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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第13回(最終回)

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「コペンハーゲン カストラップ国際空港へ着陸」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入13

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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機長はフラップ角度を20度にセットするよう指示した。
「フラップ20」
「GS(グライド スロープ) ワン ドット」着陸誘導の電波を捉えているのが、計器パネルに表示されている。
「フラップ20 セット」フラップ角度が20度まで下がったことを確認、コールした。
412便は順調に滑走路に向かって下降している。機長は副操縦士にギア(車輪)を降ろすよう指示した。
「ギア ダウン」
車輪が降りる音と風を切る音が響く。
「ジャパンエア412 カミング アップ ローカライザー ナウ 5マイル」(日本航空412便へ。ローカライザーまで、あと5マイルです)
「ジャパンエア412 インターセプティング」(ローカライザーに向かっています)
「ジャパンエア412 クリアード フォア ILS コンタクト タワー 118.1」(日本航空412便へ。ILSの進入を許可します。以後はタワー管制118.1メガヘルツに交信して下さい)
機長は「ラジャ」と指示を了解した旨を副操縦士に伝え、「(ジャパンエア)412 グッディ」と交信した。
交信がカストラップ・タワー管制へ移管された。
「カストラップ・タワー ジャパンエア412 ILS 22レフト」
(カストラップ・タワー管制へ。日本航空412便です。ILS着陸方式で滑走路は22レフトです)
「ジャパンエア412 クリア トゥ ランド 22レフト 180 8ノット」(日本航空412便へ。滑走路2レフトへの着陸を許可します。風は190度の方向から8ノットです)
着陸許可は発出された。「ラジャ」の力強い声が、緊迫した雰囲気を更に染み渡らせる。
「ジャパンエア412 クリア トゥ ランド 22レフト」(滑走路22レフトに着陸します)
「フラップ30」
フラップを更に下げ、機体は少しずつ速度を落とす。着陸直前の計器チェックが始まった。
「ランディング・チェックリスト」
「イグニッション…フライト スター」
「ランディング ギア…ダウン アンド グリーン」
「スピード ブレーキ…アームド」
「フラップス…30 30 グリーン ライト…エイト グリーン ライト」
「ハイドロリックス…ノーマル」
「ランディング・チェックリストコンプリートです」
「ラジャ」
「クリア トゥ ランド」
目の前に滑走路が迫って来た。副操縦士が「ワン サウザント」と残り1000フィートであることをコールした。機長は、すかさず「ローデータ」、続いて航空機関士が「ノーフラッグ」の確認コールを行なう。
眼下には北海の蒼色に、リアス式海岸と思わせる複雑な入り江が広がっている。そして一隻の大きな帆船が滑走路の延長上を横切っている。4本のマストに純白の帆いっぱいに風を受けて、ゆっくりと北に進み、白波がその航跡を作り出している。JAL412便は速度を落としながら、ゆっくりと滑走路に向かって下降している。
「ちょうど、真上だな」鈴木機長が呟いた。
見事としか言いようがないほど、JAL412便の真下に帆船が重なった。ギアがマストの先端に接触するのではと思えるほどの近さで、遠近を失うような感覚に襲われる。
JAL412便は、滑走路のセンターラインに機体を合わし、降下し続けている。計器の目盛りが滑走路に近付いていることを示している。
「ファイブ ハンドレッド」500フィート切った。長い滑走路が目の前に飛び込んで来た。
「スタビライズ」エンジンの出力、機体のバランスが取れている。揺れは無い。
「アプローチング ミニマム」
「チェック」
着陸決定地点を目指して412便は更に下降を続ける。
「スリー ハンドレット」残り300フィート。
「ハンドレッド」残り100フィート。
滑走路末端を一瞬に通過し車輪の接地まで、あと僅か。「50…30…」航空機関士は残りの高度をコールし続ける。
機長はスラストレバーを手前に引き、エンジン推力を切った。機体は一瞬グライダーのように滑空している。機体中央の車輪が接地した。機長はゆっくりと操縦桿を押し込み、ノーズギアを接地させた。同時にスラストレバーの奥にあるリバーサー(逆噴射)のレバーを手前に引いた。エンジンに逆噴射が掛かり、ガタガタと機体を揺らしながら、急激に減速し出した。
副操縦士は「ブレーキ プレッシャー ノーマル」と、ブレーキ制御装置に異常がないことを確認した。
「ハンドレッド」100ノットまで減速し、続いて「80ノット プレッシャー ノーマル」80ノットまで減速し、ブレーキ制御装置に異常がないことを確認した。
機体はスピードを落とし「60ノット」まで減速した。
「ライトサイド クリア」誘導路に障害物が無いかを確認した。
「ジャパンエア412 ターン ライト アンド ハイスピード フォロー タクシーウエイ 2」(日本航空412便へ。右の高速誘導路に入り、誘導路2に向かって走行して下さい)
「(ジャパンエア)412」
「フラップ アップ」着陸に要したフラップを主翼に格納するように指示した。
「タクシーウエイ ナンバー2」誘導路2を走行することを再度確認コールした。
CAが客室アナウンスを始めた。ホッとした雰囲気が客室を包んでいる。
岸田副操縦士は、滑走路を横断する許可を管制官に要請した。
「ジャパンエア412 リクエスト クロス ランウェイ 12」(日本航空412便です。滑走路12を横断する許可を頂けますか)
「…コンタクト 121.9」(…121.9メガヘルツに交信して下さい)
「ライトサイド クリア」
副操縦士は周波数121.9メガヘルツに合わせて、交信を始めた。
「カストラップ・グランド ジャパンエア412 クロスイング ランウェイ12」(カストラップ・タワー管制へ。日本航空412便です。滑走路12を横断しています)
「ジャパンエア412 グッドアフタヌーン …ゲート34」(日本航空412便へ。こんにちは。貴機の駐機場は34番です)
副操縦士は復唱し、管制官は「ザッツ コレクト」(その通りです)と間違いがないことを確認した。
「スカンジナビア207 コンタクト119.9」(スカンジナビア航空207便へ。以後は119.9メガヘルツに交信して下さい)
航空機関士はチェックリストに書かれている着陸後の計器確認項目(アイテム)のチェックを行なった。
「アフター・ランディング・チェックリスト コンプリートです」
「ライト サイド クリア」
目の前に34番ゲートが見えた。既に地上整備員が待機し、412便を誘導するマーシャラーも視認できる。スピードを落としながら、ゆっくりと停留地点に着いた。
エンジンを切り、乗務員の3名は不必要なスイッチを切り、B747に一時の安息を与えていく。ドアが開き、次々と乗客が降り始めた。次の目的地のアンカレッジ、また日本に帰る乗客は座ったままで背伸びをしている姿が、ちらほらと見える。外では次の飛行に向けて慌しく準備を始めた。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

今回で「ヨーロッパ飛行」最終回になります。
この連載を執筆くださった桃田素晶さん、音源を提供くださった故・武田一男さんとご遺族のみなさま。さらに、写真をお貸しくださった「ちょっと昔の飛行機写真館」のharuhikonさん。どうもありがとうございました。

本当のこというと、この連載が終わってしまうの、凄くさびしかったです。
お待ちいただいた読者のみなさま、すみませんでした。心からお詫びします。
桃田さんにいたっては、とても懸命に何度も何度も執筆し直してくださいました。
今回はそんな桃田さんに対して、なにか目に見える形で(「航空」クリックでも、コメントでも、メール(info@airjapon.com)でもなんでもいいので)足跡を残していただければ幸いです。

この企画に携わってくれた方々、読者のみなさん。本当にありがとうございました!!

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第12回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「カストラップ空港へ進入 コペンハーゲンアプローチ」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入12

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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412便は下降を続けている。岸田副操縦士が「ワンタウザント」とコールした。指示高度7000フィートまで、残り1000フィート。まもなくすると、7000フィートに達したブザーがコックピットに響いた。
「ジャパンエア412 リクエスト ヘディング」(日本航空412便へ。現在、どの方位で飛行していますか)
「ヘディング 030 (ジャパンエア)412」(030度の方位です)
「ターン レフト ヘディング 015…」(機種を015度の方位にして下さい)
「ラジャ ジャパンエア412 レフト ヘディング 015 ウィ ア メンテニング 70」(了解しました。機首を015度に向けます。高度は7000フィートです)
CODANを通過し、機首を15度に左旋回し7000フィートで水平飛行している。右手にスカンジナビア半島、左手にデンマーク最大の島シェラン島、その間にオアーソン海峡があり、JAL412便はオアーソン海峡の中央を北に向かって、飛行している。
「(コペンハーゲン)アプローチ スターリング281 グッドアフタヌーン フライトレベル145 パッシング300」(コペンハーゲン・アプローチ管制へ。スターリング281便です。現在3万フィートを通過し、1万4500フィートに下降中です。)
北から空港に進入してくる航空機の交信が入ってきた
「スターリング281 レーダー コンタクト ラディアル160 フォア ベース 22レフト ブラボー インフォメーション」(スターリング航空281便へ。貴機をレーダーで捕捉しています。機首を160度の方位で飛行して下さい。滑走路は22レフトです。空港情報Bを入手して下さい)
「160 スターリング281 フォア ベース 22レフト ブラボー インフォメーション」(機首を160度で飛行します。滑走路は22レフト。空港情報Bを入手します)
コペンハーゲン空港をハブとしてヨーロッパに路線を展開しているアイスランドスターリング航空である。現在は破産している。
管制官は降下高度の指示を出した。空港へのアプローチが始まった。
「ジャパンエア412 クリア トゥ 2500フィート 1019ミリバール」 (日本航空412便へ。2500フィートまで降下して下さい。気圧は1019ミリバールです)
「ジャパンエア412 クリア 2500フィート 1019」(2500フィートまで降下します。1019ミリバール)
「じゃあ、そちらはILS…」
副操縦士にカストラップ空港のILSの電波を受信する操作を指示した。いよいよ、空港への進入(アプローチ)が始まった。進入に際しての計器チェックであるアプローチ・チェックリストを始めた。

JL412ランディングデータ

「アプローチ・チェック」
「ブリーフィング フォア ランディング…コンプリーデッド」
「ランディング データ…セット アンド クロス チェック」
「オート ブレーキ…ミディアム」
「エバケーション コマンド スイッチ…アーム」
「キャビン サイン…オン」
「レディオ INS スイッチーズ…レディオ」
「レディオ アルティメーター…200 セット」
「アルティメーター…セット 1019…セット アンド クロス チェック」
「サーキット ブレイカーズ…チェック」
「フュエル…セット フォア ランディング」
「プレイシャラゼーション…セット」
「アナンセーター パネル…チェック」
「フライト ナビ インストゥルメント…セット アンド クロス チェック」
「アプローチ チェックリスト コンプリートです」
「ラジャ」
パイロット達は、計器が正しく作動していることを確認した。副操縦士は、すぐさまILSの周波数をセットしたことを機長に報告した。
「マイサイド ILS ID オーケーです」
「ジャパンエア412…」
管制官から交信が入った。声が篭り、聴き取り難い。
「ハウ マッチ ファイナル ウッド ユウ ライク?」
「ハウ マッチ…何ですか?」
「セイ アゲイン プリーズ」(もう一度、お願いします)
「ハウ ロング ディス イズ ソウ ウッド ユウ ライク オン ファイナル」(最終進入地点まで、あと何マイルですか)
「えーっと…」
「スタンバイ ワン」(待って下さい)
「5マイル」
「(ジャパンエア)412  5マイル  オン ファイナル」(5マイルです)
管制官はすかさず、スターリング281便に指示を出す。
「スターリング281 スピード 220 ランディング」(スターリング281便へ。スピードを220ノットにして下さい)
「リデュース 220 ランディング スターリング281 アンド 70 トゥ 50」(220ノットにします。現在7000フィートを通過し、5000フィートに降下中です)
「ジャパンエア412 クリア トゥ  1500フィート レフト ヘディング 350」(日本航空412便へ。1500フィートまで降下し、機首を350度に左旋回して下さい)
「ラジャ ジャパンエア412 クリア トゥ 1500 レフト ヘディング 350」(1500フィートまで降下し、350度の方向に左旋回して下さい)
管制官は空港に進入してくるJAL412便とスターリング航空281便の進入調整を終えた。

