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大切なものは目に見えない

星の王子さま―オリジナル版
「星の王子さま」(オリジナル版)サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,内藤 濯

ふっ、と思い出したことがあるので今日はこの作品を紹介します。
サン・テグジュペリの作品の中で、世代を越えてもっとも愛される「星の王子さま」。

言わずと知れたフランス生まれの作家。ライト兄弟が初飛行に成功した1903年、サン・テグジュペリは3歳だった。
由緒ある貴族の出身の長男で、12歳の頃には近所の飛行場で単葉機に乗せてもらって、空デビューしている。それから自転車には布を張って、庭を駆け巡っていたというが、空を飛ぶことは家族からも反対され、婚約した女性の家族からは空は危険だ、という理由で反対され、営業マンになった。しかし、のちに破談になってしまうのだけど。
みなさんがご存知のように、サン・テグジュペリは志願して陸軍の飛行連隊に所属した後、26歳に「南方郵便機」で作家デビューした。その後「戦う操縦士」「人間の大地」「夜間飛行」などすばらしい作品を残したけれど、第2次世界大戦中に亡命したアメリカで志願し、戦場で亡くなってしまう。

「星の王子さま」は、岩波書店から出ていたけれど、翻訳版権が切れて新訳版がいくつも出ている。そもそも「星の王子さま」というタイトルは、岩波書店版で翻訳していた内藤濯さんのつけたタイトル。直訳すると「小さな大公(君主)」と訳すのが正しいとかなんとかいうけれど、そもそも日本には王子だの大公だの、そんな身分制度というか、そういう感覚に馴染みがないのだから、どんなタイトルがついたところで正解もなにもない! けど、ひとついえるのは、「星の王子さま」というタイトルが、時代に関係なく、幅広い層でウケるネーミングだったということ、それから、サンテグジュペリの書いたイラストも、流行り廃りのないイラストだということ。

15年くらい前になっちゃうけれど、大学生のあるときの演習授業のこと。
その日渡された課題は粘土を持ち帰って「見たことがない形をつくってくること」だった。私が行ってた学科の授業は稀だけども面白いときがあって、「疑問に思うことを30個書いてこい」という、え、こんな簡単な課題でいいんですか! みたいな教授がいたり、「マイケルジャクソンとマドンナの表現性」だとかっていう講義をする教授などなど、まるっきり社会人になって実務に役立ちそうもない、おまけに大学で教わったことを何の職業に生かしたらいいか分からない! という、今おもえば混乱を招くものだった。実際、そんなこんなで多感な年頃の私は混乱しまくりで、ただの一度も就職活動なんてしたこともなかったし、同じ学科の人たちも路頭に迷う人もすごくたくさんいた。
話がそれそうだ…。
で、前出の「見たことがない形をつくってくること」の提出には1週間ほど。いろいろ考えた。でも中途半端に誰それの前衛芸術でこんなのあったっけ、だとか、あ…これもアイツがやりそうなことだ、とか、これも見たことあるもんなぁ、とかってあれやこれや…と。

あ、比較するからダメなんだ、って。
比較するってことは前の情報といまの情報の差を探すことでしょう。
そしたら、「見た」という情報を取り払って、比較して作り上げてくのをやめなくちゃいけない。
てか、そもそも「つくる」ってのは、情報のアウトプットか?
んじゃぁ、インプットされた情報って、どうやって仕入れるんだっけ。
ってことは…頭にあるものってのは、「見た」ことあるものばかりじゃないか!
「見た」ってのは、すべて頭にあるのか?
「見たことがない」ってのは、頭にないってことかい?
そんなら見たことないものの情報なんか頭にないんだから、アウトプットのしようがないでしょ。
「見たことない」ってかんたんに言ってくれるけれど…
「つくる」ってなんなんだ!
ってことは、じぶんでつくるって無理じゃん。
いや、頭を無にすれば見たことないもんができるかもしれない。
この手の動きは、意識というやつでぇぇぇぇ…
っていっても……、おい! 意識が邪魔しやがる!
うわ、意識ってなんなんだい。

とイライラしてくるでしょ。で、結局は他力に任せることにしました。自分の手じゃつくれないので、自然の力に任せてみました。
大学の構内でいちばん高い建物に行って、9Fへ。そこから放り投げてみる。
あ、いま意識がうごいた! もっとテキトーに放り投げなきゃ。
と、もっかい粘土を拾いにいって、と。
お。想像以上にぜんぜん形が変わらないじゃないか!
ってか、その前に。粘土の固さからいって、だいたいの変形度合いが分かってしまう。それに、そんな粘土が落下したものなんて見たことないわけじゃないしなぁ…。
もうちょい、力込めて投げてみるか。
いや、それじゃさっきと一緒だぞ。怒りを超込めて「殺してやる!」の勢いで投げてみるか…。
おいちょっと待て。っていうか! 「イメージじゃないな」なんていって、今やり直しちゃった! やり直しちゃったよ、おい。
「イメージ」ってことはそもそも完成形を思い描いてた、ってわけでぇ…、ってことは!?

こうやって考えただけで、結局「見たことないものなんてつくれやしない」という結果に至りました。
答えは出てしまったんだけれど、みんなが何を作ってくるのかが、見たかったんだな。
それに、「見たことないもの」をつくれる人があらわれるのかも、凄く気になってた。
そうして授業がやってきてしまいました。手ぶらでは講義を受ける資格がないので、こうしてテキトーに放り投げたものを提出したわけです。
授業は演習なので2コマ。説明タイムがたっぷりとそれぞれにある。教室の真ん中にテーブルを集めて、複雑な形だとかなんとか、出揃いました。ひとつひとつ、粘土版に乗っています。先生はひとつひとつの説明の後に講評をみんなに丁寧にします。なかなか自分の順番が回ってこなくって、その間、自分の1週間を振り返りながら、「みんな真面目に形成したなぁ…」なんて感心しつつ、「どれも見たことあるものばっかりじゃん」と鼻くそほじほじ、ってなノリで見てました。
結局、最後にまわってきたプレゼンタイムに、その提出した「かたち」についての言い訳をつらつらと述べました。
その先生の講評は、凄く短かった。
「ん…。それならわざわざ作って持ってこないで、『ない』ってことにしちゃえばおもしろかったのに。ここに提出したら作れないはずの「見たことないかたち」が、ここにあることになってしまう。あなたが『ない』って考えたこともひとつの答えなのに物体を置いたことで、あなたの考えたことがないものになってしまう…」

なんだか、勝手に答えを出してたわたしの鼻頭がへし折れた瞬間でした。
ややこしかったね、ごめんなさい。
こんな風に仕事にはまったく役立たないけれども、でも面白い授業が時折あった。

サン・テグジュペリが「星の王子さま」で世代も時代も、いわば時空を超えて残した彼の名言「大切なものは目に見えない」というのは、シンプルで飾り気のないものだけれど、いつでも心に響く、ほんとうに大切な言葉だ。
彼の「大切なものは目に見えない」と、さっきの私の授業の話とは大分意味合いが違うのだけれど、「ないのにある」ということや、「目に見えないのに在る」ということ、「目に見えなくても在る」ということ、「あるのにない」となってしまうこと…、そんなこんなが、一挙に押し寄せてくる、大切な1冊だ。

サハラ砂漠に不時着してしまった「ぼく」が、飲み水が1週間分あるかないかの、生死の覚悟を決めて修理にあたった最初の晩に、王子さまが現れる。王子さまは変わった声をしていて、「ぼく」にいちいちちょっかいを出してくる凄く愛らしい男の子だ。あの知られた「星の王子さま」のイラストもサン・テグジュペリが書いたものだ。
その王子さまと「ぼく」が話をしていると、王子さまは惑星からやってきたのだという。
バラの花に恋をして、ヘビと会話し、キツネと喋った話を、「ぼく」にする。
「ぼく」と王子さまには友情が芽生えるけれど、いつかお別れをしなくちゃいけない。おわかれの予感の時に、「大切なものは目に見えない」と王子さまはつぶやく。

涙が出てくるし、胸が熱くなる。けれど、私は書店に氾濫しているこの本が好きになれないでいるんだなぁ…。なんでだろう?
楽しくてワクワクさせられるわりに、同時におこる感情が読んでて面倒だからかな。それとも細かい設定がよくわかんないからかな。人に好まれ過ぎた本だからかな?
ん、なんでかは自分でもよく分からない。

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絵本 星の王子さま
絵本 星の王子さま 池澤 夏樹訳

星の王子さま - The Little Prince【講談社英語文庫】
星の王子さま – The Little Prince(講談社英語文庫) サン=テグジュペリ

新訳 星の王子さま (宝島社文庫)
新訳 星の王子さま (宝島社文庫) 倉橋 由美子訳

小さな王子さま
小さな王子さま 山崎庸一郎訳

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)
ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫) 野崎 歓訳

星の王子さま
星の王子さま 池沢 夏樹訳

星の王子さま
星の王子さま 葉祥 明・浅岡 夢二訳

クリスマスにプレゼントしたい飛行機の絵本【洋書編】

飛行機の絵本シリーズ第2弾は洋書編。
洋書の絵本は、年齢問わず英語の教材にもってこい! 竜子も英語はままなりませんが、それでも楽しく読めちゃうのは、洋書は飛行機の本が豊富なのです。日本にも幼児向けの飛行機の本はたくさんあるのですが、たいてい写真での解説だったりします。絵で紹介している幼児向けの本って案外少ないんですね。
ひとくちに飛行機の絵本といっても、その着目点はさまざまで、飛行機というメカへのもの、飛行機の種類のもの、パイロットという職業へのもの、空港の機能のもの、飛行機で空を飛ぶというもの…と、本当に多様。また、洋書とあって、今回は各本に「★」をつけさせてもらいましたが、本への評価ではなくって対象年齢にしてみました。基準は英語のかんたんさで★をつけました。

最近では、小学生でも英語を勉強しているということなので、幼児から小学生での仕分けにしましたが…、小学生向けと言っても★3つのものなんかは竜子の場合、わからない or 忘れた英単語もあったので、辞書を引いたものもあります。
といっても、今回このブログで紹介するので辞書をひっぱっただけで、普段この手の本を読むのに辞書なんか引いたりしません、無視です、無視! 無視してもたいていわかる程度の本しか紹介してないので、英語アレルギーの方がいたとしても、保証します、ぜったいに大丈夫なはず!

