・ローダー(フード・ローダ)

ケータリング工場で作られた機内食は、あらかじめ工場でサーブ用のカートにセットしてから「フード・ローダー車」もしくはハイリフト・ローダーに積み込み、ギャレー運び込みます。フード・ローダー車とは、客室サービスの一種で、車(トラック)そのものに伸び縮みする脚、それと搭載コンテナ部分がワンセットになっているもの。一方、ハイリフト・ローダーは、上に荷物を運ぶリフトの機能を持つ車のこと(搭載コンテナのないモノ)ですが、成田空港では機内食はフード・ローダーで運んでるものばかりです。※ハイリフト・ローダーについては後日別に紹介します。

成田空港の敷地を取り囲むように、まるで工場かと見まがうほど大きなケータリング会社の施設がいくつも点在し、そこで機内食を作っては飛行機へ搭載、と往復を繰り返しているのがフード・ローダーです。空港内のターミナルやデッキからの眺めだと、フードローダーの大きさは案外小さく見えます。でも、これが一般道となると「コンテナ埠頭周辺の道路か?!」と思わせるほど、大きなトラックが目の前に立ちはだかります。

▼デルタ航空のケータリングは、自社工場で調達しています。以前はユナイテッドも自社調達してましたが、外資大手のゲートグルメ・ジャパンに吸収されています。
デルタ航空のフード・ローダー

▼TFKはケータリング会社の中でも大手。1951年10月に機内食第一号を調製して以来、戦後の民間航空会社の歴史と共に歩んできました。2004年の成田空港本社工場のリニューアルではなんと7万食(それまでは3万食)が作れるというスペック。内外政府専用機などの機内食も担当しています。
TFKのフード・ローダー

ちなみに、このフード・ローダーの操作は繊細。操作する人、誘導する人の2人1組で運用していますが、たいていの場合は燃料補給や機内清掃、その他の作業と同時に行われています。少し想像してみてください。燃料を注入している間、徐々に燃料分の重さが飛行機に負荷としてかかってくるのです。最初はサービスドアとフード・ローダーの間口をぴったりに位置させてしまうと、次第に燃料の重さで飛行機側が下がってきてサービスドアの破損に繋がってしまいます。
このため、10cmとか20cmとか、あらかじめフード・ローダーの方を低く停止させてギャレーへの積み込みを行っています。「なるほど!」と思わせる技がいっぱいですので、ぜひデッキでじっくりと眺めてみてください。

▼ビジネスジェットにも。

ビジネスジェットのフード・ローダー

▼一見すると普通の大型トラックのようですが、タイヤとコンテナ部分にあんな伸縮脚が装備されているのかと思うと、ビックリですね。後部も前部も開閉可能で、飛行機にサーブ用のカートをギャレーへ搭載する際にはフード・ローダーは飛行機に向かって前進、飛行機側面のR側サービスドアとフード・ローダーの先頭ドアで受け渡しします。
ちなみに工場側ではどうやって搭載したり降ろしたりしているのかというと、ケータリング工場が2階建てになっていて、1Fが荷下ろし専用、2Fが積み込み専用となっていて、食洗〜製造が下から上に上がっていくような流れ作業になっています。

フード・ローダー

A380仕様のフード・ローダー

フード・ローダーにもスペック(? =仕様の違い)があります。前出のビジネスジェットのようなB737の場合は、サービスドアまでの高さも低いので、通常のフード・ローダーでも脚の伸縮を低く調整すればよいのですが、総2階建て巨人飛行機・A380のアッパーデッキの場合はこれまでのフード・ローダーでは対応できません。

▼写真にあるCOSMO社ではA380専用のフード・ローダーを使用してアッパーデッキに接続します。写真の左と真ん中の脚の伸びの違いに注目です(一番左がA380専用)。なお、この写真の左ふたつは、日本空港ビルディング株式会社(羽田空港のターミナルビル管理会社)が設立したケータリング専門会社・コスモ社のフード・ローダーです。コスモ社は成田空港の場合、キャセイ、シンガポール、ヴァージン、フィンランドの各航空会社の他、カタール航空などそうそうたる人気航空会社の機内食を担当しています。
写真の一番右は、フード・ローダーと全く同じ仕様にも思えますが、これはフード・ローダーではありません。うっすらと「ANA」の文字が見えますが、これはクリーニング・ローダー。機内清掃用の客室サービス車です。この客室サービス車の場合は、飛行機やその他の空港特殊車両と違って、形や特徴で見分けることは難しいです。ケータリングの会社の名前を覚えるだとかしないと。でも、当ブログのナレッジーベース(Mattari氏)によると、前輪と後輪の間に食品を冷やすためのエアコンユニット(箱状)があれば、フードローダーと分かるそうです。※クリーニング・ローダーについても後日別に紹介します。

A380のフード・ローダーとクリーニング・ローダー

フード・ローダーは三菱ふそうや日野といった大型のトラックを改造したものです。特殊車両整備の業者によって改装されるのです。このフード・ローダーを運用するには、普通運転免許、大型車、大型特殊免許が必要で、当然ながら社内でも特別訓練を受けています。一般道と空港内を行き来することがあるので、最高速度は通常のトラック並みに出るかとは思いますが、空港内は空港のルールに則らなければなりませんので、制限速度めいっぱいでも30km/h です。その上、機体に近づくにしたがって段階的な制限速度が定められています。従事者は特殊技能の持ち主ですよね。

フード・ローダー編、以上です!