機長はフラップを5度の位置まで下げるように指示した。
「フラップ5」
副操縦士は自席左にある翼の形をしたレバーを上に引き上げながら、5度の位置にセットした。
「ジャパンエア412 フライ トゥ レフト ヘディング310」(日本航空412便へ。機首を310度の方向へ左旋回して下さい)
「ジャパンエア412 ヘディング 310」と復唱した。
「スターリング281 クリア トゥ 2500フィート 1019」(スターリング航空281便へ。2500フィートまで降下して下さい。気圧は1019ミリバールです)
「2500フィート スターリング281 1019 アンド スピード ナウ 240 リービング」(2500フィートまで降下します。気圧は1019ミリバール。現在のスピードは240ノットで降下中です)
「(フラップ)10」
更に、10度にするよう指示した。コックピットは緊迫した雰囲気に変わった。
「ヘディング 310 です」
「ワン タウザント」
指示高度である1500フィートまで、残り1000フィートを切った。
「ジャパンエア412 レフト ヘディング 250 クリア ILS」(日本航空412便へ。機首を250度の方向に左旋回し、ILSの電波に乗って下さい)
「ジャパンエア412 レフト ヘディング 250 クリア ILS 22レフト」(250度の方向に左旋回し、ILSの電波に乗って滑走路22レフトに向かいます)
「スターリング281 ターン トゥ ヘディング 260 クリア ILS 22レフト」
(スターリング航空218便へ。機首を260度の方向に右旋回し、ILSの電波に乗って滑走路22レフトに向かって下さい)
「ライト 260 クリア ILS 22レフト スターリング281」(右に260度に旋回し、ILSの電波に乗って滑走路22レフトに向かいます)
管制官はスターリング281便に、JAL412便の後ろに入り進入せよとの指示を出した。
目の前にカストラップ空港の滑走路が見え、副操縦士は「ランウェイ インサイト」(滑走路、視認しました)と、コールした。
「レーダー スタンバイ しておきます」
「グライド スロープ ムービング」
副操縦士は、着陸誘導の電波を受信して計器に表示されていることをコールした。412便はまもなく着陸する。

桃田素晶

「ヨーロッパ飛行」は次回が最終回です。

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第11回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「北海からコペンハーゲンへ下降」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入11

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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412便はバルト海上空を下降し続ける。バルト海は琥珀の産地で有名である。まもなく空港進入を管制するコペンハーゲン・アプローチ管制に入る。相変わらず他機の交信が飛び交い、コックピットは一時も静寂することはない。
コペンハーゲン・コントロールの管制官がスイス航空854便を呼び出した。
「スイスエア854 コンタクト マルメ 127.75」(スイス航空854便へ。以後はマルメ・コントロール管制127.75メガヘルツに交信して下さい)
「127.75 854」(127.75メガヘルツで交信します。スイス航空854便)
スイス航空854便は今の管制域を離れ、次のマルメ・コントロール管制域に入った。立て続けにコペンハーゲン・コントロールの管制官が日本航空412便に交信してきた。

「ジャパンエア412 コンタクト コペンハーゲン・アプローチ 119.1」(日本航空412便へ。以後はコペンハーゲン・コントロール管制119.1メガヘルツに交信して下さい)
「119.1 ジャパンエア412 グッデイ」(119.1メガヘルツに交信します。さようなら)
チューリッヒ空港を離陸してから、チューリッヒ、ライン、マーストリヒ、コペンハーゲンの各コントロール管制に引き継がれてきた。412便はカストラップ空港の進入を管制するコペンハーゲン・アプローチに移管された。岸田副操縦士は無線機の周波数を119.1メガヘルツにセットし、交信を始めた。
「コペンハーゲン・アプローチ ジャパンエア412 ディセンド トゥ 70」(コペンハーゲン・コントロール管制へ。日本航空412便です。7000フィートに降下中です)
「ジャパンエア412 レーダー コンタクト … ILS 22レフト ウィ  ハブ インフォメーション ブラボー」(日本航空412便へ。レーダーで捕捉しています。ILS 22レフトに誘導します。空港情報はブラボーを入手して下さい)
空港情報がB(ブラボー)に変わった。

「インフォメーション ブラボー、ちょっと聴いておいてくれます?」
鈴木機長は空港情報を再度聞くよう指示を出した。
「ディス イズ カストラップ アライバル インフォメーション ブラボー ランウェイ ユース ランディング 22レフト ウェザー リポート 1220 220 ディクリーズ 8ノット ビジビリティ 25キロメートル 4オクターズ 2500フィート テンプラチャー 11 デューポイント 41 QNH1019 ノーシグ トランジション レベル 40 インフォメーション ブラボー」(カストラップ空港への着陸情報ブラボーです。着陸滑走路は22レフト、世界標準時12時20分現在です。風は220度から8ノット吹いています。視程は25キロメートル、上空2500フィートに雲があります。気温は11度、露点は41度。気圧は1019ヘクトパスカル。トランジッション・レベルは4000フィート、空港情報ブラボーです)
空港情報Aとあまり変化はなく、着陸には差し障りは無い。因みに先ほどの空港情報A(アルファ)では、風速は10ノット、2000フィート上空に雲、気温は12度、露点は5度であった。少しでも計測値が変わると次々と新しい情報を流す。アプローチ管制域に進入する飛行機は、管制官にいつの空港情報を聞いたかを知らせなければならない。

「じゃあ、そっちは暫くそのまま残して、マイサイドILS」
鈴木機長はCODANの周波数を残したまま、別のVHFにカストラップ空港のILSの周波数109.59メガヘルツにセットした。
「ILS 22レフト アイデンティファイ オーケーです」
ILSの周波数をセットすると、電波をキャッチしたことを岸田副操縦士が確認のコールをした。
「1万フィート、お願いします」
鈴木機長は飯田航空機関士に高度1万フィートを通過したことを告げた。
これを受けて飯田航空機関士は機内無線でパーサーに「コックピットです。1万フィート通過しました。お願いします」と伝えた。
パーサーは機体が最終着陸態勢に入ったことを機内アナウンスで知らせた。
「皆様にご案内致します。この飛行機は、まもなく着陸致します。どうぞお座席のベルトを、しっかりとお閉めおき下さいませ。また、お座席の背、お使いになりましたテーブルを、元のまっすぐな位置まで、お戻し下さい」
「重ねて、ご案内申し上げます。ご通過のお客様は、次の出発まで機内でお待ち下さい。その間のおタバコは、ご遠慮下さいますよう、お願い申し上げます」

乗客はシートベルトを締め直したり、慌ててタバコの火を消したりと着陸に備え始め、機内は慌しくなってきた。
着陸するカストラップ空港は、コペンハーゲン市の東南に位置するアマー島にあるカストラップに設置されており、正式にはコペンハーゲン空港という。
ヨーロッパ内のハブ空港の一つとして機能しており、北欧の大手航空会社 スカンジナビア航空の拠点でもある。スイス・インターナショナルと同様、成田線に週7日のデイリー運航をしている。日本航空も就航していたが、冷戦終結と同時に全廃した北極圏ルートの廃止に併せて、撤退している。
日本航空412便は、まもなくウエイポイントのCODANに到達する。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第10回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「ハノーバー上空から北海へ コペンハーゲン管制」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入10

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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右旋回を終えたJAL412便はコペンハーゲンに向かって飛行している。揺れること無く、スムーズな飛行を続け、束の間の時間だが乗客も寛いでいる。そんな中、コックピットでは下降・着陸に際しての打ち合わせが始まった。
「それではランディング・ブリーフィングをやります」
「はい」
「エクスペクト レーダー ベクター トゥ ILS 22レフトですね。タッチダウンゾーンが11フィート、ミニマムが211(フィート)、ミスド・アプローチは真っ直ぐ行って、ティアドロップのホールディング・パターンに入ります。高度が2500(フィート)、それだけです」

カストラップ空港

簡単に幾つかの用語を説明しておく。上にあるチャート図をご覧頂きたい。
先ず、ILS(Instrument Landing System:計器着陸装置)は、着陸進入する航空機に地上から電波を出し、視界が悪い時でも安全に滑走路に誘導できるシステムのことである。その電波は、滑走路進入経路の左右のズレを検知するローカライザ、進入する高さを検地するグライドパス、滑走路までの距離を検知するマーカービーコンの3つの電波から構成されている。

次に、ミスド・アプローチ(Missed Approach)は、着陸進入中にディシジョン・ハイ(Decision Height:滑走路末端からの高さ)まで降下しても滑走路を視認できなかった場合、そのまま上昇することをいう。ちなみにゴーアラウンド(Go-Around)はディシジョン・ハイを通過して更に降下した時、滑走路上に障害物や先行機との距離が短かったり、着陸寸前でウインドシエア(急激な気流の乱れ)が発生した場合に急上昇を行なうことである。ミストアプローチした際、再着陸する為の飛行ルートが決まっていて、各空港のSTAR(Standard Terminal Arrival Route:標準到着経路)などのチャート図に図面として掲載されている。尚、ティアドロップという言葉は聞き慣れないが、何らかの事情で着陸出来なかった場合、その先にあるホールディング・パターンと云って、一定の場所を旋回する場所がある。その旋回ルートに進入する形跡が涙(tear drop)のように見えることから、ティアドロップと言われている。

JAL412便の空港進入・着陸は、計器による滑走路22レフトへの進入で、滑走路接地場所は11フィートで、最終着陸決定高度は211フィート。着陸し直しで滑走路に再進入する場合は、そのまま真っ直ぐ(方位223度)に上昇して、空港VORから5.0DMEの地点で機首を190度に左旋回し、サウスウエスト ホールディング(パターン)上にある空港VORから10.0DMEの地点まで飛行し、その時の高度は2500フィート。管制官から指示があるまで、旋回をし続ける。
打ち合わせが終わると、マーストリヒ・コントロール管制から交信が入った。

「ジャパンエア412 コンタクト コペンハーゲン 119.55 シェーネン ターク」(日本航空412便へ。以後はコペンハーゲン・コントロール 119.55メガヘルツに交信して下さい。よい一日を)
「ジャンパンエア412 コペンハーゲン 119.55 ヴィダゼーエン」(コペンハーゲン・コントロール管制119.55メガヘルツに交信にします。さようなら)
通過する国への感謝・敬意を示す意味でも母国語で挨拶を交わす光景は、微笑ましいものである。

岸田副操縦士は、管制周波数をコペンハーゲン・コントロール管制119.55メガヘルツにセットし、交信を始めた。
「コペンハーゲン・コントロール ジャパンエア412 グッドアフタヌーン フライトレベル 350」(コペンハーゲン・コントロール管制へ。日本航空412便です。こんにちは。高度3万5000フィートで飛行しています)
「グッドアフターヌーン ジャパンエア412 レーダー コンタクト」(こんにちは。日本航空412便へ。貴機をレーダーで捕捉しています)
「ラジャ」
管制域がコペンハーゲン・コントロールに移管された。
「コダン(CODAN)ですか?」
「コダン(CODAN)です」
岸田副操縦士はVHFにコペンハーゲン・カストラップ空港の進入口であるウエイポイントのコダン(CODAN)の周波数114.9メガヘルツに合わせた。コダンからの電波を捉え、機内には規則的な電波の音が響いた。
「ID オーケーです」
「はい」
ウエイポイントであるCODANは、北極圏を飛行する航空機にとってヨーロッパの玄関口とも言える。

ルフトハンザ25便が同じ管制域に入ってきた。日本航空412便と同高度で飛行している。今度はエアインディアが同管制域を離れる交信が入ってきた。
「エアインディア112 コンタクト マルメ 124.15」(エアインディア112便へ。以後はマルメ・コントロール管制124.15メガヘルツに交信して下さい)
「124.15 グッディ」(124.15メガヘルツで交信します。さよなら)

ブリティッシュ・エアウエィズ(英国航空)が交信が入ってきた。ブリティッシュ・エアウエイズのコールサインは「スピードバード(伝書鳩)」である。もともとこのコールサインは、ヨーロッパ域内の国際線の英国海外航空だったが、昭和49年にイギリスの国内線の「ブリティッシュ・ヨーロピアン航空」と合併し、今の会社となりコールサインはそのまま引き継がれて今に至っている。

この付近の空はヨーロッパの中でも屈指の交通量の多さである。
「到着55分で晴れの12度」
鈴木機長は飯田航空機関士に空港到着時刻と天候を伝え、キャビンにいるチーフパーサーに伝えた。鈴木機長は岸田副操縦士に降下する許可を貰うよう指示を出した。
「コペンハーゲン ジャパンエア412 リクエスト ディセンド」(コペンハーゲン・コントロール管制へ。日本航空412便です。下降許可を要請します)
「ジャンエア412 クリア ダイレクト コダン フライト レベル70 アフター コダン ラディアル ヘディング030」(日本航空412便へ。コダンに直行し7000フィートまで下降して下さい。コダンを通過後、機首方向を30度にして下さい)
「ジャパンエア412 クリア ディセンド 70 アフター ダイレクト コダン アフター コダン ラディアル 030」(7000フィートまで降下しながらコダンに直行し、コダンを通過後、機首方向を30度にします)
「ザッツ コレクト」(その通りです)
412便は下降を開始し、まもなくコペンハーゲン空港への進入が始まる。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第9回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「ハンブルグ上空 ライン管制」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入09

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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ヨーロッパ飛行ジェプソン地図

