D滑走路と新ターミナル
ご存知のようにいま羽田空港では、4本目となるD滑走路を建設中です。
いまの羽田空港の滑走路は、A、B、C、の3本。羽田空港は一応24時間運航ができる空港ですが、実際には朝5:00頃から24:00時過ぎ頃まで。佐川急便のギャラクシーエアラインズがあった頃は、24:30〜25:00頃に羽田を離陸する貨物機の音を聞きながら、「今日も1日ご苦労様でした」という気分になったものです。
現在の羽田空港の発着能力は年間で30万3000回(1日平均830回)。D滑走路が増設されることによって、40万7000回(1日平均1,115便)に増強される(といっても、管制の問題があるため段階的に発着能力を上げていく)予定です。自然環境問題の高まるなか、多摩川の流れを阻まないように多摩川の河口から離しているため、既存の空港用地から独立した場所に建設され、桟橋で結ぶ計画です。
ちょうど1年後の2010年10月には新ターミナルと新管制塔と共にオープンするのですが、そのD滑走路によって新たに生まれる発着枠1万7000回は、定期国際線の運航に力を入れています。いまは船着き場のような国際線ターミナルで、ひっそりしている国際線ですが、これを機に本格的な24時間運用が検討され、総2階建てのA380にも対応したスポットも準備されます。また国内線との最小乗り継ぎ時間は30分以内、というような目標も掲げています。
われわれ飛行機ファンにとって嬉しいのは、「富士見台」と「月見台」なる展望デッキ。ターミナルビルを正面にみて右端に「月見台」、左端に「富士見台」。天気の良い日には富士山と飛行機の豪華競演、新しい撮影スポットになること間違いなしです。しかも、この展望デッキはターミナルビルの5F(地上5階建ての屋上部分)につくられるのでですが、駐車場ビル(7F建て)が景観を壊さないように配慮して建設されているのもありがたいところです。
新ターミナルビルの外観のテーマは「空とすじ雲」。モノレールがターミナルビルの3階に接岸ようになっています。つまり、現状の第1、第2ターミナルではモノレールが地下に乗り入れているのと違って、地上に駅ができ、わたしたちは桟橋を渡って、ターミナルに向かうわけですね(京浜急行は地下乗り入れです)。
そこに広がるのは、日本の過去をモチーフにした「江戸小路」なる空間。それから、キャラクターグッズを集めたジャパニーズ・カルチャーエリア、あと日本の現在をモチーフにしたオープンエリアの食事スペース「空の庭園」、それから未来をモチーフに、科学技術を詰め込んだプラネタリウムなど、「国営マンガ喫茶」よりもはるかに魅力的な空間が広がるのです。
元々は首都圏の将来的な需要を見込んで、成田、羽田に次ぐ首都圏の空港建設プランだったけれど、需要に応える形で羽田空港の拡張案が出され、やんややんやの末、東京都が乗り気になったこともあって一気に現実味を帯びるようになりました。
それから約10年。
365日、24時間、ゴールデンウィークもお盆もシルバーウィークも。工事がストップするのは、台風などの天候事情によるときだけ。ちなみに年末年始も不休で、作業している方々は初日の出を工事現場から眺めたりしてます。もちろん、いまも眠らず黙々と工事中です。
首都高の、湾岸高速・羽田中央でなく、「空港西」出口で降りてターミナルに向かうと、続々ダンプだの運搬車両が乗り入れてゆくのが分かります。つい2年ほど前まではただの更地で、用地が囲いで覆われてはいても工事現場然とはしていなくて、どこにでもあるような工業地帯の広大な空き地、って感じだったのに、いつの間にか「いよいよできるんだな? ここの眺めはどんな風になるんだろう?」と頭で描けるところまで来ています。工事現場の近くへは近づけませんが、周辺は「安全第一」の大弾幕が。たくさんの夢が詰まっている公共工事。「黒部の太陽」のように過酷じゃないにしても、やっぱり大規模な工事現場なわけで、これがもうじき、こぎれいでスタイリッシュな空間に変貌するのだと思うと、感慨深いものがありますね。
工事用の運搬船舶のための出入り口として開いていた、滑走路周辺の護岸も1ヶ月前の9月7日には閉じて、埋められました。いよいよ大規模な基礎工事が終わって、内装に集中するといったところでしょうか。
空港整備事業所からの発表はいつだって「急ピッチで作業中」「最速工法で作業中」とあります。そんな涙ぐましいD滑走路ですが、最後にこれを紹介せずにいられないのです!