(2011.11.5追記)
「1Fが荷下ろし専用、2Fが積み込み専用となっていて、食洗〜製造が下から上に上がっていくような流れ作業になっています」と紹介した場所の写真です。ケータリングの老舗、TFKの搭載所です。

TFK搭載所
にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ

    • SportsKite
    • 2011年 8月8日 11:39am

    こんにちは。
    トイカメラ風のピントが良いですね。
    オモチャを撮影したみたいで面白いです。
    働くくるまって、どこかの子ども番組にあったような気がしますが、大人が見ても面白かったです。
    乗り物大好き人間です。

    • 竜子
    • 2011年 8月8日 8:40pm

    ■SportsKiteさん
    以前クリスマスの特集で紹介した山本忠敬さんの「ひこうじょうのくるま」という絵本、あと、本城直季さんの「small planet」という写真集を紹介したことがあって、ふたつを組み合わせてみました。
    iPhoneアプリの「myfilm」というのでかんたんに出来ます。Webでも無料サービスがいくつかあるようですよ。
    http://webservicesearching.seesaa.net/article/145160456.html
    「の〜りものーあつまれ〜いろんなくるまぁー どんどんでてこい! はたらくくるまぁ〜♪」
    ↑ ポンキッキのはたらくくるま

  1. そうか!
    ローダーはPBBみたいに自動で高さ調整しないんですね。
    気づかなかった!
    勉強になるわぁ!

    • 竜子
    • 2011年 8月9日 1:12am

    ■かなぴさん
    かなぴさん!
    もしかすると、機材によってはあらかじめセットすることも可能(?)なのかもしれませんが、グラハンの教科書に倣ってみました。
    このあたり、ぜひ本職さんに教えていただきたいですね!

    • HIRO
    • 2011年 8月9日 2:30pm

    空港内で働くフード・ローダーを撮影するのもなかなかの「通」だと思いますが、それを一般道でフード・ローダーとして認識して、撮影してしまうところが、脱帽です。
    昔、友達に、「車の名前ならなんでも知っている」ってカーマニアな奴がいて、こちらが何も知らないのを馬鹿にするもだから、突然、バスやダンプカー指して、「なんていう車種だ?」って聞いてぎゃふんと言わしてやったけど、もしかしたら、竜子さんは
    車種まで言えちゃったりして!?
    ところで、フード・ローダーは機体にぴったりつけるわけでなく両脇に隙間ができていますよね。実は、高所恐怖症の私には、この搬入の仕事は絶対にできないといつも思っております。

    • Mattari
    • 2011年 8月9日 9:38pm

    フード・ローダーとクリーニング・ローダーの見分け方?
    簡単ですよ!
    まずフード・ローダーは機内食搬入時に日差しや雨を
    避けるための伸縮自在の屋根が付いていること。
    上から四枚目のANAケータリングのトラックを見たら
    わかるけど荷台下の真ん中に白い箱状の物が
    ありますよね?これは機内食カート冷やして運ぶために
    荷台内を冷蔵するエアコンユニットなんです。
    私もバイトながらこの手のトラック誘導はやっていたので
    懐かしいです。エアバスみたいにドアが外に出るタイプと
    767のようにドアが内側へ入るタイプでは、付け方も
    違うので気を使いますね。資格者が必ず段差を取って
    機体に付けており、時々高さを調整している場面は
    よく見ましたよ。

    • 竜子
    • 2011年 8月9日 10:02pm

    ■HIROさん
    こんにちは!
    このフードローダーはあまりの大きさに「あっ!」と思って撮ったのです。
    私は、車にはめっぽう弱いです。このシリーズは、私自身の「〜と思う」「〜らしい」をクリアにして「〜です」と言い切れるように、グラハンの教科書片手に書いていますが、それでも「〜と思う」「〜なのかな?」が残ってしまいます。なので車種までなんて無理ですよっ!!
    高所恐怖症なんですか?! 飛行機はやっぱり窓側! だと思うのですが、あんまり高いと逆に大丈夫なのでしょうかっ!!
    ■Mattariさん
    どうもありがとう。では、見分け方は加筆させていただきますね。
    飛行機ファンが知っていそうで、意外と知らない話題を盛り込みたいですよね!
    取り扱う方は、機材に合わせなくちゃいけないので、大変ですね…。

  1. トラックバック 0