「(コペンハーゲン・カストラップ空港)インフォメーション(情報)はアルファ(A)です」
岸田副操縦士は到着地であるカストラップ空港情報(ATIS)を聞き、鈴木機長に告げた。
「ディス イズ カストラップ アライバル インフォメーション アルファ。ランウエイ ユース ランディング 22レフト。ウエザー リポート 1150 220 ディグリーズ 10 ノット ビジビリティ25キロメートル 3オクターズ 2000フィート テンプラチャー 12 デューポイント 5 QNH 1019 ノーシグ トランジッション レベル 40 インフォメーション アルファ」(カストラップ空港への着陸情報アルファです。着陸滑走路は22レフト。11時50分現在の天候です。風は220度の方向から10ノット吹いています。視程は25キロメートル、上空2000フィートに雲があります。気温は12度、露点は5度。気圧は1019ヘクトパスカル。天候の変化なし。気圧を1019ヘクトパスカルに転移する高度は4000フィート。空港情報アルファを受信したことを報告して下さい。)
まずまずの天候に、鈴木機長はホッと胸を撫で下ろした。

ルフトハンザ航空、ブリティッシュ航空と各国を代表する、またヨーロッパを代表する航空機が高度こそ違えど、四方八方に飛行し、交信が飛び交っている。

飯田航空機関士が鈴木機長に尋ねた。
「トランジッション・レベルというのは、日によって違うんですか」
「アルティメーターによって違うんですよ。」
トランジッション・レベル(転移レベル)とは、高高度での気圧値(QNE)から国ごとに定めれた気圧値(QNH)に変える高度のことである。因みにコペンハーゲンのトランジッション・レベルは、QNH値によって変わり、このフライト時のトランジッション・レベルは、4000フィートとなっている。

視線を奥に転ずると街並みが見えてきた。ハンブルグである。JAL412便はハンブルグ上空で機首方向を52度にする為に右旋回をする。岸田副操縦士は、そんな景色に目も暮れず、計器確認など下降準備に余念が無い。
「オペレーション ノーマル、カンパニー宜しいですか」
岸田副操縦士は、飛行状況が問題ないことを確認し、その旨をカストラップ空港内にある日本航空事務局にカンパニー交信で知らせた。
「ジャパンエア・コペンハーゲン ジャパンエア412」
「ジャパンエア412 コペンハーゲン ゴーアヘッド」
「はい、どうも。ETA55分 オペレーション ノーマル」
「(ジャパンエア)412 EAT55分、了解しました。ゲートは、サーティーフォー 34です。どうぞ」
「はい、34番、了解」

ETAは、Estimated Time of Arrivalの略で、到着予定時刻のことである。空港事務局は運航状況を了解し、到着するゲート(搭乗口)を知らせた。
コックピットから眺めるヨーロッパの景色は優雅な雰囲気で、ゆったりとした時間が流れているように思える。しかし、コックピットのスピーカーからは、多くの航空機が引っ切り無しに交信しているのが聴こえる。

鈴木機長が、正面に見える景色の説明をしてくれる。
「そこにハンブルグが見えますか?」
「ちょっと先に交差した滑走路見えます?」
「あれがハンブルグの飛行場ですね」
「手前が街ですから。そこに湖があるのが分かりますかね。飛行場の手前、ちょっと右側ですね。あれが街の真ん中にある、アルスタードという人口の池です」
ドイツの広大な風景の中にハンブルグの街並みが見えてきた。奥に目を転じると滑走路が交差しているハンブルグ空港、その手前にヨーロピアン・スタイルの建物が建ち並び、穏やかなアルスター川の流れに大小の船舶が行き交っている。ハンブルグは、ドイツ北西部に位置し港湾の街として、またヨーロッパ屈指の観光地であり、ドイツ北部での経済の中心地である。

JAL412便はハンブルグの上空に差し掛かり、旋回角度20度で右旋回し機首を52度に向け始めた。風は216度から24ノットで、右後方からの追い風である。
旋回が終わると下降の打ち合わせ、ランディング・ブリーフィングが始まる。表情が温和だったクルーの表情が、キリっと引き締まる。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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急逝された武田一男さんに感謝を寄せて、今週は武田一男さんが撒いてくださった種子をいくつかお届けしたいと思います。

いよいよラストを飾るのは、桃田素晶さん。航空エンターテインメントとして武田一男さんが築かれた「航空ドキュメンタリー」を、引き継いだのが桃田素晶さんです。
比類のないジャンルですので、後継者がいたことは、航空ファンにとっては計り知れない財産だと思っています。また、桃田素晶さんは、もともと武田一男ファンだったこともあって、「武田節」まで踏襲した解説をしているのがミソです。これもまた生粋の武田DNAを引き継いだ作家として、これからも活躍していくことでしょう。

武田一男さんの素晴らしさは、まだ開花していない人の才を見つけてきてはそれを育てようと、努力されたことに尽きると思います。

ちなみに、iPhoneアプリ「機長席」や「続・機長席」で誤解されることもありましたが、航空無線の一言一句をそのまま書き起こした教材ではないんです。あくまで、コックピットの息づかいを伝える、それが「航空ドキュメンタリー」。その点をひっぱってきて「音声が抜けている」「意訳している」といった指摘はトンチンカンなんです。もし、一言一句を正確に記して「勉強」されたいのなら、教材として刊行されている「航空無線の本」があるのでそちらを。ただ、そうした「演出」意外の部分で「ミス」だというところは、作品としての完成度を高めるためにもぜひ、ご指摘ください。

さらに、「航空ドキュメンタリー」を当ブログで配信した、いちばん初期の頃の話。「武田さん、カタカナよりもアルファベットにしませんか?」と提案したことがあります。「いや、それじゃダメなんだよ。僕が大切にしたいのは読み物としてのコックピット」とおっしゃってました。その後「やっぱり、アルファベットだと良いのに、って読者が出てきましたねぇ」と言った私に、「そんなのただの教材じゃない? 僕はカタカナにこだわる。そういうこだわりが作家の創意なんだよ」と。

B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第8回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「フランクフルト上空からハンブルグ上空へ ライン管制」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入08

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JAL412便はバルト海に向けて北上飛行を続けている。同じ管制エリアを飛行する航空機の交信が立て続けに聞こえてくる。鈴木機長が地図を広げて、コペンハーゲンまでの飛行ルートを説明してくれた。ちなみにここでいう地図とは空の道路(航空路)を示したもので、アメリカのジェップソン社が製作した航空路地図のことである。
「えーっと…フランクフルトはここですね。それで(チューリッヒから)まっすぐ北に向かって上がってるわけです。それで今、フランクフルトを過ぎちゃったんですけど、このまんま、ずーっと行って、ハンブルグの上空まで真っ直ぐ、ハンブルグの上空から今度は北東ですか、北東に上がって行くんです。ドイツのハノーバー(ハノーファー)って街のすぐ脇を通るんです。それでこれが所謂、ベルリン回廊…」

ハノーバーは春に世界最大級のコンピューターの見本市会場である「CeBIT」が開催されている街である。
ここで、ベルリン回廊に触れておく。そもそもベルリン回廊が出来たキッカケは、ベルリン封鎖事件がキッカケとなっている。その事件は冷戦時代を象徴する事件の一つで、ソ連が西ベルリンに向かう全ての鉄道・道路を封鎖した事件である。第二次世界大戦後、当時のドイツの首都ベルリンは、アメリカ・ソ連・イギリス・フランスの4ヶ国で分割占領されていた。しかし、ベルリン周辺の地域はソ連の領土であった。アメリカ・イギリス・フランスの軍隊がベルリンに駐留するが、社会主義の浸透を目的とした支配権の拡大を目論むソ連は、各国の軍隊の進駐の妨害策としてスパイ行為や不法行為を行なっていた。その後、ポツダム会談を機に、アメリカとソ連、民主主義と社会主義の対立、いわゆる冷戦が勃発した。そしてベルリンは事実上、東西に分断された。
ソ連はドイツとの戦争で甚大な被害を被った為、多額の損害賠償金を望み、アメリカ・イギリス・フランス側は早期復興を考えていた。そのような対立の中で、ソ連は西ベルリンに向かう全ての人・モノの強制検問を行ない、厳しい制限を設けた。その後、両国は様々な政策を打ち出し、ついにソ連は陸路・航路を完全封鎖した。

しかし、西ドイツからベルリンまで3本の空路は封鎖しなかった。両国の取り決めにより西側諸国の自由な利用が認められていた為である。もう一つの理由として、空路まで完全封鎖すれば全面戦争の危険が孕んでおり、当時のソ連の状況では多大な損害を被るのが目に見えていたので、それを避ける為にとも言われている。この3本の空路をベルリン回廊と称した。そして物資を西ドイツにあるヴィースバーデンとラインマインの両基地からテンペルホーフ空港に輸送し空輸作戦が開始され、アメリカ、イギリスはそれぞれに空輸作戦名を冠し、一般にはベルリン大空輸と言われていた。西ベルリンに住んでいる住民の食料や生活必需品を大量に空輸するのは、当時の航空機の搭載量を考えると、並大抵のことではなかったが、その後の輸送機の発展のキッカケともなった。また、その支援体制も確立されてきて、乗員の訓練の為にアメリカに回廊を想定した訓練が行なわれ、その他に機体の整備や燃料の手配、物資の流れが構築され、結果的に輸送量の拡大に繋がった。

こうした中、西ベルリンにあった2つの空港(テンペルホーフ、ガトウ)の航空量が増え、管制官が捌ききれない状況に陥り、その対策が講じられた。その結果、先ず現在のベルリンの玄関口であるテーゲル空港を造成、次に西ベルリンへの3本の航空路の内、南北の航空路を往路、真ん中の航空路を復路とし、且つ定められた時間と高度を厳格に守ることになっていたので、ゴーアラウンド(着陸のやり直し)が認められず、西ドイツにリターンバック(引き返し)をしなければならなかった。また、ベルリンの空港には視界が悪い時に滑走路直前まで精密進入レーダー(PAR)を使って誘導するGCA(Ground Controlled Approach:着陸誘導管制)体制を引き、24時間体制で行なわれていた。ちなみにGCAは管制官の肉声のみで航空機を誘導する管制方式で、現在日本の空港では行なわれていない。
この状況下で、ソ連の妨害が日増しに多くなり、輸送機に戦闘機を近付け威嚇行為や、航空路から外れた輸送機に威嚇射撃を行い、挙句の果てには射撃訓練まで行なう始末であった。だが、西側諸国は決してベルリンを見放さず援助し続けた。社会主義浸透を目論んでいたソ連は、封鎖の失敗を認めざるを得なくなり、1945年(昭和24年)5月12日に封鎖を解除した。空輸作戦成功を記念した記念碑が、テンペルホーフ空港とラインマイン基地に造られている。

管制官が次の管制エリアに移管するよう交信して来た。
「ジャパンエア412… 133.95 グッディ」(日本航空412便です。133.95メガヘルツに交信して下さい)
「オーケー 133.95 ジャパンエア412 グッディ」(了解しました。133.95メガヘルツに交信します。さようなら)
日差しがコックピットに差し込む。そのコックピットから望む景色は何ものにも代え難いものである。大パノラマの景色が目の前に広がり、雲上であれば見渡す限りの雲海、手を伸ばせば届くほどの近さを感じる太陽や星、それを体験できるのは乗務員のみである。何とも羨ましい。
「(地図を)見てていいですよ」
「お飲み物は如何致しましょうか」
「コーヒー、クリーム、シュガー お砂糖半分」
キャビン・アテンダントが乗客へのサービスが終了したことを報告しにコックピットに入って来た。パイロットに飲物を聞き、機長はクリームと砂糖が半分入ったコーヒーを頼み、機長に釣られるように他の2人も同じものを頼んだ。コックピット内は非常に乾燥しているので、水分補給は欠かせない。
岸田副操縦士が次の管制エリアに交信を始めた。
「マーストリヒ ジャパンエア412 グッドアフタヌーン フライトレベル350」(マーストリヒ・コントロール管制へ。こちら日本航空412便です。こんにちは。飛行高度3万5000フィートです)
「ジャパンエア412 グーデンターク レーダー コンタクト」(日本航空412便へ。こんにちは。貴機をレーダーで補足しています)
オランダ南東部にあるマーストリヒは、1991年(平成3年)にEU(ヨーロッパ連合)創設の条約(マーストリヒ条約)が締結された街である。
管制区域に多くの飛行機が飛び交い、交信が絶え間なく続いている。ルフトハンザ17便が管制区域に入ってきた。
「マーストリヒ グーデンターク ルフトハンザ017 フライトレベル310」(マーストリヒ・コントロール管制へ。ルフトハンザ17便です。高度3万1000フィートです)
「ルフトハンザ017 レーダーコンタクト」(ルフトハンザ17便へ。貴機をレーダーで補足しています)
ルートも半ばを過ぎ、下降の準備が始まる。飯田航空機関士は下降に備えて準備を始め、鈴木機長に着陸のフラップ角度を確認する。
「ランディングのフラップは?」
「30度で」
「はい」
聴き慣れない航空会社のコールサインが飛び交い、飛行状況を報告している。岸田副操縦士はカストラップ空港内にある事務所に到着予定時刻の報告をする準備を始めた。
「カンパニーは55分でいいですか?」
「そうですね」
クルー達は僅かではあったが長閑な景色を堪能し、これからの下降・着陸に向けて本格的に準備を始める。少しずつだが引き締まった表情を見せている。