なんと! 羽田空港再拡張事業の、テーマソング!
「事業」のテーソング? 「空港」のテーマソング? いや、「事業のテーマソング」です(笑)。国土交通省職員の方が制作されたそうです。その名も「D runway 〜羽田空港再拡張事業のテーマ〜」。
▶国土交通省関東地方整備局・東京空港整備事務所のテーマソングのページへ
■「D runway 〜羽田空港再拡張事業のメインテーマ〜」詞/曲/編:佐瀬浩市
▶こちらをクリックすると再生ページへ行きます
大空に羽ばたく今未来の扉たたく
機体に希望乗せてstand by for taking off
そびえる大地を越え碧い海原も越えて
時も飛び越えてゆくall set for flying off
されどキミを乗せる翼が足りない やがて来る次代を担うhybrid-island※ D runway駆け上がる空fly away D runway Asia gateway
D runway翼を拡げright away D runway fantasia gateway
キミの笑顔が見たいから 今すぐ飛んで行きたいから
D runway, airway, longed-for the new airfield of the runway「D runway 〜羽田空港再拡張事業のメインテーマ〜」より、一部抜粋
全体的には「ハイブリット・ゲタッウェイ〜♪」ってなホップな感じなんですが、突如現れる「されど」ってフレーズのアンバランスさがいいですね。
かんたんな言葉が並んだ歌詞なのに夢や希望が大きい、というスケール感は80年代のミュージックシーンを彷彿とさせます。そして「先読む戦術切り拓く技術 届け天まで」という、計画に携わった人々への配慮が歌詞に盛り込まれているという、愛情に溢れた作品です。
この「事業」のテーマソング。一体どこで使われているのでしょうか。毎日の朝会? 職場で? ん、どなたかご存知の方は教えてください。
上の歌詞は一部引用なので、ここで終わりません。興味のある方は、ぜひ本サイトで。
そして、セカンドテーマソングまであるんです!!
「Historic breakthrough, D runway」
では、続いてお聴きください!!
■「Historic breakthrough, D runway 〜羽田空港再拡張事業のセカンドテーマ」詞/曲/編:佐瀬浩市
こちらをクリックすると再生ページへ行きます
輝き宿る素晴らしい街へ
飛び立つ空約束の地へ
受け取る優しさ届け世界へ
熱き想いを支えるD runway
空の果てでそっと生まれる明日に出会う
誰も彼も時を駆ける旅人
しなやかな期待を胸に求め続ける
You would someday find out a blue bird around
D runway※ 明日へと続くrunway 遙かなる空far away
風に向かってD runway
光を運ぶrunway 暮れなずむ空vague way
夢の架け橋D runway
We have a dream that one day this runway
will just do much for the peace in the world
Historic breakthrough, D runway「Historic breakthrough, D runway 〜羽田空港再拡張事業のセカンドテーマ」より、一部抜粋
大変なんでしょうね、開発にあたってらっしゃる方々は。
いろんなことがあるのでしょうね。でも熱き思いで歯を食いしばってるんでしょうね。
たくさんの思いと願いが詰め込まれていて、とりあえず開発の大変さは伝わってきました…。
私もD Runwayが成功するのを願ってやみません。
気になるのがこの佐瀬浩市さんなんですが、外務省経済協力局職員として、「オー ODA〜♪」とコーラスの入るODA(政府開発援助)の50周年記念テーマソング「50th Anniversary ODA 」を発表したり、東京湾の護岸工事のテーマソング「bio♭(バイオフラット)〜干潟・磯場整備事業(潮彩の渚)のテーマ〜」、「百年の守り〜釜石港湾口防波堤賛歌〜」という渋い曲を発表したりしています。
以上、余談が長くなりました。
では、また来週!