★★

★☆☆…幼児向け(英単語の初歩を覚える程度)
★★☆…小学校低学年向け(かんたんな英文で、誰でも辞書なしで読めるもの)
★★★…小学校高学年向け(かんたんな英文で、たまに辞書を引く程度のもの)


「A Is for Airplane」(David Brooks)★☆☆

どーはドーナツのどー。れーはレモンのれー♪
みーはみーんなーのみー。ふぁーはファイトのファー♪
そーはあおいそらー♪
ってのと同じです。
AはAirplaneのA! BはBicycleのB! CはCarのC! DはDesertのD!
EはElephantのE! FはFlowerのF! GはGorillaのG!
そんな風に言葉をおぼえてゆく絵本。飛行機は最初の「A」でしかでてこないんだけど、それがタイトルになっちゃうほど、飛行機というのはスタンダードな言葉なのです! 英語とスペイン語と併記されています。
スタンダードな単語ばかりなのですが、それだけに驚いちゃうのが、「K」の言葉の説明。
なんと、KはKarateのK!
確かに「カラテ」はグローバルスタンダードなのだと思いますが、子供に教えるほどとは(笑)


「Planes」(Byron Barton)★★☆

Planes Board Book (Byron Board Books)
「空の中、飛行機が飛んでいるよ
これはジェット機、人が乗っているよ
水上機は…、水の上を滑走するよ
この飛行機は…、農作物に消毒を撒いてるよ
この飛行機は…、空にメッセージを書いてるよ
ヘリコプターは、街を飛ぶんだ………」

ってなノリで、飛行機を説明しているよ(幼児言葉が伝染っちゃう)。
本の大きさは手のひらサイズ。大人の両手の親指と人差し指で四角を描くくらいのサイズ。小さい子供の手のひらにちょうどいいし、ボール紙というのかな、厚紙(17枚くらいの紙が重なってるだけでおよそ2cm!)だから、はじめて読む絵本にいいかもなぁ。
作者のByron Bartonさんは、この他にも乗り物の絵本が多くって、ボートや、重機、トラック、車、とシリーズで揃えたくなっちゃう。はい、もちろん竜子もシリーズで持っていますよ。

ちなみに上で紹介しているのは洋書バージョンで、洋書バージョンと和書バージョンではいくつか違いがあります。
まずは英語の文章か、日本語の文章か。これはこの本を所有する目的によっても違いますよね。子供の英語学習の事始めとしてこの本を買うのか(こっちは英語版)、あるいは幼児教育の第一歩として飛行機に興味を持たせたいのか(それなら日本語版)。そして値段も違います。洋書のほうが安くて和書版のほうがお高め。

「ひこうき」(和書版)
ひこうき (バートンの のりものえほん)


「Airport」(Byron Barton)★★☆

Airport Byron Barton
こちらもByron Bartonさんの絵本。版型は先の「Planes」よりも大きくって、紙もしなやかなものでできています。すっごいシンプルなんだけれど、奇抜でべったりとした絵本独特の色あいが、なんだかわくわくさせてくれる絵本だ。

バスで、車で、みんな空港にやってくる。みんな、大きなジェット旅客機で旅立っていくところ。
待合室で、座って待っている。外では飛行機が待機中。安全確認をしているところだよ。
手荷物は貨物室に入っていて、燃料は翼に入っているよ。
お客さんたちが搭乗を始めた。みんなそれぞれ自分の席へいくよ。飛行機の先端にあるコックピットでは、準備をしているよ。
管制塔はすべてを見渡せる。
「シートベルトをお締めください」ってスチュワーデスさんが言ってるよ。
飛行機が静かに動き始めたぞ。管制塔から離陸許可が下りた。
滑走路に沿って、ぐんぐん加速し、地上を離れ…、飛行機は飛んでゆく。

これもいくつか出ていて、上で紹介したものよりも小さいサイズのものもあります。
▼「Airport」(英語/廉価版)
Airport

そして和書版。これは福武書店からでていましたが、現在はAmazonでも中古品でしか手に入りません。和書版と洋書版にはけっこうな値段差があります。けれども、この価格差は装丁の差にもなっていて、洋書版のほうは紙が薄くて「幼児のため」としてはやや心もとない感じですが、和書版は厚紙でできているので、ハードユースにも耐えられそうです。表紙に書かれた日本語のタイトルを見ても分かる通り、中身も世界観はそのまま。幼児にプレゼントするなら和書版もいいんですけどね!

▼「ひこうじょう」(和書版)

バイロン・バートン「ひこうじょう」書影


「Flying」(Donald Crews)★★☆

Flying

エアーブラシで書かれたイラストが独特なテイストで、面白い。このDnald Crewさんの本はシリーズ化されているものも多くて、貨物列車もあります。私はこの人の絵も好きですよ(「Freight Train」)。
この絵本、ページ数が40Pあるんですが、実は見開きにたったひとつ文章がある程度なので、とても平易に読めてしまいます。
どれほどやさしいかというということで。この本に書かれている全文を紹介します。雰囲気は絵本の絵と一緒に味わってみてください。
なんだか、読み終わった後に静かな気分になれるんだよなぁ…。

Boarding.
Taxiing to the runway.
Ready.
Take off.
Flying over the airport.
Flying over the highways.
Flying over rivers.
Flying over cities.
Flying across the country.
Flying high over mountains.
Flying into the clouds. Flying into the clouds.
Time to head down.
There’s the airport.
Down,Down,Down.
Down!

「Flying」Dnald Crew


「A Day at the Airport」(Huck Scarry)★★★

Richard Scarry's A Day at the Airport (Pictureback(R))
こちらの絵本の主人公は猫。それも父さん猫と子供たちの家族、それからルドルフっていうパイロットの猫。
空港のあれこれを、すごく細かく解説してるんだけど、こんな本が和書であったらいいのに!

猫の家族がセーリングを楽しんでいたある日のこと。雨が降ってきてお家へ帰ることになりました。家に帰る途中にガソリンスタンドに立ち寄った猫家族は、ルドルフというパイロット猫に遭遇します。
なぜだか、ルドルフが子猫ふたりを空港を案内してくれることになりました。
空港には、ターミナルがあって、管制塔があって、滑走路があって、格納庫があって、レストランがあって、タクシーや空港バスがあって、ケータリング工場があって、ケータリングトラックがあって、トーイングカーも駐車場も風見鶏も飛行機もある!
ターミナルに入れば、本屋もあって、交番もあって、診療所も、郵便局もおもちゃ屋さんも時計屋さんもお花屋さんも!! そこはまるで街の繁華街のようでした。

働く人々や、バックヤードの紹介、空港を「街」のように紹介している、本当に楽しい絵本。「ウォーリーをさがせ!」じゃないけれど、あんな風に何かを探しながらのぞいても面白いし、空港にもっともっと興味のわく絵本です!


「All Aboard AIRPLANES」(Evans)★★★

All Aboard Airplanes
「しゅっぱ〜つ、進行!」って感じなんでしょうかね。「All Aboard」っていうフレーズが、「それではまいりましょうか」みたいな感じなのかな。文字量もちょっと多くなって、飛行機の種類の概略がわかる内容になっています。幼稚園生から小学校低学年向けの絵本ばかり紹介しましたが、こちらは初級英語といったところでしょうか。竜子にちょうどいい感じです。

長いこと人々は空を飛ぶことを夢見てきました。
100年以上まえに、人を乗せて空を翔る機械を発明するなんて、誰が考えたでしょうか。
でも1903年のある風の強い日、オービルとウィルバーのライト兄弟は初飛行に成功しました。たった12秒で120フィートを飛んだだけだったけれども、それは新しい輸送時代の幕開けでした。

こんな感じで絵本ははじまり、ヘリコプターや輸送機、ジャンボ機、ビジネスジェット、カーゴ、コンコルド、ステルス機などの軍用機を紹介しています。
たとえばこんな感じ。

パワフルなジェットエンジンは、機体を大型化させより遠くへ、人をあっという間に運べるようにしました。
1970年には、「ジャンボ」と呼ばれるボーイング747が誕生しました。この巨大な飛行機は500人もの人が運べます。この飛行機には6つのギャレーと12ヶ所のお手洗いがあります。最新の747-400は今日に至っても最大の旅客数を誇る機体です。
コンコルドはスーパーソニック輸送機です。スーパーソニックというのは、音速よりも速く移動することをいいます。超高速で世界を駆け巡り、ニューヨークからロンドンまで3時間で結びます。
コンコルドは離着陸時には、鼻先をへし下げて、滑走路を見渡します。
ボーイング727はみんなの手紙を運びます。見た目は旅客機にそっくりだけども、荷積み用にドアが大きくなっていて、窓はありません。郵便飛行機はたいてい夜に荷をつめて、翌日トラックに引き渡されます…。

こんな感じで最後のページは、スペースシャトルで終わっています。次の時代の「旅客機」は宇宙旅行時代のものになるのでしょうね? 何十年、何百年後の絵本がどんな風になるんだろう? てか、そんな時代に絵本なんて存在しないのかなぁ…。


「The LITTLE AIRPLANE」(Lois Lenski)★★★


パイロットのミスター・スモールは飛行場の格納庫に小さな飛行機をしまっています。
陽がさんさんとてるある日、格納庫から飛行機を出して、空に飛び立つことにしました。エンジン周りを入念にチェックして、燃料を満タンにします。準備は万端、スモールはコックピットに座ってシートベルトを締めると、あたりを見回していざ空へテイクオフ。街を抜け、湖を抜け、雲を抜け、高く、高く。どんどんスピードを上げて、敏速に、右へ旋回、左に旋回、息をのみながら!
気持ちよく飛んでいたスモールだったけど、そのときエンジンがチュッカ、チュッカと音を立てて止まってしまいました。燃料管が詰まってしまったのでした。スモールは意気消沈、小さな飛行機は滑走しながら、ゆっくりと高度を落とし始めます。スモールは安全に着陸できる場所を探していると、森の茂みのはしっこを見つけました。ひょっとすると沼地かもしれないし、岩盤かもしれない。スモールはどちらでもないことを願って、着陸しました。
着陸は成功、スモールは道具箱から、修理にあたります。ブンブン音を鳴らして再びエンジンがよみがえると、スモールはホッとして、ケタケタ笑いました。もっかい飛んで、飛行場へ帰らなきゃ。

こんな感じで、ミスター・スモールの空を飛ぶ1日を追っている物語です。
「ミスター・スモールは素晴らしいパイロットです。彼は小さい飛行機のことならなんでも知っています」
こんな解説が表紙の裏に書かれているのだけれど、この本を読んだらパイロットに憧れちゃうに決まってる。
この絵本は、1938年にできたお話。それから70年も経っているというのに、イラストもお話も全く古びていないという素晴らしい絵本だ。


「Amazing AIRPLANES」(Ant Parker)★★☆

飛行機って凄いよね!
だって、空をかけて移動できるんだよ!
雲を抜けて、何キロも、何百キロも。それにすっごい速いし、とっても高い場所を!
空港はね、飛行機旅行に連れってくれるところだよ。
カウンターで買った搭乗券を見せて、チェックインするんだ。地上職員さんに旅行かばんの重さを計ってもらったらそのまま荷物を預けるでしょ。そしたら飛行機に向かって歩いてこうね。
コックピットではキャプテンとコーパイがお仕事をしているよ。ふたりともどのスイッチをいじれば飛行機が飛ぶかよく知ってるんだ。今、彼らは管制塔と交信をして、滑走路の状況を聞いているよ。でも…ちょうど他の飛行機が離陸するところだから、こっちはまだ離陸はできそうもないね。
ちょうどその頃、飛行機の中ではキャプテンがご挨拶のアナウンスをしているよ。みんなは離陸する前にシートベルトを締めなくちゃね。
飛行機は大きくって重いんだ。それでも空を駆け上がってほんとうに高くまで行ってしまう。滑走路をはしってぐんぐんと急上昇して空へ。

突然でしたがこんなノリでさ、イケイケで翻訳したくなる絵なんだよね。だってさ、飛行機の中に乗ってるのが、人間じゃなくって動物。地上職員もネズミだとかニワトリだとかだし、パーサーは犬。キャビンも色鮮やかで楽しそうだ! 他の絵本が、「飛行機」っていう乗り物の本なのに対して、こちらは「飛行機旅行」の楽しさが存分に味わえる絵本。空港に行くと、この絵本のフレーズが頭に響くことがあるんだけど…。

★★

▼廉価版もあります。

というわけで、ざ〜っとの紹介でしたが、どうだったでしょうか?
飛行機ファンの分子を橋渡しするのにお役に立てれば幸いです。

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クリスマスイヴにおこった奇跡の物語

 航空機や空をテーマにした「航空小説」は、とくに英米では文学のひとつのジャンルになっている。その航空小説と一括りにされているジャンルも細かく見れば中は多彩である。
 航空小説のベストセラーとなったルシアン・ネイハムの「シャドー81」や航空トリックを書かせればナンバーワンといわれるジョン・J・ナンス「最後の人質」などに代表されるハイジャック小説から、トマス・ブロック「超音速漂流」スペンサー・ダンモア「空中衝突」など航空会社の現役機長が書いた航空パニック小説、戦争航空小説ではディル・ブラウン「オールド・ドッグ出撃せよ」や映画でも大ヒットしたクレイグ・トーマスの「ファイアーフォックス」などメイド・イン・アメリカのエキサイティングな作品群。

そして飛行機を愛馬のように駆使して空を駆けめぐるジョンブル魂躍動の英国航空冒険小説となれば「もっとも危険なゲーム」「違った空」などのギャビン・ライアル、「廃墟の東」「神の最後の土地」のジャック・ヒギンズなど世界的に著名な冒険小説の雄が並び執筆し、詩的な文体、卓越した表現力と洞察力で空を介して人間そのものを語るサン・テクジュ・ベリ({夜間飛行」や「人間の土地」)やロアルド・ダール(飛行士たちの話)、リチャード・バック(カモメのジョナサン)などの文学的、かつファンタジックな空の小説もある。
 それら数ある航空小説の中から今日、取り上げるのは竜子編集長の意向により、クリスマスの夜に起こる奇跡の物語、「シェパード」である。
シェパード:フレデリック・フォーサイス