コックピット・ドキュメンタリー「ヨーロッパ飛行」上空から

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第7回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「高度3万5000フィートへ 機長アナウンス ドイツ ライン管制」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入07

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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ライン・コントロール管制に移管したJAL412便は、高度3万3000フィートで東西両ドイツの国境に沿って、北上している。管制官より承認高度である3万5000フィートへの上昇の交信が入った。
「ジャパンエア412 クライム トゥ 350」(日本航空412便へ。3万5000フィートに上昇して下さい)
「ラジャ リクリア フライト レベル 350 ジャパンエア412」(3万5000フィートまで上昇します)
眼下には緑の丘陵地帯とドナウ川が見渡せる。今日のライン・コントロール管制区域は多くの飛行機で大変混雑している。無論、JAL412便も例外ではない。ヨーロッパは幾つもの国が身を寄せ合うように連なり、人の往来も多いので、飛行機だけに限らず鉄道網も整備されている。言わば空と陸の競争が活発なので、ヨーロッパ域内は交通手段が非常に発達している。と言っても熾烈な競争だけではない。ヨーロッパ域内の国の名立たるフラッグキャリアが鉄道を運営しているぐらいである。更なる利便性を向上させる為には、競争しつつも鉄道との連携も不可欠である。
まもなく巡航高度3万5000フィートに達する前に、飯田航空機関士は巡航速度を鈴木機長に尋ねた。
「クルーズ (マック)84でいいですか?」
「(マック)82」
マック(Mac)はマッハ(MACH=音速)のことで、この場合マック82というのは、0.82マッハのことで音速に達していない(亜音速流)ことである。
管制官が次の管制エリアの周波数の交信をしてきた。
「ジャパンエア412 コール バイ 132.15」(日本航空412便へ。132.15メガへルツに交信して下さい)
「ジャパンエア412 132.15」(132.15メガへルツに交信します。さようなら)
「ライン・コントロール ジャパンエア412 クライム トゥ 350」(ライン・コントロール管制へ。日本航空412便です。3万5000フィートに上昇中です)
「ジャパンエア412 グッドアフタヌーン レーダー コンタクト」(こんにちは。貴機をレーダーで捕捉しています)
先程と同じライン・コントロール管制だが、幾つかに管制域を区分している。名称は同じだが周波数は違う。
「412」
副操縦士の「412」の交信は、「ラジャ」の意味もあり、特に何も無ければ、便名のみで交信することも、しばしばである。決して愛想が悪い訳ではない。
ここで、航空管制について簡単に説明をしておく。航空機はパイロットの判断で勝手に動かすことは出来ない。必ず管制官の指示に従わなければならないことになっている。乗客を乗せてトーイングカーで押し出される時(プッシュバック)、地上走行する時(タキシング)、離着陸の許可、上昇・巡航・下降の際の高度・方位・速度など、航空機の全ての動きを管制官は目視やレーダー画面上で監視し指示する。
チューリッヒからここまで、以下の様に7つの管制に引き継がれて来た。

航空機の動き 担当する管制
出発承認(Delivery)
駐機所から離脱(Push Back)
滑走路までの地上走行(Taxing)
チューリッヒ・グランド管制
(118.1MHz)
滑走路進入(Line Up and Wait)
離陸の許可(Takeoff)
チューリッヒ・タワー管制
(118.1MHz)
離陸後の方位(Heading)
飛行制限高度(Distriction Altitude)
チューリッヒ・ディパーチャー管制
(125.95MHz)
上昇(Climb) チューリッヒ・コントロール管制
(131.15MHz/131.3MHz)
上昇(Climb)巡航(Cruise) ライン・コントロール管制
(134.8MHz/132.15MHz)

ヨーロッパは広大な国土の中に幾つもの国と地域が混在している。その広範囲なところに網の目の様に航空路が入り組んでおり、引っ切り無し飛行機が運航されている。その航空路を飛行する航空機を管制するのは並大抵のことではない。そこで高度によって管制エリアを細分化し、確実に安全に管制していくのである。
そして、パイロットは次の管制周波数を聴き間違いをしないように神経を集中させる。余談だが、管制での交信は英語が公用語になっているが、中国やロシア、フランスは自国機に対して母国語を使用する。あと英語でも各国の言語の訛りがあるので聞き難いのだが、慣れる以外に解決方法は無い。
同じ管制エリアを飛行している航空機が管制官に交信している。

「ライン・コントロール …88B パッシング 25 フォア 240」(ライン・コントロール管制へ。こちら…88B便です。2500フィートを通過し、2万4000フィートに上昇しています。)
「…88B ラジャ スクォーク2575」(…88B便へ了解しました。貴機の認識番号は2575です。)
「…88B レーダー コンタクト コンティニュー クライム トゥ 280」(…88便へ。貴機をレーダーで捕捉しています。そのまま2万8000フィートまで上昇して下さい)
「88B ラジャ」(了解しました)
岸田副操縦士は高度計器が3万4000フィートを示したことをコールした。
「ワン サウザント」
巡航高度まで残り1000フィートである。指示された高度3万5000フィートまで、もう間もなくである。
コックピットにブザー音が響いた。3万5000フィートに達し、巡航に入った。岸田副操縦士は管制官に報告の交信を行った。
「ジャパンエア412 リーチング フライト レベル 350」(日本航空412便へ。3万5000フィートに達しました)
「ラジャ」(了解)

ここから暫くは巡航(クルーズ)に入る。コックピットの前に広がる景色にヨーロッパの優雅さが伝わってくる。シートベルトの着用サインの点灯が消えた。乗客から溜息にも似た安堵の息が聴こえる。おもむろに煙草に火を付ける人、お手洗いに行く人、各々がくつろぎ始めた。機長は操縦を副操縦士に任せた。通常、ここで機長は副操縦士が行なう管制官との交信を行なうのだが、機内アナウンスの準備を行なうので、「ATC モニター」と管制官との交信も副操縦士に任せた。
同じ管制エリアを飛行する航空機が、別の管制エリアに移管する交信が聞こえる。
機長は機内アナウンスの原稿を片手に、客室に通じる無線マイクを取り、アナウンスを始めた。
「ご搭乗のお客様、本日は日本航空412便、コペンハーゲン、アンカレッジ経由東京行きご利用頂きまして、まことにありがとうございます。操縦席よりご案内申し上げます。ご搭乗機、現在、飛行高度3万5000フィート、約1万700メートルの高度、毎時約950キロの飛行で順調に飛行を続けております。ご搭乗機のコペンハーゲン・カストラップ空港到着は、只今から約1時間のち、午後2時55分頃を到着を予定しております。現在のコペンハーゲン地方、曇り、気温は摂氏9℃との報告を受けております。僅かな時間ではございますが、どうぞ、ごゆっくりお過ごし下さいませ。本日は日本航空をご利用頂きまして、まことにありがとうございました」
操縦室からのアナウンスは、旅情を醸し出す重要なアイテムであり、また飛行機が順調に飛んでいることを実感できるものである。
JAL412便はTANGO・VORを通過し、機首を007度に向けて航空路UG5に乗り、一路ハンブルグに向かって飛行する。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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ありがとう、B747-400!

こんにちは。昨日は雨、今日は曇りときどき晴れ!
ゴォゴォ、と今日も上空でエンジン音が鳴り響いています!
昨日はB747-400の退役の日ということで、…最後の姿を見に行くかどうか、ずっと迷った挙げ句、やっぱり行かなかったのです。いまだに「え、ほんとのホントに引退なの?!」と、お天気のようにいまいち気分が晴れなかったり、時折陽が差し込んだり、行ったり来たりしている竜子です。

羽田最後の日もまた「行くなら成田もあるしなぁ〜」なんておもいつつやり過ごしたわけですが、なんだかね、いまだに実感がないんですよね。だって、ほんとに747-400って居て当たり前の存在だったんです。
いまやヤマト運輸じゃなくっても、佐川急便だろうが福山通運だろうがペリカン便だろうがだろうが宅配のことを「宅急便」と呼んだりして慣れ親しんでいますけど、こちとら「ジャンボ」ですよ。ジェット旅客機の総称のような扱いの「ジャンボ」が引退って?!
ん〜。2009年の-300引退の方が、よほど「最後なんだ〜!」と思いましたし、見に行きたい!って思いました。でも、-400の引退ってやっぱりなんだかピンとこない。JALに限らずANAの-400の引退もそうです。

いえ、わかってるんです。日本航空にとって重要なB747、日本にとっても重要なB747、航空史上で非常に重要なB747。それが日本の空から引退って飛行機ファンとしては見逃せない事件、ということも。でも、それだけになんだか足が、気持が、動かない。これって、いつか「あのとき見に行けば良かったなぁ〜」なんて後悔するのかなぁ?

「B747の思い出って何かあったかなぁ〜?」なんて思い起こそうとすると、些細なものばかりホイホイ出てくるんですよね。
「あのとき、知らない人に声をかけられたまま、寝れなかったんだよなぁ〜」とか、「おそるおそる2階席を見学しにいったよな〜」とか、「おでこがデンッ! とした正面の顔とにらめっこしたなぁ」とか、「思い出」にもならないしょうもないただの記憶。数は出てきてもべつにこれといって鮮烈な思い出がない…。飛行機が好きになったきっかけがB747だった、というセンセーショナルさがあるわけじゃなし。

かといって、人からどの機種が好き? って聞かれれば迷いなくこの2つを答えるよ。
「カッコ良さならB727。思い入れならB747」

これといってパンチのある思い出がないのにもかかわらず「思い入れ」ってなんなんだろう? なんて思わず自分にツッコミいれちゃったよ。何度か友人に聞かれたこともあるし、ブログでも書いたような気がするけれど、B747はあまりに馴染みがあるからそれを出さない方が不自然、みたいな感じでそう言ってたと思う。でもって、それがB747が好きな理由のすべてだ。
でもって、-200がいいとか、SRじゃなくちゃとか、とかそういうことも特段なくって、しいていうなら-400かなぁ〜、みたいな感じ。
そりゃ「無論、DC-8だ!」とか「やっぱりトライスターだね」とか「コンコルドに勝るものなし!」とか言ってみたいよ! でも、そんなにあれこれ選べるほど生きてないし、乗り比べできてないんだよ!(笑) 

でも、747-400の離着陸はとにかくカッコいい。
雨の日の着陸なんかは「ゴウォォォォォォォーーーーーーーー」っていって、雲のようなしぶきで足下が見えなくなったりとか、おもわず「おぉぉ〜」なんて声が出ちゃったりするし、「よく頑張ったな!」ってねぎらいの気持でいっぱいになる。
逆に離陸のときはのっそりと機体を起こすまでは「頑張れっ!!」て心で叫ぶし、「ブォォォォン、ブォォォォン」と駆け上っていくさまは「アイツ、大丈夫かなぁ〜」なんて思わせるし。
なんだか逞しくて頼りがいがありそうなのに、案外かわいらしいヤツ。それがB747-400なんだなぁ〜。

成田での最後の日の前日にあたる2月28日は、羽田でJAL鶴丸が初お目見え。
もうね「さよなら」なんだか、「こんにちは」なんだか、わたしの頭はしっちゃかめっちゃかだよ。
さらには今年の後半には747-8がデビューして、もしかしたら日本のキャリアが導入したりして、まさかまさかの鶴丸747-8が誕生しちゃったりして…(さすがに、ないかw)
でも、時代の流れには逆らえず。しょうがないですよね。
しょうがないとはいっても、さびしかったりして。
でもやっぱり、しょうがない。しょうがないというより、しゃーない!

航空業界に限らず、世の中は大きな変革の渦の中にあるようで、B747-400の引退もそのひとつに過ぎないようで、それがどうもこれから来る時代への不安とリンクして「なんだかなぁ〜」って気分にさせるのかもしれません。

でも飛行機のトキメキは、その時々の経済や社会、文化と一緒に華やぐから面白い!
B747だって、そうやってギラギラした時代に根付いた飛行機だ。おかげで一介の私の飛行機の思い出は、ワクワク楽しかったこと、酸っぱいながらもキュンとなるものばかり。直接の動機ではないけれども、おまけにすっかり飛行機ファンにもなった。

ありがとう、B747-400!

あら、不思議。こうやって書いているうちに、なんだか気分もスッカリ晴れた!
おまけに空も晴れ間が多くなってきたっ!

さて。現地には行きませんでしたが、成田でのB747-400最後の勇姿を見に行った方のレポートを拝見しました。
おつかれさま! のひと言に尽きますね!

ラストクルーのみなさんの姿もあります。おススメです。
飛行機にかこまれて。

雨天の中、最後のランディングの時には雨がやんだそうですよ。
Airmanの飛行機写真館

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第6回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「上昇 スイスアルプスを越えてドイツへ」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入06

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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副操縦士は離陸後の管制を行なうディパーチャー管制の周波数をセットし交信した。
「(チューリッヒ)ディパーチャー ジャパンエア412 クライム トゥ80 アンド 3800」(チューリッヒ・ディパーチャー管制へ。日本航空412便です。現在、高度3800フィートです。高度8000フィートに向けて上昇中です)
「ジャパンエア412 ディパーチャー レーダー コンタクト」(日本航空412便へ。貴機をレーダーで捕捉しています)
「ラジャ」(了解しました)
JAL412便は西に向かって上昇を続けている。スイスの街並みが米粒のように小さくなっていき、アルプスの峰が連なっている情景が拡がる。
「(エンジン)アンティアイス オンにします」
高度が上がると外気温が下がるので、エンジンが凍り付かないように防氷装置を入れた。エンジンのナセル部分(エンジンを正面に見た場合、エンジンの淵の部分)に熱が入る装置である。
「はい」
「ジャパンエア412 ターン レフト チューリッヒ イースト」(日本航空412便へ。左旋回して(出発方式のチェックポイントの)チューリッヒ・イーストのVORに向かって下さい)
「ラジャ ジャパンエア412 レフト ターン チューリッヒ イースト」(了解しました。左旋回してチューリッヒ・イーストのVORに向かいます)
「レフト ターン ダイレクト チューリッヒ イースト」機長は管制官の指示を復唱した。
「マイサイド チューリッヒ イースト」
鈴木機長は自席横にあるVHFにチューリッヒ・イースト(北緯47度35分9秒、東経8度49分1秒)のVORの周波数115.0をセットした。
「はい、えーと…」
岸田副操縦士も規定のロードワークを行ないながら、周波数をセットしていると管制官から交信が入った。
「ジャンパンエア412 クライム トゥ レベル130」(日本航空412便へ。1万3000フィートまで上昇して下さい)
「ジャパンエア412 リクリア フライト レベル130」(1万3000フィートまで上昇します)
「ID オーケー」岸田副操縦士も自席横にあるチューリッヒ・イーストのVORの周波数をセットした。
「オーケー フラップ 5」
上昇速度を上げる為に、鈴木機長はフラップ角度を5度にセットするように指示し、岸田副操縦士はスラストレバーの右側に翼の形を模したレバーを、少し上に上げながら5度の位置にセットした。
「レーダー オン」
続いて岸田副操縦士にレーダーが使えるように指示をし、スイッチを入れると、緑のスクリーンに雲の波形が映る。
「フラップ 1」
続けてフラップ角度を1度にするよう指示した。4基のエンジンが唸りを挙げ、薄雲を一気に突き抜けた。更に上昇を続ける。
管制官より次の交信先を指示する交信が入った。
「ジャパンエア412 コンタクト レーダー131.15 グッバイ」(日本航空412便へ。以後は131.15メガヘルツに交信して下さい。さようなら)
「ジャパンエア412 131.15 グッバイ」
管制区域がチューリッヒ・コントロールに移管する指示が出た。岸田副操縦士は無線機の周波数を131.15メガヘルツにセットし呼び出した。
「チューリッヒ・コントロール ジャパンエア412 クライミング トゥ 130 アット 70」(チューリッヒ・コントロール管制へ。日本航空412便です。現在7000フィートを通過しました。1万3000フィートへ上昇中です)
「ジャパンエア412 ラジャ グッドアフタヌーン クライム トゥ フライト レベル 210」(日本航空412便へ。こんにちは。了解しました。2万1000フィートまで上昇して下さい)
鈴木機長は上昇指示を了解すると、すかさず岸田副操縦士は管制官に復唱した。
「ジャパンエア412 フライ クライム トゥ 210」(日本航空42便です。2万1000フィートまで上昇します)
「フラップ アップ」
鈴木機長はフラップを全て上げる指示を出した。岸田副操縦士がフラップ・レバーを上げ切った。翼の後ろに降りていたフラップが主翼に吸い込まれて行くと同時に、JAL412便は風の抵抗を減らし、上昇していく
航空機関士は離陸後の計器チェックを終えたことを、機長に報告した。
「アフター テイクオフ チェックリスト コンプリートです」
全ての確認が終わり、JAL412便は西ドイツ(現ドイツ)の国境に向かって上昇している。
管制官より進路方向の交信が入った。
「ジャパンエア412 フライ ヘディング 045」(日本航空412便へ。機首を45度の方向にして下さい)
岸田副操縦士は、交信スイッチを押しながら、「ヘディング045 ジャパンエア412」(45度の方向に飛行します。)と復唱した。
JAL412便は30度近いバンクを取りながら方位045度(北北東)に機首を向けた。眼下には国際河川の一つであるライン川が、蛇の如く北海に向かって進んでいるようである。
チューリッヒへ向かっている旅客機に下降を指示する交信が聴こえ、一呼吸おいたようにJAL412便に上昇指示の交信が入った。
「ジャパンエア412 クライム レベル220」(日本航空412便へ。2万2000フィートまで上昇して下さい)
「ジャパンエア412 リクリア フライト レベル 220」(2万2000フィートまで上昇します)
JAL412便の後に離陸した航空機が、管制官に1万7000フィートへの上昇を要請している。
JAL412便はチューリッヒ・イーストを通過した。管制官より次々とJAL412便への飛行指示の交信が入る。
「ジャパンエア412 ターン レフト ヘディング 035」(JAL412便へ。左に旋回し機首を35度の方向にして下さい)
「ジャパンエア415…412 レフト ターン ヘディング 035」(左旋回して機首を35度にします)
「ラジャ ヘディング035 インターセプト アンド フォロー インバウンド トラフィック 002 トゥ タンゴ」(機首を35度にして、002電波を捉えてタンゴに向かって下さい。)
「ラジャ ジャパンエア412 ヘディング 035 インターセプト 002 ラディアル タンゴ」
JAL412便は機首を35度に向け航路UG31に乗り、次の通過地点TANGO(北緯48度27分2秒、東経9度15分7秒)に向かう。これからコペンハーゲンまで東西ドイツの国境沿いを北上する。

ジェプソン地図

「(エンジン)アンティアイス オフ」航空機関士はエンジン防氷装置をオフにした。
岸田副操縦士はチューリッヒ空港内にあるJALチューリッヒ支店にカンパニー無線で交信を始めた。
「カンパニー 呼びます」
「ジャパンエア・チューリッヒ ジャパンエア412」(日本航空チューリッヒ運航室へ。こちら日本航空412便です)
「ジャパンエア412 ジャパンエア・チューリッヒ ゴーアヘッド」(日本航空412便へ。どうぞ)
「ブロックアウト 18 ダイゴナル 33 オペレーション イズ ノーマル」(スポットを離れたのは18分、離陸は33分です。飛行は順調です)
「カンパニー オーケーです」
「はい、了解」
離陸後、運航が落ち着けば、離陸した空港内にある自社の支店にスポットを離れた時間、離陸した時間、運航状況などを報告することになっている。現代のハイテク機はACARS(Automatic Communications Addressing and Reporting System)で報告(ダウン・リンク)する。
現在、高度2万フィートを通過し、更に上昇を続ける。
「ワン サウザント」指定高度まであと1000フィート。
管制官からの指定された高度に到達したので、それを知らせるブザーが鳴った。岸田副操縦士は指定高度に到達したことを管制官に伝えた。
「ジャパンエア412 アプローチング 220」(日本航空412便です。2万2000フィートに達しました)
「ラジャ フライト レベル サンキュー フリクエンシー131.3 グッディ」(了解しました。ご報告、ありがとうございます。以後は131.3メガヘルツに交信して下さい)
岸田副操縦士は聞き取れ無かったので聞き直した。
「セイ アゲイン フリクエンシー プリーズ」(周波数をもう一度、お願いします)
「131.3」(131.3メガヘルツです)
「131.3 グッディ」(131.3メガヘルツ、了解しました。さよなら)
これまでのチューリッヒ・コントロールは、高度2万4000フィートまでを管制する管制エリアで、次の管制エリア(131.3メガヘルツ)は更に高々度のエリアを管制することになっている。岸田副操縦士は高々度エリアを管制するチューリッヒ・コントロールの周波数をセットし交信を始めた。
「チューリッヒ ジャパンエア412 レベリング 220」(チューリッヒ・コントロール管制へ。日本航空412便です。高度2万2000フィートです)
「412 ラジャ コンティニュー クライム レベル 250」(412便へ。了解しました。2万5000フィートまで上昇して下さい)
「ラジャ ジャパンエア412 クリア 250」(2万5000フィートまで上昇します)
2万5000フィートまでの上昇許可が出たと思ったら、間髪入れず、次の管制エリアの周波数を交信して来た。
「ジャパンエア412 コンタクト ライン・コントロール フリクエンシー 134.8 グッディ」(日本航空412便へ。以後はライン・コントロールの周波数134.8メガヘルツに交信して下さい)
「134…いくつだっけ?」
独特の口調なので、聞き取り難い。
「ジャパンエア412 セイ アゲイン」(もう一度、お願いします)
「ライン・コントロール 134.8」(ライン・コントロールの134.8メガヘルツです)
「134.8 サンキュ グッディ」(134.8メガヘルツ、了解しました。さよなら)
聴き慣れない英語とあってか、両パイロット共に戸惑いを隠せないようである。岸田副操縦士は、次の管制エリアであるライン・コントロールの周波数134.8メガヘルツに周波数をセットし、交信を始めた。
「ライン・コントロール ジャパンエア412 グーデンターク アット 236 クライム トゥ 250」(ライン・コントロールへ。こちら日本航空412便です。こんにちは。現在2万3600フィートを通過し、2万5000フィートに上昇中です)
「ジャパンエア412…」
「ラジャ」
岸田副操縦士は復唱せず、了解したことだけを告げた。
「ワン サウザント」2万5000フィートまで、残り1000フィートのコールをした。このコールは上昇だけに関わらず、下降する時も必ずコールする。
「ジャパンエア412 レーダー アイデンティファイ コンティニュー クライム トゥ フライト レベル330」(日本航空412便へ。レーダーで捕捉しています。そのまま3万3000フィートまで上昇して下さい)
「ラジャ」
「ジャパンエア412 クリア クライム 330」(3万3000フィートまで上昇します)
JAL412便は1万メートルを超え、高々度飛行を始めた。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第5回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「離陸」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入05

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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前方機がエンジン・フルパワーで離陸滑走を始めた。その轟音がコックピットを震わせるほどである。滑走路28の進入口が目の前に迫って来た。岸田副操縦士はタワー管制へ交信を始めた。
「チューリッヒ・タワー ジャパンエア412 レディ フォア テイクオフ ランウェイ28」(チューリッヒ・タワー管制へ。日本航空412便です。滑走路28からの離陸準備は完了しています)
「ジャパンエア412 クリア ライン アップ ランウェイ28」(日本航空412便へ。滑走路28に進入して下さい)
「ジャパンエア412 イントゥ ポジション アンド ホールド」(日本航空412便です。滑走路内に進入し、待機します)
「はい、クリア ライン アップ」
「はい、クリア ライン アップ アンド ホールド」
空港に進入して来る航空機に着陸許可が出された。
岸田副操縦士は「イントゥ ポジション アンド ホールド(into the position and hold)」、タワー管制官は「クリア ライン アップ(clear line up)」と一見、違った言い方をしているが、意味は一緒である。最近まで日本国内では「(タクシー)イントゥ ポジション アンド ホールド」という用語であり、欧州では以前より「クリア ライン アップ(ウエイト)」であった。日本国内では平成18年(2006年)10月に管制方式基準の改正に伴い用語や言い回しは変更になった。この変更はアメリカのFAA(Federal Aviation Administration:連邦交通局)からICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)方式に倣ったものである。ちなみにFAAはアメリカ運輸省の下部組織で、航空輸送の安全維持を担当する部局で、航空機の開発などもFAAの承認が必要になる。ICAOは国際連合経済社会理事会の専門機関の一つである。(WHOやIMFも同じ専門機関)
JAL412便はタキシングの速度を落とし、ゆっくりと滑走路に進入を始める。進入口と滑走路のアスファルトの継ぎ目の段差を超える音が聞こえ、大空という聖なる世界へ飛び立つ境目を超えた気がする。

「ファイナル クリア」滑走路進入方向に進入機がないことを視認した。
キャビンに離陸する合図が鳴り、「みなさま、大変お待たせ致しました。ご搭乗機、まもなく離陸でございます。お座席のベルトをお締めかどうか、どうぞ今一度お確かめ下さいませ。」キャビンアテンダントが乗客にシートベルトを締めるよう促した。
機長はビフォア テイクオフ チェックリストの点線以下のアイテムを確認する指示をした。
その間、離陸した前方機に管制官よりディパーチャー管制に移管する交信が聞こえた。
「アフター ドット ライン」
「ウォーター ポンプ…ノット インストール」
「フュエル パネル…チェック」
「パック バルブ…クローズ」
「イグニッション…フライト スタート」
「プローブヒート…オン」
「DME アンド トランスポンダー…スタンバイ…」
「フラップス フライト コントロール ヨーダンパー…10 10 グリーン アンド チェック…エイト グリーン ライト」
「ボディギア ステアリング トゥ ゴーです」
「はい」