 著者はフランスのド・ゴール大統領の暗殺未遂事件を描いた「ジャッカルの日」、湾岸戦争を主題にした大作「神の拳」、最近では9・11の次ぎに予測されるアルカイダのアメリカ本土テロをテーマにした「アフガンの男」などポリティカル・スリラーを書いては世界的に有名な英国人作家、フレデリック・フォーサイス。
 むろんフォーサイスをご存じの方は多いと思うが、彼が主業のスリラーを離れ個人的な楽しみで一冊の「航空小説短編集」を出していることはあまり知られていないと思う。
 それは「翼を愛した男たち」「GREAT FLYING STORIES」(伏見威蕃・他訳)という空の短編集で(注:原書房から1997年の5月に出版されている)、「シェパード」はこの中に収録された中編小説である(注:「シェパード」は1975年12月に他の短編とともに角川書房から単行本として出版されたのが日本での初出である)。


「翼を愛した男たち」(フレデリック フォーサイス)

 フォーサイスは子供の頃から飛行機が大好き人間で、それが昂じて19才で英国空軍に入隊し、指導パイロットになったほどの航空マニアだ。その彼が子供時代に読み親しんだH・G・ウエルズやコナン・ドイル、H・E・ベイツなどの古い作家たちが人力飛行機や初期の複葉機を主題に紡いだ空の物語から、リチャード・バックやレイ・デイトンなど現代の作家によって書かれた印象深い空の小説までを「自らひとりの読者」という立場から編纂し紹介し(Edited & Introduced)短編集にまとめた。
 フォーサイス自身が意識したか否かは別にしても、この短編集はある意味で「航空小説」の歴史を綴っている。すなはち航空小説の歴史は航空科学の発達に伴って種々なる航空機が造られた過程を如実に反映しており、新しく開発された航空機やその飛翔の体験やイメージをテーマに書かれた作品の数々が世に出て、徐々に航空小説が形を成し市民権を得てきた。そういう航空小説の歴史の流れが伺えるという意味でもこの短編集は貴重な一冊となっている。航空ファンとしては座右の本として自分の書棚に置いておきたいほどの一冊である。

 さて「シェパード」は前述のように1957年のクリスマス・イブのミラクル・ストーリーであるが、簡単にそのあらすじを書いておこう。

 クリスマス・イブの夜、ひとりのイギリス人の若い戦闘機パイロットがクリスマス休暇を利用してヴァンパイア・ジェット戦闘機で故郷のイギリス・ケント州の実家に帰るために北ドイツにある英国空軍基地を飛び立つ。飛行は夜、10時15分に離陸後37000フィートまで上昇し265度の機首方向で北ドイツからオランダ上空を通過し、速度485ノットで北海に出てイギリスのレイクンヒース基地に着陸するコースでパイロットにとっては飛び慣れた「問題の生じる隙など皆無」の飛行になる筈であった。着陸を含めて飛行時間は正味66分でヴァンパイアには80分の飛行を保障する燃料が積まれていた。外は満点の星空。眼下はるかに点在する北ドイツの町の燈火を眺めながら故郷で過ごすクリスマス休暇を楽しく夢想する若いパイロット。問題が生じたのは飛行機がオランダを離れ北海上空にさしかかった時、すなはち離陸して31分たった時であった。突然、管制との交信が出来なくなったのだ。今まで交信していた北ドイツの空軍基地の管制が沈黙し、北海上空で次ぎに連絡を取る予定であったイギリスのレイクンヒース基地の管制とも交信出来なくなる。

 交信不能に陥るとパイロットは当然、不安になる。余談になるが僕もコックピットを録音していて一度、交信不能に陥る経験をしたことがある。
 それは東亜国内航空が購入したエアバスA300-B2のフェリーフライトの時であった。カイロを離陸しルクソールから紅海を越えてサウジアラビアに入りカイロ管制からサウジアラビア管制に移管する筈の交信が途絶えた。定期便ならまだしもTDAのA300は不定期便しかも国内線用の短距離機である。加えてそのときイランとイラクの戦争が始まったばかりでアラビア一帯の空域は戦時下にあった。かってイスラエルの空軍が民間航空ルートを飛び、イランの原子炉を攻撃した事件もあって、このときは安全であるはずの民間航空ルートも戦争の影響を如実に受けておりコックピットは唯ならぬ緊張にみまわれた。国籍不明の航空機ともなればイラクの戦闘機がいつ飛来してもおかしくない状況だった。パイロット4名、フライトエンジニア2名、ディスパッチャー1名の全員が操縦室に集まり、VHFとHF無線機を使ってコミュニケーション資料に記載されているあらゆる周波数で、この飛行機は日本国籍のフェリー便で現在、アラビア半島を横断しアブダビに向かっていることを呼びかけ続けた。その間にもA300はサウジアラビアの西を高度33000フィートでイラクの東の国境に向けて飛行していた。交信不能になって約一時間。夕陽が眼下に広がる砂漠を血のように赤く染め見渡す限りに続いている。その風景を見ながら、TDAの査察機長が「こんなところで不時着したら、俺たちどうなるんだろうね」と呟く言葉にコックピットの全員が無言で頷くほど緊張は高まるばかりであった。そのとき突然、無線交信が聞こえた。VHFでサウジアラビアの航空機が日本の旅客機がまもなくイラクの国境沿いからアブダビに向かって飛ぶことをバーレンの管制官に中継している交信であった。それを傍受したコックピットでは全員が歓声をあげた。

 しかしイギリスの若いパイロットはそんな幸運には恵まれなかった。交信不能に続いて、あろうことか方向を指し示すコンパスが故障した。同時に、回転計、上昇率下降率が表示されるバーティカル・スビード・インジケーター、機体のバンクを示すバンクインジケーターなど電気系機器の計器がすべて死んでしまう。残ったのは圧力作動の高度計と速度計のみだった。パイロットは強い孤独感に締め付けられる。天空を照らす月明かりもきらめく星さえも今やすべて最悪の敵に見えた。バイロットは燃料節約のため出力をしぼり、機の高度を16000フィートまで下げる。しかしそこで彼は新たな恐怖に直面する。霧である。北海からイギリス・ノーフォークにかけて広がり始めた濃い海霧。そのためパイロットは視界を奪われ唯一目標とできるイギリスの地上の燈火を見ることはまったく出来なくなったのだ。あと残された道は仮に一時間しか生きられないことを覚悟の上でも氷のような北海の中に脱出シュートで降りるかだ。孤独から不安、そして絶望に変わるパイロットの心理過程をフォーサイスは鮮やかに描き出す。

「緊急時にとるべき処置として、もうひとつ、とっておきのやつがある」パイロットは以前訓練を受けたノリス兵曹の言葉を必死に思い浮かべた。「変則的な飛行行動で飛ぶんだ。左、左、左と三回ターンして小さな三角形を描くように飛ぶんだ。そうすれば、どこかの管制官が救援機を捜索に出す筈だ」翼端が触れ合わんばかりに接近して誘導してくれる救援機。空軍用語で「シェパード」(盲導犬)のことをパイロットは思い出す。そして月を目安に神に祈りながら変則飛行に移る。しかし21分間、変則飛行を続けても救援機は現れない。燃料計の針はゼロに近い。あと、5分しかもたない。絶望の末、パイロットが死を覚悟したとき月の光りで白く輝く雲海の下方を機影が走る。救援機だ! パイロットは高度を5000フィートに下げて雲海の中を旋回している救援機に近づいた。そして機を右につけてシェーパードを見て驚いく。その救援機は第二次世界大戦で活躍したプロペラ戦闘爆撃機、デ・ハビランド「モスキート」だった。パイロットはジェット戦闘機ヴァンパイアの出力を落とし、エアブレーキをかけ、スポイラーを出してやっとの思いで280ノットに減速し「モスキート」に並んだ。そして風防の中の操縦者にパイロットは喉をかききる仕草で燃料があと5分しかないことを告げた。次ぎの瞬間、ふたつの飛行機は霧の中へ機首を転じた。一寸先も見えない盲目飛行の中「…と、何の前触れもなく、シェパードは人差し指で私を指し、ついでそれを前に向けた。すぐ前だ、着陸せよ、という意味である」そのとき高度100フィートでパイロットは霧の中でおぼろげなランウエイ・ライトを見つける。そして無事、着陸したヴァンパイアの側をかすめるようにモスキートは脚を引っ込めたまま、ロールスロイス・マリーンエンジンの轟音を残し地面すれすれに飛び去って霧の中に消えた。

「あんた、ついてたよ」迎えに出た年配の空軍士官がパイロットに声をかけた。「ここは空軍基地といっても今は引っ越して廃墟同然でね。たまたま、あんたのエンジンの音が聞こえたので、めったに使わない滑走路のライトをつけたんだよ」そのときパイロットは思い出した、グロスター基地の気象観測機にモスキートがまだ使われていることを。そしてパイロットは士官に言った。「我々二機で編隊を組んで、GCAに助けられてここまで来てランウエイライトを見つけて着陸したのですよ」それを聞いた士官は、あんた、ついていたよ、と繰り返し言って「でも、奇妙だな。ここミントン基地にはGCAはおろか管制塔も、もうないんだよ」と呟いた。バイロットはミントン基地から着陸帰投するはずだったレイクンヒース基地に電話してフライトプランの終了を告げ、次ぎに救援のお礼のためにグロスター基地の気象観測班に電話を入れた。しかし基地の担当士官はぶっきらぼうに答えた。「いや、今、ここにはモスキートはいない。三ヶ月前にお払い箱になってね。何かの間違いじゃあないのかね」途方に暮れたパイロットは今日の宿にと案内された部屋に入っていった。そこには世話係の老人が暖かい風呂とベーコンエッグスを用意してパイロットを待っていた。バイロットはその部屋に入ってすぐ、暖炉の上の写真に目がいった。写真にはパイロットをここまで救援してくれたモスキートの操縦者が写っていたのだ。

パイロットが驚いて老人に尋ねた。「このひとは誰なんです?」老人は懐かしそうに答えた。「アイルランド軍人のカバナーさんですよ。救援機の先導をしていましてね。猫のような目をした腕の良いパイロットだった。あいつは第六感があるってみんな言っていました。
『もし夜の北海で迷っているやつがいたら必ず俺が連れて帰ってやるよ』というのが口癖でした。でも、カバナーさんも14年前の今日、クリスマス・イブに北海から帰ってこなかったんです。それでは良いクリスマスをお迎え下さい」と言って部屋係の老人はドアをしめて出て行った。シェパードの物語はここで終わっている。

 フォーサイスは空軍勤務のあとジャーナリストを志して、1961年にロイター通信に記者として入社、その後、BBC放送を経て作家になっている。元来、ヘミングウエイが好きでその影響かフォーサイスの文体は短文できびきびして無駄がない。ジョン・J・ナンスやルシアン・ネイハムの派手なトリックはないが、事実の積み重ねの上に淡々とストーリーを展開する手法は体験者や経験者が読めばぞくぞくするようなサスペンスを味わえるという。次回もそんなフォーサイスのような作家、個人的にも最も好きな航空小説家アメリカのジョン・ポールの作品をご紹介したいと思う。それから蛇足ではあるが、「シェパード」を読んで感じたことがある。

 死と対峙することは人間にとって最大の恐怖には違いない。が、しかし死は死に対する考え方、すなはち、覚悟の問題で自分自身を納得させることが、もし出来れば或る程度その恐怖を取り除けるとも言える。たとえば、「死は次ぎの新しい生への一時的不在」というように死を魂の継続の一過程と考えればその恐怖に多少なりとも対処できる気がする。

 しかし絶望はある意味、死より恐ろしい恐怖である。絶望だけは他動的な原因で起きる場合が多い恐怖であり、かつ、孤独という心の闇に機縁することが多々ある。その結果、自分で対処出来る「すべ」がなくなってしまうのだ、とことん追いつめられた状態の中で、考え方とか覚悟ではどうにもならないものがある。フォーサイスがこの小説で言いたかったのは「絶望に対峙したときの人間の在り方」なのかもしれない。若いパイロットはひしひしと迫る絶望を前にして最後まで闘った。その戦う「意志の継続」こそが「奇跡」を起こしたのだ、と彼は読者に伝えたかったのかもしれない。
 TBSの人気ドラマ「JIN-仁」の台詞で「神は乗り越えられない試練は与えない」というのがあった 。現実的には安易な希望にみちた甘い言葉だが、その意味を「人間のあきらめない勇気へのご褒美として奇跡は起きるんだよ」とフォーサイス流に言えば納得できる気がする。

武田一男

※角川文庫より文庫が出ていましたが、現在重版はされていません
シェパード (角川文庫)
「シェパード」(角川文庫) 篠原 慎

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クリスマスにプレゼントしたい飛行機の絵本【和書編】

さて。クリスマススペシャルとしておおくりいたします第1弾は、クリスマスにプレゼントしたい飛行機の絵本シリーズ。
といってもそこそこ数があるので、まずは和書(和訳されているものも含む)から。来週に洋書編です。
あ、ところで。絵本なので物語のネタはすべてバラしています。そもそも絵本なんて立ち読みで物語がすべて分かってしまうもの。絵本の良さと物語の良さは別物と考えてますので、「ネタバラしするな!」などと細かいことを思わないでくださいっ。
私が持っている絵本の中から紹介しますので、他にもおすすめがあればぜひ教えてくださいね!

「飛行機になりたいオーラフを、サンタクロースがどのようにたすけたか」

フォルカー クリーゲル/三浦 美紀子訳

飛行機になりたいオーラフを、サンタクロースがどのようにたすけたか
飛行機になりたいオーラフを、サンタクロースがどのようにたすけたか

帯に「ヘラジカのオーラフとサンタクロースのすばらしき友情の物語」と書いてあります。さぞかし感動の話なのかと思いきや…、たしかに素敵なお話ではあるんだけれど、一度読んだだけじゃ物語が頭に入ってこないんだな…。何度文章を追い直したことか。
私の脳みそにも問題があるんだとは思います。実は自分でも恐ろしいほど脳が働かなくって、この程度の絵本なのに何度も読み返してしまうのです。多分文字の量だとか、文字間だとか文字の大きさのせいもあるかと思いますが…、しかし確かによいお話です。

魔法の絨毯を当てたヘラジカのオーラフ。しかし呪文の唱え方がよく分からなくって、空飛ぶ魔法の絨毯は使い物になりませんでした。
それ以来、ずっと空を飛ぶことに取り憑かれてしまったオーラフは、リリエンタールを真似たり羽ばたく練習をしたり…アレやこれやと頑張りますがいっこうに飛べません。しかしあるとき、命を狙われたオーラフは逃げまとってるうちにあり得ないほどの距離の渓谷を飛び越えてしまいます。しかしその渓谷を飛び越えたことを信じてくれる人は誰も現れません。
「もう一度飛び越えたなら信じてあげるよ」誰もが口を揃えてそういいます。仕方なしにオーラフはもう一度挑戦することにしましたが、大失敗。大けがを負ったオーラフの入院中、サンタクロースがオーラフのために飛行機を作ってくれていた、というもの。

突っ込みどころはひとつ。サンタクロースがけっこうひどいんです。
といってもサンタクロースが意地悪に書かれているところなんていっこもないのですが。サンタクロースとオーラフは大親友です。物語はほんわかしていて、さもサンタクロースが人情に厚い人かってのを表現しているのだけれど、親友であるはずのオーラフが「あの渓谷を飛び越えたんだよ」といっても、そもそもサンタクロースは聞く耳すら持たなかったんですからサンタクロースもなかなか人が悪い。このときのオーラフは本当にかわいそうです。人に信じてもらえないどころか、嘘つき呼ばわり。それってどんなに悲しいことか…。そこを無視して「素晴らしき友情」とするのが、童話の為せる凄いワザなのでもあります。
しかしそんな風に、すっかりオーラフの気持ちになって心を痛めてしまうということは、これはよい絵本なんだと思うな。

「とべ! ちいさいプロペラき」

作:小風さち・絵:山本 忠敬

とべ! ちいさいプロペラき(こどものとも絵本)
「とべ! ちいさいプロペラき」(こどものとも絵本)

なんていいお話なんでしょう! って人が多いと思います。これぞ絵本の王道です。
747をモデルにした大きな飛行機に焦がれるプロペラ機のお話。

まだ空を飛んだことのないちいさいプロペラ機が、初飛行のタイミングを格納庫で待っていると、格納庫のドア目一杯のサイズの大きなジェット機がやってきました。プロペラ機はジェットエンジンが4つもあって、コックピットが広くて、窓がたくさんついた胴体を見て、とても驚きます。今日飛ぶはずだったプロペラ機は、大きなジェット機を目の前に萎縮してしまってエンジンが思うようにかかりません。またそれで胸がつかえるような気分になるプロペラ機なのでした。
ふたりっきりになった夜の格納庫で、ジェット機はプロペラ機に声をかけてあげます。
「広い空では僕らの大きさのことなど忘れてしまうよ」

そうしてむかえた、ちいさいプロペラ機の初飛行。
読みながらページをめくっていると、最後に清々しくて気持ちのいい青空があらわれ、スッーっと開放的になれて気分がするのです。これぞ飛行機の絵本。一押しの1冊です!!

「ひこうじょうのじどうしゃ」

山本 忠敬

ひこうじょうのじどうしゃ (幼児絵本シリーズ)
ひこうじょうのじどうしゃ

「の〜りものーあつまれ〜いろんなくるまぁー どんどんでてこい! はたらくくるまぁ〜♪」(ポンキッキのはたらくくるま)
ってなわけで、タイトルのまんまなのですが。が! 絵本のところが凄いと思いませんか? 空港で働く車。2才から4才の幼児向けというこの絵本がいまだに唯一無二の教科書だと思っています。
作画は「とべ! ちいさいプロペラき」と同じ山本忠敬さん。主に乗り物の絵本を書かれている作家さんなのですが、この方の絵本は凄いんです! 日本の、のりもの絵本のヒットメーカー職人というか。山本忠敬さんに福音館書店という絵本の王道出版社を組み合わせると、かわゆい太田裕美の歌声が聞こえてくるという(もちろん曲目は「木綿のハンカチーフ」で!)魔法の組み合わせ。筒美京平と松本隆の黄金コンビのような…、なんというかともかく昭和のスタンダードなんですねぇ。
山本忠敬さんは「飛行機の歴史」というイラストがメインの歴史解説本(小学生向け)を書かれているのですが、これもおすすめですが、詳細は別の機会にっ。

「きゅうきゅういりょうさぎょうしゃは ひこうきじこの げんばで テントをたてて けがにんの てあてをします。エア・スターターしゃは、ひこうきのエンジンをスタートさせるときに つかいます。ベルト・ローダがにもつをつみおわりました。ハイリフト・ローダも コンテナをつみおわりました。…」

ところで、この絵本のモデルになっている飛行機、及び自動車の数々。日本エアシステムがモデルになっています。表紙にも中面にも「日本エアシステム」の文字。1990年に初版が発行され、今も愛され続ける絵本。ういう小さな協力が、子供の脳裏に飛行機のときめきを植え付ける一助になっていたはず。日本エアシステムという航空会社って、ほんとうに凄いところだったんだなぁ…。ん〜。

「わたしはとべる」

作:ルース クラウス 絵:マリー ブレア 訳:谷川 俊太郎

わたしはとべる (講談社の翻訳絵本クラシックセレクション)
「わたしはとべる」

凄く好きな絵本です。そして…手元にこの絵本が2冊あります。講談社から刊行されたものと、洋書版と。
無邪気な女の子の「わたし」についてのお話。物語ではないのだけど、素敵なおはなし? というか所作を綴ったものです。本には「マリー・ブレア」と書いてありますが「メアリー・ブレア」という人が作画しています。ピンと来ない方がほとんどだと思いますが、ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」のアトラクションでおなじみのキャラクターデザインを手がけた有名な方だそうです。実はこの名前を竜子は知りませんでしたが…先の夏、「メアリー・ブレア展」というのを東京現代美術館に観にいった知人と会った時に、
「竜子さんにかぶってね、お土産」
といって、差し出してくれたのがこの洋書。
絵本の女の子がまるっこくてポテポテした体つきだからか? その真意のほどはわかりませんが、それはもう、とてもとても嬉しかったですね…。なにせ、お気に入りの絵本ですから。
講談社のものは谷川俊太郎さんが訳しているのですが、原文と比べてみるつもりでめくっていたら、日本語版と洋書版、内容が違うことにビックリしました…。
洋書版といっても書かれている英語はは、小学生以下のありがたい英文ですので、お子さんやお孫さん、甥っ子姪っ子の英語教育によろしいかも。
「A bird can fly. So Can I.」「A cow can moo. I can too.」…これほどの具合です。
これは「飛行機」の絵本ではなくって「とぶ」絵本でした…。
では、次。

「飛行機にのって」

磯 良一

飛行機にのって (cub label)
「飛行機にのって」(cub label) 磯 良一

まずは内容を。
ネズミが飛行機に乗って、地下鉄のトンネルをくぐり、ワニに遭遇して怖い思いをしながらマンホールを飛び抜け、レストランをすり抜け、ビル沿いに急上昇しながら、運河を超えて、飛行場にたどり着き、飛行機を格納庫にしまい、また別の飛行機に乗って、シートベルトを締めて、新婚旅行へ旅立つ、というお話。

そのままお話の内容をすべて書きましたが、大人が読むと、ちょっと意味の分からない展開。でも、絵本というのはそういうものかもしれないですね。
すごく好きな画風です。版画風のタッチで描かれた絵の世界観がとても素敵なんです。すごく手も込んでいて。人の顔もネズミの顔も独特なんですが、わぁ! っとなる表情でとても気に入っています。

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羽田空港で殺人事件

羽田空港で殺人事件が起きました…。
といっても物語です、はい。
というわけで今回の羽田空港の記事は、物語に登場する羽田空港。時は昭和40年代、国際空港として華やかさの残る頃…。東京空港とはむろん、羽田空港のことなのですが、羽田空港ターミナルに併設されたホテルで殺人事件が起ったことになっている森村誠一さんの「東京空港殺人事件」、推理小説です。

1971年にカッパ・ノベルスで刊行され以来、文春、角川、講談社、青樹社、廣済堂、とたくさんの文庫を経て、今も愛されている作品だから、ここで紹介するまでもなく既に読まれた方も多いと思いますが、この小説、何が凄いって羽田空港での殺人事件がタイトル上の舞台にはなっているけど、2つの航空墜落事故が複雑に交差していて、とにかく読み応えがある。未読の航空ファンの方があったら、ぜひ一読をおすすめしたいのです。
東京空港殺人事件 新装版 (光文社文庫)
東京空港殺人事件 (光文社文庫) 森村 誠一

冒頭は昭和30年代の某日、アラスカ山脈で起きた全日航機の墜落・遭難事故から始まる。油圧制御ができなくなった飛行機は雪原に不時着。乗客乗員91名の中で1/3程度の生存者は救助を待つものの、吹き止まないブリザードによって、救助の道が断たれる中、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされる。そこで陣頭指揮をとったのが、乗員として生き残った大塚だった。
やがてときが経ち、大塚は全日航の専務になっていた。昭和40年代の某日、大塚の代わりに出張へ行かせた部下小室の乗った全日航機が乗客乗員138名を乗せたままこつ然と消息を絶つことになる。大塚の傍らには大塚が引き合わせた小室の妻がいた。
しばらく後に、全日航機は羽田沖で残骸となって発見される。
事故調査をするものの、次期主力機導入を巡る企業の思惑もあって、操縦ミス説と機体欠陥説に分かれる。そんな折の大塚の娘の結婚式の日、娘と娘婿のハネムーンを見送るはずだった大塚が、空港ホテルで死体となって発見される。大塚のいた部屋は内側からチェーンロックがかかり、自殺のようにナイフを自分の胸に突き刺したように見えつつも、それは明らかに他殺であった。
その後、事件に関係しているもうひとりの遺体が発見される。
2つの航空事故と2つの殺人事件。それがどのように絡んでどのように紐解かれていくのか? 最後の最後まで目が離せません。