前輪が滑走路の中心線に合わせたと同時に、鈴木機長はスイッチをパチンと入れ、チェックリストの続きが行なわれた。
「…ボディギア ステアリング…はい、ディスアーム」
「オール ウォーニング ライト…チェック バイ サイド」
「ビフォア テイクオフ チェックリスト コンプリートです」
「はい」
これで全ての計器確認が終わり、管制官からの離陸許可を待つのみである。一時の沈黙がコックピットを支配する。緊張が一気に高まり始めた。滑走路の中央線にノーズギアをピタリと合わせ、JAL412便は滑走路の正面を見据え、遥かに広がる大空へ飛び立つ。管制官から交信が入った。
「ジャパンエア412 クリア フォア テイクオフ ウインド 200 ディグリーズ 2 ノット」(日本航空412便へ。離陸を許可します。風は200度の方向から2ノットです)
管制官の交信が終わる前に、鈴木機長は4本あるスラストレバーを前に押し出すと同時に4つのエンジンが勢いよく唸り始めた。

「ジャパンエア412 クリア フォア テイクオフ」岸田副操縦士は復唱した。
「クリア フォア テイクオフ!」鈴木機長は声高くコールした。
「スタビライズ!」勢いよく唸り始めたエンジンの出力が安定したことを全クルーが声に出し確認し、続けて離陸に必要なエンジンパワーにする為に、「マックス パワー!」「パワー セット」と力強くコールした。飯田航空機関士はそれに応じて、エンジンパワーを最大にセットした。獲物に狙いを定めた鷹の如く、急速に速度を上げる。
「80ノット!…チェック」離陸滑走80ノット(時速約150キロ)に達したことを岸田副操縦士がコールした。更に加速を増し、滑走路のセンターラインが後ろに飛び去っていく。滑走の振動と風の影響で機体が震える。
飯田副操縦士が「V1!」(時速210キロ)と離陸決定速度に達したことをコールした。この時点で何らかのトラブルがあったら、緊急停止を出来る速度である。
続いて「ローテーション!」(時速230キロ)とコールしたと同時に、鈴木機長がステアリングを手前に引き、機首を上げた。ノーズギアが地から離れた。
そして「V2!」(時速253キロ)のコールで機体が地上から離れ、安全に上昇できる速度になった。車輪の全てが地上から離れた音が機内に伝わる。
鈴木機長は「ギア アップ!」と岸田副操縦士に指示し、ギアレバーを上に持ち上げた。ゴトンと車輪が機体に収納される音がコックピットに響く。上昇角度を約17度にとって、上昇している。
「ノースモーキング オン」禁煙の合図がキャビンで鳴った。
次々と空港に向って来る航空機に、進入の継続や着陸許可の指示が出される。
「クライム パワー…ラジャ」離陸出力を僅かに下げて、上昇出力を上げるよう指示を出した。
通常、離陸後、タワー管制より離陸機を管制するディパーチャー管制にハンドオフ(交信の移管)の指示があるのだが、その交信が入ってこない。岸田副操縦士はタワー管制にディパーチャー管制へ交信しても良いか確認した。
「ジャパンエア412 コンタクト ディパーチャー?」(日本航空412便です。ディパーチャー管制へハンドオフしていいですか)
「412 ディパーチャー125.95 グッディ」(日本航空412便へ。ディパーチャー管制の周波数125.95メガヘルツに交信して下さい。さようなら)
「グッディ」(さようなら)
JAL412便は上昇を続ける。鈴木機長は廻りを見渡しながらも、両手で操縦桿を両足でラダーを操り機体が揺れないように集中している。眼下にスイスの風景が拡がっているが、そんな余裕は無い。睨みつけるように幾つもの計器に目を転じては、機外にもその視線を移す。岸田副操縦士は無線機に手を伸ばし、ディパーチャー管制の周波数をセットした。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第4回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「地上走行 チューリッヒ地上管制」

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★「ヨーロッパ飛行」挿入04

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

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JAL412便は滑走路28に向かっている。大きな空港では滑走路に並行して、誘導路が2本併設されている。多くの旅客機が離発着するので、混雑する時間になると地上はあちこちに旅客機が行き交っている。それらを整理するには誘導を2本設置しなければ大混雑になり、出発時間・到着時間が大幅に遅れる。それを解消する為に駐機所エリア(通称エプロン)内にInner-Taxi Way(I-TWY)を、エリア外にOuter- Taxi Way(O-TWY)を設置し、スムーズな流れを作っている。
I-TWYを走行しているJAL412便は誘導路イーストに向かっている。岸田副操縦士は右側に障害物がないかを確認した。

「ライト サイド クリア」
「はい」
「フラップ10 セット」岸田副操縦士はフラップが10度まで下がったことを確認した。
「ブレーキ プレッシャー ノーマル」ブレーキが作動するかを確認した。
「ライト サイド クリア」
「はい」
「ヨーダンパーズ チェック」
「ターニング インストルメント チェック」
地上走行中に装置や計器類の確認に余念がない。
「そちらのトラック…」
「チェック オーケー」
「レフト サイド クリア」飯田航空機関士が機長席と副操縦士席の間から少し身を乗り出して左側を視認した。
「はい」
「ライト サイド クリア」
「レフト サイド クリア」
「はい オーケー」
岸田副操縦士、飯田航空機関士は左右に障害物はないことを視認し、鈴木機長は飛行中の航空機を制御する装置の確認を指示した。

「コントロール チェック」
「エルロン レフト…ライト」
「エレベーター アップ…ニュートラル…ダウン…インディケーション チェック オーケー」
「ラダー レフト…レフト オーケー」
「ライト…ライト インディケーション チェック オーケー」
エルロンは主翼の上にある補助翼のことで、操縦桿を左右に回すと、その補助翼が上下し、飛行機を水平保持や旋回時に使用する。エレベーターは機体後部にある水平翼の後部にあり、操縦桿を手前に引いたり前に倒したりして、飛行機の上昇下降を司る操縦系統である。ラダーは機体後部の垂直尾翼の後部にあり、パイロットの足元にあり、車のべダルのように踏んでエルロンと併用して左右の旋回を行なう。
JAL412便の前をタキシングしている航空機が滑走路手前で待機し、タワー管制に移管する交信が聴こえる。

鈴木機長は離陸直前の最終打ち合わせを行なった。離陸滑走中に、何らかのトラブルがあった場合の手順を指示した。
「テイクオフ ブリーフィングはスタンダード通り。スピードのコール、何かあったら大きな声で言って下さい。リジェクト テイクオフはコールしますから。コンティニュー テイクオフの時にはチェックリストのスタートはオーダーした時にやって下さい。その他、何か気が付いたことがあったら、何でもいいから、その時その時」
「ビフォア テイクオフ チェックリスト」鈴木機長は飯田航空機関士に離陸前の計器点検を指示した時に、グランド管制がタワー管制に移管するよう交信をしてきた。
「ジャパンエア412 ホールド ショート ランウエイ コンタクト タワー118.1 グッディ」(日本航空412便へ。滑走路手前で待機して、以後タワー管制118.1メガヘルツに交信して下さい)
「ラジャ」
交信の都度、「ラジャ」とコールするのは、交信の内容について了解したということである。

「ジャパンエア412 ホールド ショート 118.1 グッディ」(日本航空412便です。滑走路手前で待機し、118.1メガヘルツに交信します。さよなら)
「はい、(チェックリストを)どうぞ」
「チェックリスト いきまーす。ビフォア テイクオフ チェックリスト」
「ナセル アンティアイス…オフ」
「フライト ナビ インストルメント…アライン ノー フラッグ」
「フラップス…10 10 グリーン アンド チェック…エイト グリーン ライト」
「フライト コントロール アンド ヨーダンパー…チェック」
「スタビライザー トリム…4.08 セット」
「INS…チェック アンド オート」
「ギャレー パワー…オン」
「APU…オフ」
「テイクオフ データ…レビュー」
「ブリーフィング フォア テイクオフ…コンプリーテッド」
「ドット ライン(点線まで確認済み)です」
「はい」と、鈴木機長は了解した。
残りのチェックリストの項目は、滑走路に進入する際に行なわれる。
JAL412便は、滑走路28の進入口の近くまで走行している。前方機が滑走路への進入を終え、今まさに離陸しようとしている。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第3回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「コペンハーゲンへ向けてエンジン始動」

—————–
★「ヨーロッパ飛行」挿入03

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

—————–

岸田副操縦士はチューリッヒ・グランド管制の周波数121.9メガヘルツで、出発準備が整ったことを告げた。
「ジャパンエア412 クリア スタート アップ ランウエイ28 (QNH)1019」(日本航空412便です。エンジン始動の準備は整っています。離陸滑走路は28、気圧は1019ヘクトパスカル)
グランド管制が日本航空412便にコペンハーゲン空港までの飛行承認を発出する交信を始めた。
「ジャパンエア412 クリア トゥ コペンハーゲン バイア チューリッヒ・イースト・ワン・ウイスキー ディパーチャー フライト レベル 80 スクォーク 3005」(日本航空412便へ。コペンハーゲン空港までの飛行を承認します。チューリッヒE1W出発方式で、飛行高度は8000フィート。貴機の認識番号は3005です)

発出された飛行承認に鈴木機長は、右の親指を上にして了解する合図をし、岸田副操縦士はその承認を復唱した。
「ジャパンエア412 クリア トゥ コペンハーゲン バイア チューリッヒ・イースト・ワン・ウイスキー・ディパーチャー メインテイン 80 イニシャリー スクォーク 3005」(日本航空412便です。チューリッヒE1W出発方式で、離陸後の高度は8000フィート、当機の認識番号は3005です)
管制官は発出した飛行高度と復唱した飛行高度に相違があったように思ったのか、飛行高度を再度復唱させた。
「ジャパンエア412 アイ セイ アゲイン フライト レベル 80」(日本航空412便へ。飛行高度を8000フィートと再度復唱して下さい)
「メインテイン 80」(高度8000フィートです)
ディスパッチャーが提示した飛行高度は3万5000フィート。だが、ヨーロッパ域内は網の目のように航路が張り巡らされ、且つ多くの航空機が飛行している。また上空の管制エリアも細分化されているので、安全の為に低い高度での飛行を承認している。
岸田副操縦士は空港ランプエリアを管制するチューリッヒ・ランプの周波数121.75メガヘルツに合わせ、プッシュバックの許可を要請した。
「チューリッヒ・ランプ コントロール ジャパンエア412 リクエスト プッシュバック ゲート ブラボー(B)33」(チューリッヒ・グランド管制へ。日本航空412便です。プッシュバックの許可を願います。当機は駐機所B33にいます)
「ジャパンエア412 グッドアフタヌーン クリア トゥ プッシュバック フェイシング ウエスト」(日本航空412便へ。こんにちは。プッシュバックを許可します。機首を西に向けて下さい)
「フェイシング ウエスト クリア プッシュ ジャパンエア412」(機首を西に向けてプッシュバックをします)
「はい、グランドに言って下さい」鈴木機長は、飯田航空機関士にプッシュバックを開始することを地上整備員に伝えるよう指示した。
「グランド ウィ ア クリア フォア プッシュバック」(プッシュバックを始めて下さい)
「オーケー… リリース パーキング ブレーキ」(了解。パーキング ブレーキを解除して下さい)
「パーキング リリース お願いします」飯田航空機関士は鈴木機長に解除するよう伝えると、機長は「ブレーキ リリース」とコールし、機長席の右にあるパーキング ブレーキを下に押し込むと、機首部の車輪に掛けられていたブレーキ装置が解除された。それを確認した航空機関士は、地上整備員に「パーキング ブレーキ リリース ナウ」(パーキング ブレーキを解除しました)と伝えた。

「はい、18分」鈴木機長が出発時間をコールしたと同時に、トーイングカーはエンジンを目一杯吹かし、JAL412便をプッシュバックし始めた。
鈴木機長はビフォア・スタート・チェックリストのドットライン以降のチェック項目(アイテム)の確認を岸田副操縦士に指示した。
「じゃあ、チェックリスト(の続き)」
「ビーコン ライト…オン」
「ギャレー パワー…オフ」
「パック バルブ…ワン オープン」
「スタート プレッシャー…41 PSI」
「(コックピット)ドアーズ…クローズ」
「ビフォア・スタート・チェックリスト コンプリーテッド」
チェックリストのアイテムを読み上げて計器確認を完了すれば、その旨を必ずコールしなければならない。
ランプエリアをタキシングする飛行機が次々と交信している。JAL412便の次にプッシュバックを要請する交信が聴こえ、管制官は機首を北に向けるよう指示している。
そんな交信が終わるのを見計らってか、チーフ・パーサーが出発のアナウンスを始めた。