本のボリュームは、400ページ近くあるのだけど、冒頭から半分くらいまでは事故の様子や企業間の説明、人間模様に徹している。問題の空港ホテルので殺人事件は、半分近くになってようやく姿を現す。
この小説は、主役が見つからない。そのせいなのかどうかは分からないけれど、とにかく登場人物たちの素性がずさんだ。誰かに感情移入をした途端に、すぐに裏切られてしまうんだ。正義感を持って主張を貫く事故調査委員の若手も、ピチピチとかわいくて美人な人妻も、強いリーダーシップを持つ大塚も、最初はいいように描かれているんだ。しかも主要人物だけじゃないよ、細かに差し込まれた人々すら最初はいいような印象を持たせつつ、その後すぐにこき下ろしてたりする。そのこき下ろし方は多面的で、残酷なんだよ。
しかし、その残酷さが小気味よかったりするんだ。
たとえば冒頭のシーン。遭難した一行は。はじめは譲り合いの精神を持ちつつもやがて、人間のグロテスクな欲望を見せるようになる。
それから、育ちの良い箱入り娘の小室の妻。本当だったら新婚ホヤホヤの幸せから事故によって奈落の底に突き落とされたか弱き未亡人なのだから哀れむべきなんだろうけれど、旦那が亡くなる前も後も情事に耽る様子や、遺族補償で頭で数字を張り巡らすあたりが、女の生々しさを露にしていて、同情の余地なし。

なんだかね、ゴシップなんだよね。週刊誌のゴシップネタのような残酷さなんだ。
そしてそれを読んで小気味さを覚えるあたり、朝のワイドショーテレビを見て楽しむ主婦と変わらない気がしたんだ。
ちなみに、この小説では主婦だとか、結婚だとか、恋愛だとかが散々な扱われ方をしている。散々というと変だけど、恋に恋している女の人を蔑んでいるようにも見えた。結婚は当人同士の結びつきでなく家同士の結びつきだからなのか、お互いが幸せな結婚生活を送っている人が出てこなかった。刊行が今から30年以上も前のものだからか? もしかしたら、女の人が読むことをあまり想定していないんだろうな、と思った。なんだか描かれ方が無防備だもの。しかし、そういう腹心をあからさまに表現しているところが、また面白いんだな…。面白さというのは、時代や性別は関係ないよね、たぶん。
誰にも感情移入してないのに、その人間模様が交錯するなかで心が打たれたりで、どよんとした後読感が残る。
でもって、この事故のシーンも読み応えたっぷりですね。
事故調査に絡む企業間闘争というのが、なかなか…。
密室のトリックの謎解きも、鮮やか。文句のつけどころがないのです。

しかし、空港のホテルで殺人事件なんかが起ったらたまりませんね。
ありそうでない。
羽田って平和…。

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ルーク・オザワ写真集第3弾「JETLINER III」

モヒカンの復活デビューの12月1日。第2のデッキでは航空ファンにとって、パーティさながらの顔ぶれが揃っていました。
おそらくは「月刊 エアライン」の編集部の方、名前は思い出せないけど…この人どっかで見たことある! の方、もしやあの本をお書きになったAさん?(本の著者紹介でしか顔を見たことがないので不明?)、それから飛行機写真でおなじみのルーク・オザワさん。
ルーク・オザワさんは今までに何度かお見かけしたことがあるんですが、いつもニヤッと笑っている印象があります。といっても「お会いした」じゃないです、「お見かけした」だけ。あくまで目撃情報…です、念のため。

ルーク・オザワさんて、名前を思い出す時にどうしても「デューク・オザワ」さんになっちゃうんですよね…。
ウォーキング・エクササイズのデューク更家さんとかぶる、みたいな…(笑)。
ちなみにデューク更家さんは名前で外国の血が入ってるっぽくしてますが、生粋の日本人です。
ルーク・オザワさんは、「ルビーの指輪」の寺尾聰さんにも似てますね…。

で、そのルーク・オザワさんの姿をデッキで拝見し、ふと写真集の第3弾が夏が終わる頃に出ていたのを見て「一線で活躍してる人じゃないと撮れない写真てあるんだな」感じたのを思い出した。撮れない写真というとおかしいけど、いろんな場所を行き来している人が獲得できるシャッターチャンスというか。まぁ、当たり前なんですけど。そういう機会をモノにできる人がプロのカメラマン、それ以上を執念深く追える人が作家なんだなぁ、なんて。

JETLINERIII SEASON~聖域~ (イカロス・ムック)
JETLINERIII SEASON~聖域~ (イカロス・ムック) Luke H. OZAWA(ルーク・オザワ)

さて、その第3弾、これまでの「JETLINER」シリーズからは大幅増量です。
中には見たことある写真もちらほら。記憶に残っている写真というのは、「あぁ、凄いなぁ〜」なんていってわざわざグリグリ見回さなくても、パッと見の印象がいつまでたっても頭に残るものですね。

「え?! 墜落してる???」と見まがう写真、「ロケットじゃん!」と驚く写真、「飛行機が雷を発してる!」と思っちゃう写真。
それから、「勇士」という言葉がぴったりの英雄のような風格の飛行機、淋しそうに見えちゃう飛行機、フォークダンスを踊ってるように見える飛行機、サイバーメカだな、って思えるメタリックな飛行機、かけっこ競争をしているような飛行機、行進しているような飛行機、交信しているような飛行機…。
B747のお尻から撮った1枚は変形したバナナみたいだな、と。
どこの空港だか分からないけど、外国の霧のようだな、と。
なんで飛行機雲が虹色に光るのか? と。
暗黒の世界に飛び込むようだな、と。
SF映画のような登場の仕方だな! と。
地球の終わりの日に、逃げまとう飛行機のようだ、とか。

これだけの量を撮る裏側にどれだけの辛抱があったんだろう?
ふとそんなことを考えつつも、1枚1枚の写真からいろんな想像が張り巡らされる。
自然と対峙して捉えたどの写真にも、そういう感嘆があって素晴らしいと思うんだ。

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B747に関する翻訳書の紹介

本屋のビジネスコーナーにゆくと、めまいがするほど安直本が多い。安直本というのは、「人間の作業効率を向上させる本」という本です。培った経験から導いた法則や方法論を著者が手法としてまとめたもので、読者は本を読んで著者の築いた手法を実行する。意識改革を促す、いわば自己啓発本といったものだ。読んでみればとても参考になるし、確かに、と納得させることも多いし、実際に役立っちゃっう魔法の本でもある。けれど、ここまでその類いの本ばかりが売れること自体が不気味で、日本全体がちょっとした病に侵されているような気すらしてくる。

たとえば、勝間和代さん。「自分がこうすれば、相手はこう動く」「自分が目指せば必ず手に入れられる」「自分をこう見せれば、人はこう見てくれる」などなど、会社も社会も人も信用せず、自分だけを信用し、自分を高めることで、成功をつかみ取れる力を持て、それを享受できるという、孤高の世界に生きる女性なのだけれど、この方の思想や手法など自分本位のパワフルなスピリットが世間からは支持されているようで、「勝間和代」の名前がつけば何を刊行しても売れる。とにかく売れる。
そういう個性を持っている人がいるのはなにも不思議じゃないけれど、私にはこの状況が勝間和代という人を妖怪のように見せさせ、ワーキングマザーの代表として引っ張りだこだったり、このところ定着した感のあるワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和=仕事だけでなくし生活も充実させる生き方)の内閣府の委員を務めたりと、テレビなんかでも大活躍なのが恐ろしい気がしてくる(けしてご本人が悪いわけではないと思います。そして、「勝間本」の最初の頃の本にはなかなかいい実用書もあります)。

こういう本が売れるのは当然といえば当然だ。世の中はいつでも不況だといって仕事とは戦わなくちゃいけないし、戦力をつけるためにも、生き抜く手法も身につけなくちゃいけない。そのためには脳みそと体力をフル回転にして、たとえ人間であっても生産効率を向上させなくちゃいけない。それも手間をかけずに、よりスピーディに。そうじゃないと会社で、ひいては社会でやっていけないんだもの。最近ではこのビジネス書ブームにあやかって、NHKの娯楽番組がビジネス書化しているものもあり、いったいビジネスマンやビジネスウーマンはこの先どうなっちゃうのか気になります。

そんな話はさておき、本来ビジネス書コーナーというのは、勝間和代のマインド向上術やらライフハック本なんかより、経営者の生き様だとかの自伝や他者による分析の本なんかがの方が多かったし売れていたんです。もちろんいまも売れてますけど、その割合がライフハック本にかなり押されてきてます。
でも正直なところ従来のビジネス書コーナーで手にする本の方が、内容が充実していて読後感があったように思う。読んだからといってすぐに仕事に生かされるわけではないんですけどね。

今日紹介するB747に関する2冊の本も、そういう意味で遠回りな本です。即効性をもって何かに生かされるわけではないし、ビジネス上での効果や生活の変化を期待するような本ではありません。本来のビジネス書のかたち、とでもいいましょうか…。まぁ、そもそも「本を読んだら賢くなる」というのも幻想だと思いますが、即効性はないけども「へぇ〜」がとても多い、発見のある本なのです。

ボーイング747を創った男たち―ワイドボディの奇跡
「ボーイング747を創った男たち」クライヴ アーヴィング/Clive Irving著・手島尚訳

747 ジャンボをつくった男
「747 ジャンボをつくった男」ジョー・サッター/ジェイ・スペンサー著・堀千恵子訳

この2つのそっくりなタイトルの本。747をつくった男たちの登場です。
まずは747を実現させたボーイング社の経営陣の男たち。
もう一人はジョー・サッターという、747の開発に携わったエンジニアの男。

テレビも本も映画も同じで、どんな本も娯楽だなって思うんですけど、その娯楽をテレビ番組に例えるなら、ドラマなのか、ドキュメンタリーなのか、クイズ番組なのか、ニュース番組なのかってな具合に、ためになる、勉強になる、楽しかった、臨場感があった、空想に浸れた、ってのを、どのメディアで味わったかの違いに過ぎないんじゃないかなぁと思うことがよくあるんだけども(さすがに学術書や辞典などの情報量の多さにはどのメディアもかなわないけれど)、この2冊の本は、本を読みながらにしてテレビ感覚でサクサク読めてしまう。

まずは「ボーイング747を創った男たち」。
747が開発されたエピーソードがたくさん詰め込まれているのはタイトルの通りで内容やボリューム(408P)の満足度はいうまでもないんだけど、そのときの情景が、まるでドキュメンタリー番組をみているかのように伝わってくるのが本書のいちばんの特徴。それも英BBCやディスカバリーチャンネルのようなボリューム満点の、良質な海外のドキュメンタリー番組である。

開発に至るまでの歴史的背景…もちろん多くは航空業界の話だけど、ナローボディーからワイドボディまでの変遷にいたる「大型旅客機」の創成期の情景や、当時の世情や人々の生活がよく分かり、まるでその時代を映像でみたような感覚になるのは、経営者のやりとり、開発者たちの心理描写と人間模様が克明に描かれているからだろう。それも単なる「記録」でなく、限りなく映画に近い「再現ドラマ」として伝わってくる。
たとえば747の開発の契機となったボーイング社会長・アレンとパンナム社会長・トリップとの取引が、ビジネスエリートたちの生活が映画のワンシーンのように華やかなこと、駆け引きがスリリングなこと、それから当時の経営陣たちの性格が、良くも悪くも個性豊かなこと、そのことがのちに光と影を落とし、ドラマティックな展開を迎えること…。

「747のアイデアは、紙ナプキンに書かれた」というエピソードも、開発者たちの苦悩も、価格決定におけるエピソードも、それから、大型の747をつくるエヴァレット工場にいたるまでの話も、すべて映画の起承転結を飾るように完結されているようにも思う。
文章なのに映像としてリズミカルに伝わってくるのは、翻訳者である手島氏が、37年に渡って日本航空に務め、航空業界に縁の深い人であるからこそ為せるワザでもある。
ちなみに手島氏が日本航空にいたのは1957年〜1994年。日本航空が747を初就航させたのが1970年。それから幾多の改良を重ねる間、航空業界の内側から747をみてきた人物だ。単なる2時間スペシャルのドキュメンタリー番組では終わらない、必読の一冊だ。

次に「747 ジャンボをつくった男」。
話は脱線しますが、「大草原の小さな家」をご存知の方はいらっしゃいますか? 1975年〜1982年の毎週土曜にNHKで放映されていたドラマで、その人気から、’82年以降も続編がいくつも放映されていたので、ご存知の方も多いのではないかと思う。西部開拓時代のアメリカを舞台に、ごく平凡な家庭の日常を綴ったドラマで、半ば親に観させられていた感があったせいか、何が面白かったかというのは思い出せないのだけど、その素朴味が暖かく、いまも懐かしく思い出すのです。
このドラマの語り部は金髪おさげのローラ。いまも耳にこびりついてるほどだけれど、この一人称の語りが、「747ジャンボをつくった男」のジョー・サッターの語りによく似ているんだ。

この「大草原の小さな家」が人が思い描く素朴な女の子の物語だとすると、こちらの「747ジャンボをつくった男」は理想の男の子の物語そのもので、ジョー・サッターの幼少期の話なんかは、さながらアメリカドラマのようでもある。それもそのはず、自身の子供の頃の風景や人物描写が事細かに描かれていて、家族の仲むつまじい様子やらジョー・サッターの生きた時代が、カメラがパンするように、またシーンが切り替わるように、頭に思い描けることにある。

興味深いのは、ワシントン大学在学中に起った真珠湾攻撃の話。アメリカから第二次世界大戦を見て、やがてその彼が航空エンジニアを志すようになるのだけど、その戦争体験がいろんな面において747の開発に生かされるという点。また、航空業界のもっとも華々しいジェット機時代に見聞きしたものが綴られている点。そして必見なのはたった1国の要望のためにつくるのは前代未聞という状況のなか開発された、日本専用の747SRと747-400(国内線用)の話。あんなに大きなジェット機がシャトル便として1日に何度も離着陸を繰り返せるのには、開発側にもそれ相当の苦労があるのだ。また、747の上顧客として日本についてはいろんな場面で語られているが、それを通してよその国の人がどのように日本を見ていたのかも面白い。

自らが手がけたボーイング社での開発時の話も、テレビドラマのように一度読んだらどこでよ認めたら分からないほどであった。自伝というと自らの体験を中心に綴るものが多くなりがちだが、この本ではそれ以上の体験ができる貴重な本である。

というわけで…フィクション小説ではなく、747を舞台にした2つのドキュメンタリーなのだけど、どちらも頭の中で映像としてイメージできて、理解が深まる秀作。
読んでいて楽しい本というのは、本に書かれた文章に、こちらがうまく乗ってイメージを膨らませられるもの。
つまらないな、という本は、文章の勢いだとか切り替えだとかに頭がついていけない本。

というわけで、747の2つのエピソードが楽しめる本をここで紹介しましたが、「Airmanの飛行機写真館」では、「航空大辞典」というコンテンツにボーイング747の辞典があります。
他にも、Boeing737/Boeing727、DC-10/DC-9がアップロードされていて、写真に映像、音声にデータなどなど、貴重な資料が公開されています。
本原稿も、「航空大辞典」に提供しています。
上の2つの本でも語られている、ボーイング社とは切っても切り離せない縁のパンアメリカン航空。航空大辞典では、パンナムが発表したB747についての資料、導入の経緯についての資料がアップされています。本では得られない大変な貴重な資料です。ご覧になってみてください。

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「1万メートルからの地球絶景」

みなさまいかがお過ごしでしょうか。
地震に台風、色々と被害が出てしまいました。東名高速道路も崩壊した場所がありましたが、あり得ないくらいのスピードで、下り線の応急工事がなんと1日で、2日目には復旧するというのだから、この日本の底力ってのは本当に凄いんだな! っと、総動員されたであろう人力を、ただただ驚きの目で見ておりました。地震・雷・火事・親父。日本の父ちゃんの底力こそ怖いほどのパワーです。

それにしても晴天が続き、撮影日和のお盆休みでしたね…。空港にお出かけした方も、帰省などで空港や飛行機を使われた方も多いのではないでしょうか? 夏の空ってのは雲がニョキニョキ、空は澄み青深く、ほんとうにすごい景色を見せてくれます。

私はお盆にはどこへも出かけなかったので、写真集で気分だけ味わいましたっ。

1万メートルからの地球絶景
1万メートルからの地球絶景 杉江 弘

「機長の「失敗学」」、「機長の告白」等の著書でもおなじみ、現役(2003年当時)ジャンボパイロット・杉江弘さんの写真読本です。
コックピット特権を駆使した景色が、そのまんま! ぎゅーーーーっと収められています。
この写真集の涙が出そうなほど嬉しいところは、なんとどの路線でどういったルートを通ってこの景色を撮影したのか。フライト時間とルートなんかがひと目で分かるように記されているところ!
こういった気の利くところ、さすがはキャプテン! と、肩を叩きたくなります(笑)

世界各国の写真があるのですが、すべてコックピットからのものではないです。ときにはジャンボのエンジンの後方から、ときにもっともっと後方から。
そんなときの写真撮影はもちろん客席にいるはずの杉江弘さんなのですが、写真に収められた地理や風土を解説してくれる姿(口調かなぁ?!)がいかにもキャプテン風。あの、声が高く細くやせて聞こえてくるようなスピーカー越の、機内アナウンスが流れているような気分で読めてしまう。

杉江弘さんの著作物は多いのですが、他は読み物系です(ちなみに、鉄道カメラマンとしてもお名前のある方らしく、鉄道では写真集の観光も多いようです)。
こうした機長の写真集。どこにも出かけられなかった人は、ぜひ脳内だけで、機長アナウンスとともにお楽しみくださいっ!!!!

この夏休み、いい思い出のある方は是非教えてください♪
またお会いしましょうーー。
では!

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「大空港25時」

大空港25時
大空港25時 鎌田 慧

今日紹介するのは、「大空港25時」です。学生時代に本屋にたくさん積まれていて買ったのですが、当時はちょっと高い気がして迷いながら購入した思い入れのある、そしてお気に入りの本です。空港で働く人のお話が、本人談(インタビュー集というのかな、著者さんが対談して拾い上げた話)としてかき集められた数少ない本だから。他に色々と本が出てますから。パイロットやCAさんのエッセイはたくさんあっても、空港を舞台にそこで働く人、たとえば機内清掃の人にスポットを当てて、仕事の大変なところや思い出深いエピソードを聞けることってあまりないです。購入当時は、「これぞ空港」って感じで、途中で読み止めることが出来なくて、多分学校を休んで読んでました。
いま見返してみても、やっぱり楽しい話が盛りだくさんです。ひとつだけ欲をいうとしたら、この本にもパイロットの話とかCAの話が収められていますが、ハッキリ言っていらなかったかもしれません。でも、こんな風に思うのも、いろいろと航空関係の本を読みあさった結果だと思いますので、この本はこの本でいいのかもしれません。

この本に書かれている話は文体が口語調で、まるでその人の話を聞いているかのよう。人によって語られるボリューム(ページ数)もまちまちだし、「さっきパイロットの話聞いたのに、またパイロットだ」とかって、読み進めながらも、次の登場人物の話をワクワクしながら待ってしまうような…なんだか、空港主催の講演会にでも行ったかの気分です。搭乗するのは、機長、パーサー、カウンター業務、貨物の搭載、機内清掃、整備士、ディスパッチャー、航空管制官、税関、といった面々です。

機内清掃の人の話。最初は灰皿取り専門から教わるのだそうです。それにしても懐かしいですね…。昔の飛行機って、アームレストのところに、灰皿がついていました。この本の刊行でも1996年、アメリカのキャリアを皮切りに、禁煙化が進む中、この頃ちょうど後部座席だけが喫煙席の時代でした。禁煙席にも灰皿があって、その中から飴の包み紙が出てくるので、禁煙席でもたいへん、っていう苦労話をあらためて読みながら、自分は大丈夫だったかなぁ〜、なんても老います。

それから税関の人なら、どんな人が目をつけられやすいのか、具体的な話はまま聞けないにしても「やっぱりな」「なるほどな」ってことは盛りだくさんです。そして、自分がいままで何事もなく帰って来れたのも、そりゃぁそうだって感じです。あたりまえのことなんですが「へぇ〜」があって、とても面白かった。

身近に、こういった空港関係の職員の人や、航空会社に勤めている人がいればいいんですが、いない人はいちどは読んでみたら面白いと思います。よくある航空雑学系の本にも書いてあったりする内容も多いですが、その前後関係の話、たとえばその人の経験や人柄に裏付けのある話をこんな風に語り口調で聞けるってのは、趣があります。この本が出てから10年以上経ちますが、いまだにこの手の本を見つけることが出来ません。ありそうでないのですよね…。

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「すごい空の見つけかた」

昨晩の関東地方はとても気持ちがいい風が吹いていました。7月にしては不気味な天候が続いていますが、クーラーが苦手なので(とはいえなければないで困るのですが…)、眠りに入りやすい夜です。今朝も起きたらやっぱり心地いい風がさし込んでいて、いい目覚めでした。
さっき洗濯物を干しにベランダに出たら、空の薄い青色に灰色の雲がプカプカ浮いていて、越前クラゲが浮いているような…ちょっと変わった空模様でした。

すごい空の見つけかた武田 康男

というわけで、今日紹介するのは「すごい空の見つけかた」です。以前そらの本を紹介しましたが、その後に刊行(2009年1月)された良書です。
この本の元ネタは、読売新聞の月曜夕刊に1年間に渡って連載された「そら彩々」だそうです。

言わずと知れた高橋健司さんの定番書「空の名前」、いまやほとんどの書店で棚を賑わすそらの写真家・HABUさんの「空の色」、空への執念深い愛情を感じる山田圭一さんの「雲の世界」、を足して割った感じ…といっては失礼すぎるか…実際いずれのタイプとも毛色は違うのですが…。HABUさんの本は写真集なのですが、この本は写真集の要素を押さえつつ、<どんなときにこのような空が見れて>、<どうすれば見れるか?>っていうヒントもときどき授けてくれるのです。でも、「空の名前」と「雲の世界」のように、解説がしっかりとされている、という感じではなくって、解説はあるものの、なんていうかゆったり感があってちょっと癒し系の本だ。

この本でいちばん目を見張った写真は、真っ赤な火を噴く飛行機。
ま、飛行機雲なんですが。
飛行機雲の部分だけが真っ赤に、一直線に光っているんです。
この真っ赤な飛行機雲のページから撮影についての記述を一部抜粋します。

撮影したのは日没の少しあと。日が沈んで低い雲には夕日が当たらなくなってしまいましたが、高度1万メートル付近の高い位置にある飛行機雲にだけは夕日が当たって色づいたのです。日没後の太陽光が上空ほど遅くまで当たるのは、地球が丸いからです。

「すごい空の見つけかた」(武田康男)草思社刊より

わたしはまだこの真っ赤な飛行機雲を見たことがありません。
日が沈んだ後に空を見上げたら、出会えるかもしれません。
地上から…それも飛行機雲によって地球の丸さを感じることができるなんて。

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「あの空の下で」

小説が続いてしまいますが、ANAの機内誌「翼の王国」に連載されていた短編小説12編に、エッセイ6編を加えた短編集です。著者の吉田修一さん、芥川賞を受賞した「パークライフ」って作品だけ読んだことがあったけれど、なんのクセもない物語で、ただただ淡々と<ただの日常>が描かれた作品。「グッときた」とか「心に滲みた」ってことはないけど、逆にそのアクのなさがちょっと意表をつかれた気がして、心地いいくらい。ただ、その後は本作まで1作も読んだことがないけど。