「みなさま、大変長らくお待たせ致しました。お客様の人数の確認が出来ましたので、まもなく出発致します。ご協力ありがとうございます」
トーイングカーはエンジンを目一杯吹かしJAL412便を押し、地上走行する地点で止まった。地上整備員がパーキング・ブレーキをセットするように呼び掛けてきた。

「…セット パーキング ブレーキ プリーズ」
「パーキング ブレーキ お願いします」
「ブレーキ セット」
「パーキング ブレーキ セット コンプリーテッド」
「オール エンジン クリア フォア スタート」
地上整備員は、誘導路上に障害物が無いことを確認し、エンジン始動を促してきた。
「オーケー 4、3、2、1」鈴木機長は始動するエンジンの順番をコールした。
「ターニング ナンバー4 エンジン」飯田航空機関士は、エンジン始動スイッチを入れた旨をコールした。
機首方向に向かって一番右のエンジン(ナンバー4)のエンジンが回り始めた。
「10… 15… N1… 21…」
エンジンの回転が徐々に上がり、機長はエンジンに燃料を注入するコールをする。
「フュエル イン…フュエル フロー…ライド アップ」
「25… 30… 35… 40」
コックピットからはエンジンの音はあまり聞こえない。APUだけの音で比較的静かである。しかし、燃料が入ったエンジンは唸りを上げている。
「(ナンバー4エンジン)スターター カット アウト」航空機関士は、エンジンの回転を制御するスイッチを切った。
続いてナンバー3、ナンバー2と順にエンジンを始動させ、エンジン音が次第に大きくなる。鈴木機長は残りの一番左にあるナンバー1エンジンを始動するコールをし、飯田航空機関士はナンバー1エンジンのスターター・スイッチを入れた。
「ワン(1) スタート」
「ターニング ナンバー1 エンジン」
「10… 15… N1… 21…」
岸田副操縦士は、ナンバー2のエンジンの回転が安定したことを機長に報告した。
「ナンバー2(エンジン) スタイビライズ」
「フュエル イン…フュエル フロー…ライド アップ」
「25… 30… 35… 40」
4基のエンジンが轟音と共に、耳を劈くように唸りを上げている。
「(ナンバー1エンジン)スターター カットオフ」
ナンバー1のエンジンが徐々に回転数を上げているが、その音は他のエンジン音で掻き消されている。

「ディスコネクト グランドに言って下さい」全てのエンジンが回り始めたので、地上整備員にインターフォンを切って、航空機から離れるように指示を与えた。
「ラジャ… グランド ディスコネクト オールグランド イクイップメント アンド インターフォン」(機器と無線機を取り外して下さい。)
「ラジャ ハブ ア ナイス フライト」
「ラジャ」
「ナンバー1(エンジン)スタビライズ」
4基全てのエンジンが始動し、エンジン始動後の計器チェックである、アフター・スタート・チェックリストを行った。
「アフター・スタート・チェックリスト」
「エレクトリカル…ノーライト エンセンシャル ノーマル」
「ハイドロ リックス…オート アンド ノーマル」
「(コックピット)ドア…クローズ」
「エルロン ラダー アンド トリム…ゼロ」
「グランド イクイップメント…ディスコネクテッド」
「アフター・スタート・チェックリスト コンプリーテッド」
計器点検が終わり、鈴木機長はタキシング(地上走行)の許可を要請するよう指示を出した。
「タクシー クリアランス」
「(チューリッヒ)グランド ジャパンエア412 レディ フォア タクシー」(グランド管制へ。日本航空412便です。地上走行の許可を要請します)
「ジャパンエア412 クリア タクシー トゥ ランウエイ28 バイア タクシーウエイ インナー イースト」(日本航空412便へ。誘導路 インナー(Inner)、イースト(East)を経由して、滑走路28に地上走行して下さい)
鈴木機長は走行する誘導路を指で指し示しながら確認し、岸田副操縦士は管制官の指示を復唱した。
「インナー イースト クリア タクシー ランウエイ28 (ジャパンエア)412」(誘導路 インナー(Inner)、イースト(East)を経由して、滑走路28に向かいます)
2名の操縦士は、地上走行(タクシー)をする前に機体両側に障害物や近付いて来る航空機が無いかを確認する。地上走行に関わらず飛行している際も、旋回する前にその方向に異常が無いかを必ず確認しなければならない。

チューリッヒJEPPESEN

チューリッヒ・クローテン空港では、出発承認から地上走行するまでの手順が定められている。JAL412便の場合、出発承認はグランド管制(121.9MHz)、プッシュバックはランプ管制、プッシュバック完了後、エンジンスタートし、地上走行(タキシング)はランプ管制となっている。
「チェック ライト」鈴木機長は右側に異常が無いか確認させた。
「ライト サイド クリア」岸田副操縦士は何も無いことを報告した。
鈴木機長は左太ももあたりにあるステアリング・チラーを握り、機体を操縦する。航空機は地上走行する際、正面にある操縦桿でコントロールは出来ない。ステアリング・チラーといって、小さな円形で機体をコントロールする。
「(フラップ)10」鈴木機長は離陸時のフラップの角度を岸田副操縦士に指示した。
副操縦士はスラスト・レバーの右にある翼の形をしたハンドルを一旦、上に上げて手前に引き、10と書かれた所までレバーを動かした。主翼の後ろに付いているフラップが下に降りていく。その姿をコックピットからは見えない。その姿を見れるのは主翼より後方の窓側に座っている乗客だけで、通路席・中央席の乗客は、その動いている音が聞こえる。
鈴木機長はフラップの指示と同時に、4つあるスラスト・レバーを少し前に押し出した。エンジンは回転数を上げ、機体を前進させる推力を発生させ、機体は徐々に動き出し、離陸滑走路28に向って走行し出した。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第2回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

「飛行前計器点検とボーディング アナウンス」

ヨーロッパ中央に位置するスイス連邦。連邦制共和国であり永世中立国として有名である。東はリヒテンシュタイン、オーストリア、西はフランス、南はイタリア、北はドイツに囲まれている内陸国でもある。南のイタリアとの国境付近にアルプス山脈が聳えた立ち、ヨーロッパ大陸を東西に分断するかのようである。スイスの最大の観光地はアルプス山脈であり、最高峰のモンテ・ローザやマッターホルンはスイスの象徴であり、たびたびメディアに登場する。首都は中央に位置するベルン。万国郵便連合の本部であり旧市街は世界遺産である。あと世界保健機関、国連欧州本部を始め国際機関が本部を置くジュネーブ、今回の出発地であるチューリッヒは、スイス最大の都市で金融業を中心に発展し、国際サッカー連盟の本部がある。アルプス山脈の壮大な景観に多くの観光客が魅了され、賑わっている。また世界的機関の本部が多く構えていることもあって、観光客と併せてビジネスでの利用も多く、経済的にも安定した国である。

ランチを終え一息つく人達がチラホラと見受けられ、体に匹敵するほどの大きなカバンを抱え、チェックインカウンターに並ぶ人々。ここは、スイス・チューリッヒの郊外、クローテンに設置された「チューリッヒ空港」。田園地帯の中に滑走路が走り、彼の地へ向かう航空機、またこの地に向かって着陸する航空機で賑わいを見せている。チューリッヒ空港は、スイス最大の空港であり玄関口でもある。ヨーロッパ、北米、南米、中近東など多くの航空会社が就航し、世界中にネットワークを構築している。

スイスのフラッグ・キャリアであるスイス・インターナショナル・エアラインズ(ドイツ・ルフトハンザ航空の子会社、スター・アライアンス・メンバー)の本拠地として、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなどに就航し、日本では成田線に週7日のデイリー運航をしている。また、チャーター便を専門とする子会社として鮮やかなカラーリングで人気の高いエーデルワイス航空も、チューリッヒ空港を本拠地としている。ちなみに両社の機材は全てエアバス社製で統一されている。
日本のフラッグ・キャリアである日本航空は、1979年4月1日から成田-チューリッヒ線(アンカレッジとコペンハーゲンを経由)を開設した。しかし、需要の落ち込みで撤退を余儀なくされた経緯があった。

ゲート(駐機所)B(ブラボー)33で束の間のひと時を過ごしているJAL412便のコペンハーゲン、アンカレッジ経由の成田行きB747型機、通称ジャンボ機。誰も知っているジャンボ機。誰でもが乗りたいジャンボ機。しかしその姿は年を追うごとに機数を減らしている。
純白の機体には赤と青のストライプが走り、大きな尾翼には日本航空のロゴである赤い鶴丸が描かれている。海外にいる日本人は、この鶴丸を見ると我が故郷への思いを強くするという。同時に国のフラッグ・キャリアとして、また国を象徴するものでもあり、一層の親しみと安堵感もあると聞く。「JALに乗れば日本に帰れる」「海外先でJALを見れば故郷が懐かしくなる、ホームシックになる」など、人それぞれに想いがある。
クルー(乗務員)は、機長(CAP)、副操縦士(FO)、航空機関士(FE)の3名であり、スリーメン・クルーともいう。航空機関士は、燃料の注入量の調節や電気系統の確認など飛行に際しての様々な数字を計算し、機長にアドバイスする役目、言わばジャンボ機の中枢を担っている重要なポストである。一見、3名乗務だと、操縦の手間などが掛かって億劫に感じるが、航空機とパイロットが一つとなって、パイロットは自分の手足のごとく操縦しているので、飛行中の不具合などの変調は体で感じ取れるのである。

出発時間が迫ってきた。主翼に取り付けられていた燃料パイプが外され、貨物や乗客の荷物は機体下部に積載を完了した。乗客は搭乗口のグランド・スタッフのアナウンスにより、機内へと歩を進めている。クルーは既に最初の経由地であるデンマーク・コペンハーゲン空港(通称:カストラップ空港)までの飛行経路(ウエイ・ポイント)の座標をINSにインサート(入力)し終え、エンジン始動前の計器点検であるビフォア・スタート・チェックリストを行う準備をしている。機長は副操縦士と航空機関士に計器点検を行う旨を伝えた。

—————–
★「ヨーロッパ飛行」挿入02

※「▶」の再生ボタンをクリックすると航空サウンドが流れます

—————–

「それでは、チェックリストをやりましょうか?」
「ちょっと、グランドを呼んで」
機長は副操縦士に地上整備員を呼び出すよう指示すると、副操縦士はインターフォンを取り、地上整備員に呼び掛けた。
「グランド、コックピット」(こちらコックピットです)
「メイ アイ セット パーキング ブレーキ?」(パーキング・ブレーキをセットしていいですか?)
「パーキング ブレーキ セット コンプリーテッド オーケー?」(パーキング・ブレーキを完了しました)
「オーケー」
既に機体前方にある前輪にはトーイングカーが取り付けられ、地上では出発準備を完了している。
パイロットは、航空機が動き出す前の初めての計器チェックを始めた。

「それでは、ビフォア・スタート・チェックリスト、やりましょう」
「はい、チェックリスト」
「ビフォア・スタート・チェックリスト」
「シップ パウチ アンド ログブック…オンボード」
「コックピット プリパレーション プロシジャー…コンプリーテッド」
「オキシジョン アンド インターフォン…チェック」
「フライト コントロール アンド ハイドロ パワー スイッチ…オン」
「アンチ スキッド…オン」
「INS モード…ナブ」
「エバケーション コマンド スイッチ…アーム」
「エマージェンシー ライト…アーム」
「キャビン サイン…オン」
「ストール ウォーニング…ノーマル」
「クローブ ヒート…ピトー ゾーン ヒート」
「ウィンドウ ヒート…オン」
「レディオ クロックス アンド アルティメーター…セット 1019」
「エアスピード…バグズ セット」
「EPR…バグズ セット」
「パーキング ブレーキ アンド プレッシャー…セット アンド ノーマル」
「スタート レバー…カットオフ」
「ギア ピンズ…リムーブ」
「フュエル…72000ポンド セット フォア スタート」
「プレッシャリゼーション…オート」
「ADP…オフ」
「コックピット ドア…ロックド」
「ドット ライン トゥ ゴー」
「はい」

チェックリストは、エンジン始動前後、離陸前後、着陸前後など一つの動きをする毎に、必ず機器の点検(チェックリスト)を実施しなければならない。その中で、エンジン始動前の確認事項であるビフォア・スタート・チェックリストを副操縦士が読み上げて、「ドット ライン トゥ ゴー」とコールして、確認が終わったように思えるが実は違う。このチェックリストの最後の方で、点線(dot line)を引いた箇所がある。この点線以降はエンジン始動直前にコールする確認事項(アイテム)であるということを示すために引かれた点線で「ドット ライン」といい、それもコールすることになっている。