あの空の下で
あの空の下で 吉田修一

でね。
先日、次はどの本を紹介しよっかな、って本棚に向かってたら、読んだ形跡があるのにまるで思い出せない本がこの「あの空の下で」なんです。ご承知のように、私の記憶力は驚くほど悪いのでこれっぽっちも思い出せない小説ってのは珍しくないのですが、さすがに目次を見たら思い出すことがわりと多いのです。けれど、目次を見てもまるっきり思い出せないのです。
それならあらためて読み返すつもりで…と思ったら「あ、なんだ…思い出した」、の繰り返し。どの短編も扉のタイトルを見ても思い出せません。
たとえば、どんなに「げ、つまんないっ!!」と思っても、いちど読み出した本は苦痛を承知で、どういうわけだか最後まで読むのが私のクセなのですが、「もしかしたらどこかで読み途中にしてるのかも?」とその読みかけ部分を探してたんですが、なんとこの本、実は最後まで読み切っていて、1編1編の冒頭1ページを読むことで全ての作品を思い出すことができました。

さほど古い本じゃありません。2008年の10月刊行。おそらく発売されてすぐに読んだものと思いますが、どこで買ったかすらどこで読んだのか、これっぽっちも思い出せないのです。読んでから1年も経ってないのに、おかしいな…。
ある意味、ここまで記憶に残さない作品(作風?!)ってのもビックリです。
別に悪い意味じゃありません。たとえば私の場合、つまらない作品には、どこがどう退屈だった、とかって、つまらない理由が一応はあって、つまらないならつまらないなりに、つまらない感想があるもんなんだけれど。
「つまらない」という感想も残らない、というのはそれはそれでひとつの趣き。

内容はたとえば、東京に進学した息子に会い出かけた母親が、息子の様子を飛行機で回想する話、アメリカ横断旅行で友達と仲違いした男子学生の話、ひとりで海外旅行に出かけた女の子の話、旅行や飛行機にまつわる話、などなど。ただ、あらためて読み返して…悲しかったのが(飛行機ファンとして)、飛行機のシーンなんかいちども出てこない、人の手紙を盗み読みしたOLの話が一番面白かったということ。

なんだか良くわからないけれど機内誌として、どこかへ行く際に読むにはこういう作品が良いのだとおもう。
っていうか、平易な文章で疲労感もなく、芥川賞作家の冠で読者の注目も引ける、ANAの機内誌側の、計算し尽くされた暇つぶしのためのセレクトなのかも?!

ちなみに前出の「パークライフ」って、読後に心になにも残さないだけ、…それだけのことであって、日比谷公園のベンチで…ってな具合に物語の情景はわりと頭に残ってるんです。
「あの空の下で」ほど何も記憶に残さないというのは、ある意味作風を極めたのかな…。こういうのもなにげに好きだな。

とにかく、狐につままれた気分。

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「東京へ飛ばない夜」

1年ほど前にブログで紹介した、赤い箱に入った子供向け文学全集。
いちどブログで書いちゃたもんだから、その後どうにもこうにも気になっちゃって、半年ほど前に1冊でも残っていないかと家族中に尋ね回り、探しまくったら、なんとっ…出てきたのだっ!! 下宿している人が使ってた部屋の押し入れから、一部欠番はあるものの、思いのほかごっそりと。こんなケースを押し入れに入れたまま部屋を使っていたのかと思うと、申し訳ないやらありがたいやら。とにかく大感動だ!

で、この文学全集の名前がわかりました。「カラー版名作全集 少年少女世界の文学」。記憶通り国別に、選りすぐりの一遍がいくつかにまとまった1冊が全部で30巻。50巻はあるかと思っていましたが、こちらは大きな記憶違いでした。監修は、かの川端康成氏。
活版印刷(凸版の文字型にインクをつけて印刷する=ハンコのようなもの)の文字が目に優しく映ります。子供向けなので漢字にはルビ(ふりがな)がふってあるのですが、昔の人は、…といっても活版印刷なんてついこないだ(少なくても私が小さい頃)まで主流だったわけですが、よくこんな作業をこなしていたものです。
ペラペラめくってるとくしゃみが出て、鼻水が垂れてくるのですが…黄色く焼けてしまった紙に、破れの補強のためのセロハンテープが貼ってあって、そこがまた「えっ、こんなにっ?!」ってほど茶色くなっていて、さらにそのセロハンテープの粘着質部分が劣化して消え去ってしまい、セロファン部分だけがヒラヒラと落ちてきた…。

とにかく。古書店で買ったわけでもなけりゃ親のおさがり本でもない、自分の持ち物がこんな風に「古書」になるということには、たくさんの驚きがある。いちばんビビったのは、私のとあるクセ!
単行本にはよく「スピン」といって、しおりの役割をする紐がついているのですが(たとえば新潮文庫についてる茶色いしおりの紐)、私にはこのスピンの端を結ぶ癖があるんです。この「カラー版名作全集 少年少女世界の文学」にもそのスピンがついているのですが、その先端に結び玉がついていたのです…。「三つ子の魂百まで」といいますが、いったい、いつどこで覚えたんだろう?

東京へ飛ばない夜
東京へ飛ばない夜 ラーナ ダスグプタ,白川 貴子,中村 有以

さて、前置きが長くなりました。
今回紹介するのは「東京へ飛ばない夜」。フィリピンに旅立つ前に少し(3話ほど)読んで、「これはマニラで読もう!」と思って持っていったんです。よく「マニラに何しに行ったの?」と聞かれるのですが、観光は二の次、読書しに行ったのです。2週間ちょっとホテルの部屋にこもってひたすら読書。トランクの半分が本でしたが、その中の1冊がこの「東京へ飛ばない夜」、それから「カラー版名作全集 少年少女世界の文学」の第1巻「古典編 ギリシア神話/アラビアンナイト/イソップ寓話」もこの中の1冊です。

「東京へ飛ばない夜」は、東京行きのジャンボ機が、突然の悪天候でとある国に着陸して復航を待つ間にみんなでお話をする、という物語。航空会社が懸命にホテルの手配をするものの、その国は万国博の開催中でどのホテルも満室…、どうにか大半の旅客は部屋を見つけられたものの、行くところのない13人の乗客が、空港ロビーで夜明けを待つことになります。そこで、どこぞの人が提案してみんなで手持ちのお話を披露しあう、といった具合です。

まず、飛行機や空港をモチーフにした物語ってたくさんあるにはあるのですが、アクション小説だったり、ハヤカワ以外の本で、航空関係が舞台になっている本って、けっこう少ないものです。というか、小説だとタイトルがまずわかりにくい。「沈まぬ太陽」ならあんまり有名なので問題はないのですが、「あぽやん」が、空港の旅行会社に勤める人の話だなんて、よっぽどコアなファンじゃないと知り得ませんし、一般的には通じません(しかしこの本のタイトルは好きです)。なので新刊の、棚差しにならないうちに本屋で見つけないことには、探し当てるのがかなり困難。そんななかで、飛行機だとか空港だとかをちょっとネタにされてたりするのを探し当てられると、舞い上がるほど嬉しいのです。結果としてこの本は、空港でのエピソードに過ぎず、お話とお話の間のシーンでしか登場しませんので、航空ファンなら誰もが楽しめる、といった小説ではないのですが、こんな情景もあるか! ってのに、ちょっと驚きました。こういう(空港の)出し方ってありそうでなかったというか。もちろん知らないだけなのだと思いますが。
航空ファンのみなさんは、「もしもハイジャックが目の前で起きたら、こんな風に対処する」なんて自分勝手な妄想を抱いたりすることありませんか? もちろん(不謹慎ですが)竜子はあります。「墜落直前、自分ならこうする」ってのはありませんか? (不謹慎ですが)竜子にはあります。その「もしもシリーズ航空編」の妄想に、「どういうわけだか空港でいろんな人とお話を披露しなくちゃいけなくなったら」とういうシーンが新たに加わりました。

さてさて。お話は東京から中近東にかけてのアジア圏を舞台にしたお話なのだけど、まさに大人の童話といった感じで、おとぎ話のようなシュールさ。「大人の」とはいっても、最後にお話のひとつひとつが繋がってオチとなる、なんて完成度の高さはないので、読む人によってはその幼稚さが嫌だ、ってこともあるかもしれません。先の通り、空港で語られるエピソードは、飛行機とは全く関係のない「オムニバス」ってやつです。時折、国名や都市名が出てきたりするんだけれど、実際にどこのお話なのか、いつの時代のことなのか明言されてなかったりして、いつまでも「なんとなく異国情緒漂う」のままお話が過ぎていくのですが、その「なんとなく」の気だるさが心地良くて久しぶりにどっぷりハマりました。
訳者のクセなのか、それとも翻訳モノがそもそもこういうものなのか、最後まで良くわかりませんでしたが、登場人物やモノで現代のお話か?! と思えるのですが、読んで頭に流れるときの言葉やリズムはおとぎ話調。なんと説明したらいいのかわかりませんが、たぶん文調が古いんでしょうね。それがいい味出しています。この本の頭の3話ほど読んで得たなんとなくの異国情緒から、「アラビアン・ナイト」だとか「ギリシャ神話」だとかって古典ものが読みたくなってしまい、この本と「カラー版名作全集 少年少女世界の文学」のいくつかを提げて渡航したんです。そしたら、ペルシャ(イラン)に行きたくなったり、ギリシャに行きたくなったりしたんですよね。そんなこんなの流れで(?!)まずは間を取ってトルコに行ったわけですが。

1冊の本から、いろんな世界が広がるもんですね…。
ま、今年のうちは、ちょいちょいと「カラー版名作全集 少年少女世界の文学」を読みふけりそうです。

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「グッドラック」の向こう側

「グッドラック」の向こう側―元航空技術者の独り言
「グッドラック」の向こう側―元航空技術者の独り言 村尾 鉄男

航空関係の本の中でもパイロットのエッセイが好きです。書いてある事柄はだいたい似通っているものの、やっぱり書く人の個性があって、何を読んでも著者さんのその人柄を感じることが出来て、どのエッセイも飽きることがない。
例えば軍隊上がりの教官の血を継ぐブルーカラー系のパイロット、クールでコンピュータ頭脳っぽいホワイトカラー系のパイロット、いずれも肯定も否定もしないスタイリッシュ系パイロット、とこんなことを言っては怒られるのは必至ですが、パイロットのエッセイにもいろんなジャンルがあったりします。

パイロットのエッセイはわりと数も多く、並んでスッチーのエッセイも良く出ていますね。こちらはもっと内容が似通っているのですが…好みの問題。また後日紹介します。

で、今回紹介するのは「「グッドラック」の向こう側」。「グッドラック」ってセリフを使うのは…整備士さんや管制官、そのほか地上職の人たちですね(他にもいるかもしれませんが)。それでこの本は、整備部門で活躍された「村尾鐵男」さんという技術者の方が書いたエッセイ。案外、整備部門の人が書いた、という触れ込みの本って少ないんですよね…。整備部門、と勝手に書いちゃいましたが、エンジンの技術者、そしてエンジンと整備工場の人員や設備の計画に携わった方です。目次なんかを一見すると、機材の話やホスピタリティの話まで、パイロットの方のエッセイと客室乗務員の方のエッセイを足して2で割ったような感じなんですが、読んでみるとこれがどちらでもなくって味わい深いんですよね。赤組系ですので、世界各国の整備を受注されてたりして、国際経験が豊富。他国機の話はもちろんですが、その往復でのCAさんとのエピソードがクスッっと笑っちゃうんですよね。

内容は、文庫本になってもおかしくないくらい平易な文章で読みやすい。マニアックなことなんてひとつもありません。それでいて、いろんな機材のお話や部材のお話なんかは、マニア心をくすぐる内容。それに、いろんな機材をみたり触ったり、契約を取ったりする人ですから、パイロットの方にもCAさんにもない経験のお話も多い。それに技術者たる著者さんの真摯さが手に取るようにわかる内容でとても気に入っています。
感想をひとことでいうなら…「日本人の資質って高い!」ってことでしょうか。

著者さんのエピソードをひとつ。台北までの機内で「新聞を」とCAさんに英語で頼んだら、その方は台湾の新聞を手渡しながら、自分は北京語も広東語も台湾語も話せるから、英語でなくてOKです、という。だから著者さんはパスポートを出して中国語が得意でない旨に「日本人なので…」と付け加えたにもかかわらず、「あなたは大陸の湖南省の生まれでしょう、私にはわかります。いつ日本へ帰化されたのですか?」と決めつけられたそうです。この後、著者さんはあることでちょっとトチってしますのですが、とても蔑んだ目で見られたそうです。
実はこれ、私にも同じような経験があるのです。同じく台湾までの路線で。機内は空席も多く暇そうだったので、ちょっと早めにハガキをお願いしたら(英語で)、CAさんは中国語で何かいってくる。しばらく何いってるか良くわからないけど、また英語に戻って「○○の出身でしょう?」と。「I know」って…。立ち去ったCAさんは、私のほうを向きながら別のCAさんとコソコソ話してた。
ちなみに中国へ行くと、美容系のキャッチセールスにひっかかったり、よく現地の人と間違われます。2回ほど人違いされたこともあります。そのうち1回は西安の観光者向けのナイトクラブで。その私と似てる中国人の方はよほどのことをしでかして逃走したか、ドラマチックな別れかたをしたかで、顔を歪めてとても心配そうに私の体を大きく揺すり、何事かと思った母親が間に入ってくれて解放されたのですが(笑)

ところで、最近はちょっとしたことで機密情報漏洩だの、職務違反だのって、「だから、ど〜したっ?!」って感じのことが真面目な面持ちでニュース読みされたりしてますが、あんまりくだらな過ぎてやんなっちゃう今日この頃です。ネットで写真を掲載したパイロットが職務規定違反で処分されて、ニュースにまでなっちゃう。
楽しみが減ってきてしまって、残念です。しかも、驚くのがその規定違反だとかって基準があいまい。本ならOKで、ネットはNGのようですからね…。

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国内線の航空ルートを知りたいときは

うちの上空を通るのは、羽田から出発して守谷ディパーチャーへ向かう飛行機たちなのですが、TCAチャートの東京/成田、それと首都圏の地図を眺めながら、それでもやっぱり分からないことが多くって…これが分かるようになるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

先日、久しぶりに羽田空港へ行きました。天候も悪くってデッキには行きませんでしたが、なぜだか仕事に追われて無茶して忙しくしているときのほうが、時間を作ってでも羽田に行くものですね。前回行ったのはだいたい1ヶ月近く前。関空乗り継ぎのエミレーツに乗るためで、「行った」というか「使った」なのですが。

ブックスフジで仕入れたのは、「出発進入経路マップ Ver.6」。たぶん、普通の航空ファンの方なら航空無線のためや、撮影のために必要な1冊なんだと思いますが、私の場合は単純に自分ちの上空がどんな風になってるか知りたかった…。あくまで、ヒントに過ぎないのでこれだけじゃ分かんないのですが。

出発進入経路マップ Ver.6
出発進入経路マップ Ver.6 エアライン編集部

内容は至ってシンプルで、必要最低限のコースと、経路の高度制限などの解説がある。見方によっては解説も図解マップも必要な情報のみの表示で、非常に分かりやすいし、めまいのするような文字の羅列がなくてとても見やすい。だからとても分かりやすい!
ただ、風向き(季節)、時間帯や混雑具合など、そのコースが使われる可能性を示唆する内容があれば、もっと面白いと思った。面白いというか、この本で完結できるのになぁ〜、というか。

フライトナビ 改訂新版 (イカロス・ムック)
フライトナビ 改訂新版 (イカロス・ムック) イカロス出版

それともう1冊。これは去年買ったものなのですが、こちらは入門者・初心者向け。出発から到着までの経路を、滑走路のフォローと機窓から見える景色と共に解説しています。ただ、ウェイポイントやVOR/DMEについてのフォローが大雑把なので、もうちょいほしいな…って感じ。機窓の景色を目印にするあたり、ワクワクできて楽しく閲覧できるのですが、チャートの副読本といったノリで、いっそのこと機窓の景色だけを目印に楽しむフライトの本だったらもっといいのに…。

進入/着陸経路の本は、希少な本で手元にあるとかなり便利なのですが、中級者を通り越して上級者向けの資料として機能する本ばかり。かといって、初心者向けの初心者だとか入門者だとかいうまえの、普通の人向けの本だってないしね…。
中級者向けのプラスアルファな本を希望します。

では。

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「AIRCRAFT INTERIORS」「AIRPORT DESIGN」

週末の夜の盛り場では、追悼マイケル・ジャクソンなのか、行く先々で映像や音楽が流れていたけれど、あるところでは映像だけがマイケル・ジャクソンで流れる音楽は本人とは関係のない、ムーディなハウスだったり…、ま、なんしかちょっとしたイベントのようになっていた。

少し前にマイコーブームで、本を読んで、彼の肌の色は噂された脱色なんかではなく黒人の2%に発症する尋常性白斑の病変であること、顔の整形だって白人願望からのものでなくってやむを得ず手術したのがきっかけだったこと、ネバーランドであったとされる事件も大物ゆえの災難でしかないことなんかをあらためて知ったばかり。伝説に残る人によくある通り、短命に散ってしまったけれど、ほんとうにガッカリだ。「Another part of me」には思い入れがあって、わたしは「Billie Jean」や「They don’t care about us」が好きです。

マイケルジャクソンといえば、ネバーランドでの嫌疑がかけられたときにエキストラジェットなるアメリカのビジネスジェットの会社から訴えられたこともありました。料金未払い訴訟なんですけれど、結局この訴訟だって、ビジネスジェット会社オーナーと航空整備会社の元経営者ぐるみで飛行機の中にカメラを忍ばせ、マイケル・ジャクソンの隠し撮り映像をマスコミに売ってひと儲けしようと企んだからなわけで、マイケル・ジャクソン側が勝訴しましたけど…。この航空会社は、判決で多額な賠償金を支払うように命じられました。
なんだか切ないなぁ〜。

Aircraft Interiors (Design Book)
Aircraft Interiors (Design Book) DAAB

さて。今回紹介するのは、そんなゴシップまみれになってしまったマイコーも愛用したかもしれないハイソな薫りが漂う飛行機を紹介した「AIRCRAFT INTERIORS」。400ページに及ぶ分厚い写真集です。
飛行機のインテリア、といっても旅客機ならファーストクラス、最低でもビジネスクラス(ビジネスクラスはほんのちょっと)、ファルコンから737のプライベートジェット、そんな室内インテリアを皮の質感まで分かるほどの、どアップで紹介しています。一部はイメージイラストや、機窓ははめ込み合成だったりと、まるで高級外車のパンフレットのようですが。
A380やB787なんかでもまぁまぁなボリュームで紹介(でもイラスト多用)、見どころはビジネスジェット(コーポレートジェット)や、プライベートジェットでしょうか。「トイレ」じゃなくって「ラバトリー」といわしめる、水回りの優雅さ、テーブルウェアのギンギンな硬質感、ベッドの毛皮シーツなんか見てると、立ってる世界が違い過ぎて、現実味がないんですよね。当たり前だけれど。お手洗いの壁がウォールナット? マホガニー?(わからん…)、台座が大理石でシンクが真鍮、みたいな。とにかくゴージャスなんで良く知りませんが、立派過ぎて感動! というより、なんで地上と変わらぬものがここで必要なのか、何をしに目的地へ向かうのか、これに乗る人たちがどんな生活をしていて何で収入を得ているのか、彼らの子供たちがどんな風に育っているのか、気になります。

Airport Design (Design Books)
Airport Design (Design Books) DAAB

続いて、この「AIRCRAFT INTERIORS」の姉妹書、「AIRPORT DESIGN」。こちらも400ページのボリュームで日本からはレンゾピアノの関西国際空港がセレクトされています。「これじゃぁ関空があんあまりだよっ」って突っ込みたくなるほどの写真で、なぜか関空だけ写真の印刷の質が悪いのです。
黒川紀章の、クアラルンプール国際空港もあります。
それにしても…。どこもかしこも、ホワイト鉄骨空港(←なんていっていいか分かんないけど、羽田空港とか仙台空港とか、関空とか、世界でも恐竜の骨にビニールハウスのテントを張ったような…そんな空港)ですよね。大型建築だからなのかもしれないですけど。新しい空港はみんなホワイト鉄骨空港なので、形状の違いや中の人や文字や看板でようやく異国情緒が感じ取れるというか…。この写真集も、とにかく人の気配を殺した写真が多いので、余計にそんなことを感じてしまいます。

こんなことを言ってはなんだけれど、こんな風に世界の名だたる巨匠のコンペ選出の空港を取り上げるのも面白いと思うけれど、世界のドメスティック専用写真集があったらいいのにな。

では。

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「追憶の翼」

Classic airliner in Japan―追憶の翼 (1960-75Vol.1) (イカロスMOOK)
Classic airliner in Japan―追憶の翼 (1960-75Vol.1) (イカロスMOOK)
Toshihiko Watanabe
Classic airliners in Japan―追憶の翼 (Vol.2) (イカロスMOOK)
Classic airliners in Japan―追憶の翼 (Vol.2) (イカロスMOOK)
Toshihiko Watanabe

写真ってのは、人にさらされて輝くものですね。そして長い年月を経た後に…ってワインじゃあるまいし! って感じだけども、過去の写真ってとびきりの興奮をもたらしてくれます。

今日紹介するのは1960年〜1976年までの、私の生まれる前に撮影された飛行機の写真集、「追憶の翼 Vol.1」と「追憶の翼 Vol.2」です。写真集、というかイカロスMOOKです。常々「イカロス出版の本って高い、高すぎる!」と思ってますが、このMOOKは1冊3,500円(税込3,333円)、Vol.1とVol.2合わせて7,000円とやはり通常のMOOKから考えると高い気もするのですが、とても満足。本当に気に入っています。装丁がもっとしっかりとハードカバーにでもなってたりしたら、5,000円くらいでも買っていたかも…とも思います。

見たことあるようでないような、でも記憶にあるような、そんな飛行機の写真ばかりカラーで紹介しています。
写真のほうはこうして過去の機体を寄せ集めた本だからこそ、「懐かしい」とか「へぇ〜」だとかって見れるのですが、普段これだけの分量で昔の機体が見れることってわりと少ないですよね…。
雑誌の特集企画だったり、本に挿入される僅かなスペースだったり、モノクロだったりして。あと、カラーで良く見かけるのは、プラモデルとか、ダイキャストプレーンのパッケージ写真だったりします。

撮影者は東亜航空に勤めてらした渡辺俊彦さん、解説者は世界の航空機データ年鑑の特派員も務めてらっしゃる古内淳さん、撮影された方と解説者が別なので、写真がどのような環境下で撮られたものかというエピソードはなく、映っている機体の解説(たとえば機材のキャパ解説はもちろん、新規登録から抹消まで機体がどのような運命を辿ったのかなど)に徹しているのですが、それがまた感慨深く、旅情に浸るような哀愁漂う想像力が掻き立てられていいのです。

機体のカラーリングや細部はともかく、背景に映るターミナルビルや展望デッキ、トーイングカーや整備車両なんかもとても興味深いです。羽田空港なんかは灰色の要塞、というか軍艦のようです。それから遠くに映る企業広告のデザインも。「ナショナルカラーテレビ」の広告塔なんかでも、「こんな書体だったなぁ」から始まって、「昔は乾電池が自販機で売ってたっけ」とか、そんなことまでひろがったりする。それにシャッターひとつ切るにもフィルムで、現像に出して、と。「1枚」の写真でなく「1葉」の写真と言ってみたくなる。

あと、気になるのは…。羽田空港で撮られたいくつかの、雨上がりや雪どけの駐機写真なんですが、水がうっすら張っているんですよね。その水面に機体が反射してとても美しいのですが、羽田の駐機スポットに水が張る、なんてことは今もあるのでしょうか?

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