「インフォメーションはG(ゴルフ)で、ビジビリティ(視程)6キロ」と、副操縦士はチューリッヒ空港情報(ATIS)のコード番号と空港周辺の視界の距離である視程を報告し、その放送がコックピットに流れる。
「…1020 200ディグリーズ 2ノット ビジビリティ6キロメートル レイン 1オクターズ 1500フィート 6オクターズ 4000フィート 7オクターズ 10000フィート テンプラチャー11 …」(…世界標準時10時20分現在です。風向は200度から2ノット。視程は6キロ。雨が降っています。1500フィート、4000フィート、10,000フィートに雲があります。11度。…)

各社の航空機が出発承認を担う管制官に交信する様子が、コックピットに響き渡る。空港待合室から飛行機が駐機しているエプロンを見ると、コバンザメのように作業車が飛行機に張り付き、燃料の注入や荷物などを搭載している。またそれに併せて各々の作業担当者が右往左往を動き回っている。コックピットではパイロットが最終ブリーフィングや計器チェックなど、狭い空間で作業を行なっている。その作業の中の一つで、乗客には一切聴こえない会話がコックピットのスピーカーから絶え間なく聴こえる。管制官とパイロットが無線で交信しているのである。出発承認を得る為、パイロットは担当管制官と交信するのだが、他機のパイロットも交信してくる。早く管制官とコンタクトした方が早く出発できる。例えば、同じ出発時刻で、同じ目的地の飛行機が2機あったとする。どちらも早く出発する為に、ブリーフィングや計器チェックを早く終えたい。片方が全ての準備を整えて管制官に交信したら先に出発できる。また異なる目的地だか同時刻出発の飛行機が複数あれば、前の飛行機の交信が終われば、割り込みにも似た交信が繰り広げられる。上空でも同じようなことがある。この様に乗客には分からないが、パイロット達の熱い戦いが行なわれている。

出発予定時刻が近付いていることを地上整備員が交信して来た。
「コックピット グランド クリアランス レディ フォア プッシュバック」(プッシュバックの準備は出来ています。出発承認をもらって下さい)
「ラジャ」副操縦士は応答し、チューリッヒ空港のグランド管制へ交信を始めた。
出発予定時刻の直前(5分前)に地上整備員からの交信を「ファイヴ ミニッツ」という。
「チューリッヒ・グランド ジャパンエア412 レディ トゥ スタート クリアランス コペンハーゲン (ゲート)ブラボー33」(チューリッヒ・グランド管制へ。こちら日本航空412便です。コペンハーゲン空港までの飛行準備が整いました。駐機所ブラボー33に駐機しています)
「ジャパンエア412 チューリッヒ ディレイ テイクオフ QNH1019 タイム44 … 13 イクスペクト テイクオフ タイム 07」(日本航空412便へ。空港が混雑している為、離陸が遅れます。空港周辺の気圧は1019ヘクトパスカル、出発予定時刻は44分ですが、13分ほど遅れます。離陸時間を7分になります)
空港が思いのほか混雑しているようであり、副操縦士はその旨を復唱した。国々の空の玄関口である空港には、世界各国から航空機が離着陸を繰り返しているので、予定されている時刻通りにはならないことが多い。
航空機関士は地上整備員に出発が遅れることを伝えた。
「スタンバイ 7 オア 8 ミニッツ」(7、8分、待機して下さい)

「…」
地上整備員からの交信内容が聴き取れなかったので、再度聴き直した。
「パードン?」(もう一度、お願いします)
「…」
ドイツ語訛りの英語なので聴き取り難い。
機長は出発承認を待っている旨を伝えるように航空機関士に伝えた。
「ATC スタンバイって言って下さい」
「バイ ATC スタンバイ」
「ATC スタンバイ」
機内ではチーフパーサーが乗客に出発前のアナウンスを始めた。
「皆様、本日は日本航空412便、コペンハーゲン、アンカレッジ経由東京行きにご搭乗下さいまして、ありがとうございます。まもなく出発致しますので、お座席のベルトをお締め下さい。お煙草は禁煙のサインが消えるまではご遠慮下さい。この便の機長は鈴木、私はパーサーの青地でございます。コペンハーゲンまでの飛行時間は1時間15分を予定しております。ご用の際は私ども乗務員にご遠慮なくお申し付け下さい」
続いて、英語での機内アナウンス、そして非常脱出時の案内が流れている。

つづく

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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B747コックピット「ヨーロッパ飛行」第1回

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ヨーロッパ飛行画像(haruhikon提供)

B747コックピット「ヨーロッパ飛行」公開にあたって

一昔前まで、日本航空のB747の尾翼には「鶴丸」が描かれていました。誰もが知っていて、誰もが憧れ、誰もが「鶴丸」に乗って外国に行きたいと思った時代でした。
目まぐるしく変わる世情にならい、やがて日本航空のシンボルであった「鶴丸」は姿を消し、現在の「Arc of the Sun」にとって変わりました。鶴のように大きい白い羽を広げ、日本から世界中に優雅に羽ばたいた時代が、懐かしく感じられます。
その数ある「鶴丸」の中から、ヨーロッパを飛んだ航跡の一つとして、チューリッヒ発、コペンハーゲン・アンカレッジ経由、東京(成田)行きの日本航空412便の中から、チューリッヒ-コペンハーゲン間のフライト・ドキュメント「B747 ヨーロッパ飛行」をお届け致します。

前回の「雨中航路」は、ジェット機が主流となっていた日本の大動脈である東京-大阪間に、国産旅客機YS-11を空輸する非常に貴重なフライトでありました。既に退役していたこともあり、YS-11への敬意と感謝を表する意味で公開させて頂きました。
今回はジャンボ機ということで、既にご承知のことですが、JALのジャンボ機は全機退役することになりました。日本でのB747の活躍は言うに及ばず、老若男女問わず、誰からも親しまれ、また愛された旅客機であります。「JAL再建」という出来事があり、不経済な機体は次々と姿を消し、JALのB747も例外ではありません。退役のニュースは、時代の流れを感じながらも やはり残念でもあります。

そんな中、今回の音源を耳にした時、JALのB747が輝き、そして煌いていた姿が浮かびました。純白の機体に赤と青のラインが引かれ、尾翼には誇らしげに鶴のマークが描かれた、その姿に、誇りと安心感があったのは私だけではないと思います。また、その鶴丸に乗って彼の地に行きたい、という夢と希望も持っていたと思います。

アルプス山脈を越え、高度3万5000フィートから眺める景色は、ヨーロッパの歴史の一端を垣間見れたり、豊かな土壌が育む食材が広がる田園風景など、壮大で優雅な一時を与え、帰国の途に着く乗客にとっては、最後の旅行の余韻に浸れるものであります。
広大なヨーロッパの大地と同じように、果てしなく広がる空に翼を広げ、悠々と天翔る「鶴丸・ジャンボ」は、世界で一番似合うものです。そんな姿を頭の中で描きながら、約1時間の空の旅を、お楽しみ頂き、ひと時の安息として聴いて頂きたいと思います。
ご覧頂きます皆様には、お気づきの点やご感想、ご訂正などがありましたら、その都度、コメントをお寄せ頂ければ幸いです。
長いお付き合いになりますが、どうぞ宜しくお願い致します。

最後に、再建中のJALに対し、そんな時代を振り返り、再建を果たす意味で、かつての輝き煌いた「鶴丸」をB747の尾翼に描き、最後の花道を飾って欲しいと切に願います。

それでは、早速ですが出発前のコックピットから聴こえる、他機と管制官との交信を聴きながら、ヨーロッパ飛行をお楽しみ下さい。

桃田素晶

「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」
解説:桃田素晶/録音:武田一男 ©Director’s House

【著作について】「B747Cockpit ヨーロッパ飛行」で収録している音声、音源等は武田一男、及びディレクターズハウスが著作権を保有しています。商用、非商用に関わらず無断転載、複製の一切を禁止いたします。また、解説は桃田素晶、表紙写真はharuhikonに著作があります。詳細については当ブログ管理人までお問い合わせください。

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さよなら747ジャンボ&DC-10!! 3作同時発売!

本日「Airmanの飛行機写真館 番外編」はお休みとなります。
ですが!
今日はそんなAirmanさんのニュースをお伝えしたいと思います。

U-CAN(ユーキャン)ときいてまず思い浮かぶのは、新聞広告でおなじみ「生涯学習」と銘打った通信教育講座のいろいろなのですが、年末恒例イベントとなった「流行語大賞」(2003年〜)でご存知の方も多いかもしれません。
さらには3年前からは、全国書店員が選んだ一番売りたい本、というキャッチフレーズの、いまや本の売り上げを大きく動かす「本屋大賞」なんかも、実はU-CANが協賛していたりなんかして、いろんなことをやっているんですね。

そんなU-CANなんですが、レコードレーベルなんかもやっていまして、エンターテインメント事業も盛んです。
でもって、「U-CAN航空シリーズ」がどうも始まったようなんですね。どうも、というのは3作同時リリースだってので、ちょっと力を入れてるんじゃないかな、と個人的には思っているんですけれども…。こればかりはわかりませんので、皆さんにご協力いただき(笑)、次作を乞いましょう!

で! 初回は、おとといの5日に武田一男プロデュース作品が3作同時発売されました。
DL盤はちょくちょく新作が出ておりますが、久しぶりのパッケージ版だと思います! でもって、各作品のコックピットサウンドはもちろん、エンジン音だけの収録など、収録素材の充実度っていったらないです。

●「さよなら747ジャンボ」(2枚組CD)
●「さよならダグラスDC-10」(2枚組CD)
●「さよなら747ジャンボ&DC-10」(DVD)

そして!
このうちの「さよなら747ジャンボ」「さよならダグラスDC-10」の2枚組CDには、な、な、な、な、なんとっ! Airmanの飛行機写真館の作品が採用されましたっ!

す、すごい、Airmanさん!
ネットでみる作品ももちろんすごいのですが、こうして冊子になってパッケージされると、またまた見応えがあるんですねっ。
やっぱり、こういうパッケージされたものというのは、プレゼントというかもらったときの特別感があっていいですよね。

それで、ちょっと話は変わりますが、昨日新品のデスクトップパソコンを買っちゃいました。
あわせて外付けハードディスク1.5TBという大容量のものを購入したのですが、この数年での技術の進化がほんとうに著しいようで、といえば言い訳がましいのですが、なんと規格外のものを買ってしまっていました…(涙)。無知が招いた…。
しかし、MacとWindowsの言葉の違いの壁は大きいですね…。
実は同じものだったりするのですが、何せ名前が違う! そして店員さんも実はよくわかってないんじゃないかな。疑問符があったので未開封の状態で確認できたもので…これから交換しにいってきますが、それが終わったら皆さんにこのU-CANから発売された作品にどんなものが入っているのか、簡単なダイジェストをお届けしたいな、と思っています!
昨日はデータのコピーとバックアップで1日が終わってしまいました。新しいパソコンでは、動画の処理がだいぶラクになる予定です!
明日、ご期待ください!!(と自分にプレッシャーをかけてみる)。


さよならジャンボ747 All About THE747
さよならジャンボ747 All About THE747

さよならダグラスDC10 All About DOUGLAS DC10
さよならダグラスDC10 All About DOUGLAS DC10

さよならジャンボ&DC10 [DVD]
さよならジャンボ&DC10 [DVD]

そして、最後になりました。
プレスリリースから武田一男さんの挨拶を掲載させていただきます。

1970年以来、約30数年間、海外旅行ブームの主役として「ジャンボ」の愛称で慣れ親しんだ花形ジェット旅客機機ボーイング747は、今、日本の空からその姿を消そうとしています。又、B747と同じく日本の空で活躍した大型ジェット旅客機ダグラスDC-10も昨年を最後にその雄姿が見られなくなりました。

退役の理由は日本航空倒産の原因のひとつにあげられるように、経済効率の悪さや技術革新により新しい航空機が次々と開発されたことなどが原因ですが、「ジャンボ」という大型旅客機の終焉はひとつの時代の終わりを意味しているとも言えます。余分な物を排してエコ、そしてコスト最重視の物作りを賛する新しい時代に置き去りにされる一時代前の偉大な老兵の姿がそこにはあります。

しかしながら、この老兵は現在、開発されたどの旅客機に比べても、すぱ抜けて個性がありました。河豚のお化けみたいな、どでかい旅客機を最初に見たときは、この大きな金属の魚が空を飛ぶのが信じられないと思った人も多かったと思います。子供の頃、ジャンボで旅客機を知り、大人になってジャンボで初めて海外へ飛んだ経験を持つ多くの人達は、今、この老兵の退役に少なからず追憶の情を持っています。

その老兵の姿を追憶をまじえて記録したのが、今回発売するDVDとCDです。
日本航空や全日空は無論のこと、オランダ航空、英国航空、ルフトハンザドイツ航空など世界の約30社に及ぶ航空会社の747ジャンボを映像とサウンドで記録したDVDとCDは航空史の視点から見ても貴重な作品になると信じています。

武田一男

制作:ディレクターズハウス
発売:ユーキャン
販売:ユニバーサルミュージック合同会社
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